2021/09/01
第25回 : 品質改善の話
アパレル散歩道
2024/11/01
2024.11.1
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項目 | 織物 | ニット | |
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製品用途 | 紳士婦人スーツ、ブラウス、ワイシャツ、スカート、防寒着、ブルゾンなど (主に外衣、中衣) | セータ、ニットシャツ全般、ジャージ、スウェット、下着、ソックスなど (主に中衣、肌着) | |
糸使い |
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組織 | 基本組織 (平織、綾織、朱子織) | 基本組織 (平編、リブ編、パール編、両面編など) | |
混用方法 | 交織 | 交編 | |
密度 | 打ち込み (経糸・緯糸ともに 本/インチ) | 度目 (ウェール/インチ ・ コース/インチ) | |
生産背景 | 製造機器 | 織機 (通常織機、ドビー織機、ジャカード織機など) | よこ編み機、丸編み機、経編機など |
リードタイム (生産準備期間) | 経糸の準備(整経)期間が必要のため、一般にニットより準備期間は必要 | 経糸の準備などは不要のため、一般に織物に比べると短期間 | |
生産性 | ニットより動力消費多く、生産速度遅い | 織物より動力消費少なく、生産速度速い | |
生地性能 | ドレープ性 | ニットより低い | 織物より高い |
手触り | こし、はりがある | 柔らかくしなやか | |
ストレッチ性 | 一般にストレッチ性は低い | 一般にストレッチ性は大きい | |
保形性 | 一般に寸法安定性は高く、型くずれしにくい | 一般に寸法安定性は低く、型くずれしやすい | |
運動機能 | 伸縮性がなく、身体にフィットしにくく、身体を動かしにくい | 伸縮性に富むため、身体にフィットして、身体を動かしやすい | |
しわ | 織物組織上、糸に自由度が少なく、しわが発生しやすい | 糸の自由度があり、しわが発生しにくい | |
質量(目付) | 一般に見掛け密度は大きい | 一般に見掛け密度は小さい | |
厚み | 一般にニットより薄い | 一般に織物より厚い | |
通気性 | 同一質量で比較すると、通気性は小さい | 同一質量で比較すると、通気性は大きい | |
保温性 | 通気が少なく保温性が高まるが、厚みが薄く断熱性は低い | 風の影響大きい。通気によって保温性は低くなるが、厚みがあることで断熱性は高まる | |
吸水性 | 一般にニットより低い | 一般に織物より優れている | |
引張強さ | 同一糸使い、厚みや質量で比較すると、ニットより大きい | 同一糸使い、厚みや質量で比較すると、織物より小さい | |
引張伸度 | 同一厚みや質量で比較すると、ニットより 小さい | 同一厚みや質量で比較すると、織物より大きい | |
品質事故の例 | 引き裂け | 糸使い、織組織、加工により、引裂けやすいものがある | 基本引裂けにくい(経編で方向性により引き裂けるものがある) |
衝撃による損傷 | 伸縮性が小さく、衝撃に耐えにくい | 伸縮性が大きく、衝撃に耐えやすい | |
摩耗 | 同一厚みや質量で比較すると、ニットより破損しにくい | 同一厚みや質量で比較すると、織物より破損しやすい | |
ピリング・ スナッグ | 同一糸使いや質量で比較すると、ピリングやスナッグは発生しにくい | 同一糸使いや質量で比較すると、ピリングやスナッグは発生しやすい | |
シーム パッカリング | 発生しやすい | 織物より発生しにくい | |
縫い目滑脱 | 発生することがある | 発生しない | |
縮みや伸び | 比較的、寸法安定している | 素材、組織により、縮みや伸び切りが生じる | |
伝線(ラン) | 基本発生しない | 編み組織により、伝線(ラン)が発生することがある | |
耳カーリング | コーティングやラミネート後に、カーリングすることがある | 平編(天竺)生地でカーリングすることがある特に、綿素材などでその傾向は大きい | |
強度物性に関する 品質管理項目 | 引裂き強さ、縫い目滑脱抵抗力など | 破裂強さ、摩耗強さ(素材による)など | |
縫製形式 | 主に本縫い(一部ジグザグ縫い) | 主に環縫い(単環縫い、二重環縫い、オーバーロック縫い、扁平縫い など) | |
成型性 | 基本できない | よこ編みでは、目数の増減により成形が可能 | |
膜加工 (合成皮革など) | ラミネート、コーティング加工が可能 | 主にラミネートが可能。コーティング加工は樹脂がしみ出す可能性あり | |
表示 | 組成表示では、「経糸」と「緯糸」などの分離表示も可能 | 組成表示では、「表組織」や「裏組織」などの分離表示も可能 | |
製品配送 | しわ、型くずれ対策のため、ハンガー輸送されることがある | 基本、折りたたみ配送が多い |
項目 | 織物 | ニット |
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外観写真(イメージ) | 経糸と緯糸で構成され、織機で上下に交絡している | ループのつながりで組織が構成される |
組織の特徴 | 経糸と緯が密に直交しているため、基本的にはたて・よこ方向に伸びにくい。バイアス方向は若干伸びる。構成糸の自由度は低い(伸縮糸使いはこの限りではない) | 連続するループのつながりで組織が形成されるため、たて・よこ方向の伸びは大きい。構成糸の自由度は大きい(ニットの中でも、経編は伸びが少なく、織物の性能に近い 傾向あり) |
図1 織機(ウォータジェット)の一例
図2 編み機(丸編み)の一例
項目 | 説明 |
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ドレープ性 | 布が自重によって垂れ下がる性質のこと。ニットはその編み構造や糸の自由度の大きさから、織物よりドレープ性は大きい。アパレル散歩道 第69回 3.5 参照のこと |
手触り感 | 生地構造や糸の自由度の差から、一般に、織物は「こし・はり」があり、ニットは、「柔らかくて、しなやか」となる。 |
ストレッチ性 ㊟ | 生地のストレッチ性は、糸の伸びと生地組織の伸びで決定される。ニットは、ループのつながりによって組織が構成されるため、ストレッチ性に優れる。 |
保形性 | 織物は、経糸と緯糸が密に交絡して織られているため、構成糸の自由度は低く、着用や洗濯による型くずれや縮みは少ない。ニットは、ループ構造や糸の自由度の大きさから、着用や洗濯による型くずれや縮みは比較的大きい。 |
運動機能性 | 人間の身体は、運動や動作によって皮膚が伸びるため、ストレッチ性の大きいニットが下着や中衣などに適している。織物はストレッチ性が低いため、主に中衣や外衣に使用される。アパレル散歩道 第61回 2.4 参照のこと |
しわの発生 | しわとは、布に発生した不自然な細かい凹凸のこと。しわの発生は、繊維の水分率にも影響されるが、ニット素材は、ループ構造や糸の自由度が大きいことから、しわは発生しにくい。主にしわの発生は、織物製品の課題となっている。(合成繊維製は比較的発生しにくい)アパレル散歩道 第62回 1.2及び1.3 参照のこと |
伸縮の程度 | 伸長率 | 生地・構成 | 用途 |
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低い | 10~20% | ポリエステル加工糸織物 など | ジャケット、ブルゾン、スラックス (俗にメカニカルストレッチとも言う) など |
中程度 | 20~40% | ポリエステル加工糸織物 ポリウレタン混用織物 ニット素材全般 | ナイロンやポリエステルスポーツ、 カジュアル用ジャージ、作業服 など |
大きい | 40%以上 | ポリウレタン混用ニット など | ツーウェイトリコット、丸編みの各種タイツ、水着など |
項目 | 説明 |
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引き裂け | 織物は、経糸と緯糸が密に直交しているため、引張りには強いが、引裂強さが低いものがある。特にコーティング加工などが併用されると、さらに引裂強さは低下するリスクがある。ニットは、基本的にループ構造であるため、引裂かれにくい(注:たて編で方向性により一部引き裂けるものがある) |
衝撃による損傷 | ニットは、スライディング動作や過度な引張りで、素材が伸びることにより衝撃は吸収されやすい。織物は伸びが少なく、ニットほど衝撃は吸収されない(ストレッチ織物は衝撃吸収が期待される) |
摩耗 | 衣料が外部の物体と摩耗されると、ニットは基本的にループ構造であるため、ループが破壊されることがある。一方、織物は組織が堅ろうで、摩耗による破損は生じにくい |
ピリング・スナッグ |
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シームパッカリング | 薄地織物の縫製では、生地送りで重ね合わせた生地がずれたりして、シームパッカリングが生じることがある。ニット素材は、織物よりパッカリングの発生は少ないが、縫製時にニット生地が伸びた状態で縫われたことによるシームパッカリングが生じることがある |
縫い目滑脱 | 縫い目滑脱の現象は、織物独自の現象である。織物生地の糸種、密度、生地仕上げ加工、縫製条件、着用者のサイズ適合性などが関係する |
縮みや伸び切り | 衣料の縮みは、主に生地の収縮に起因する。洗濯収縮のメカニズムには、緩和収縮と膨潤収縮がある。織物では、主に膨潤収縮が生じ、ニットでは緩和収縮が生じやすい。 ニットの縮みは品質事故につながるリスクもあり、事前の品質管理が求められる。また、ニットの伸び切りについても、太番手のローゲージ素材で発生しやすく、適正な洗濯取り扱い表示などが求められる アパレル散歩道 第49回、63回 参照のこと |
織物/ニット | 織物 | ニット |
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縫製形式 | 主に本縫い (一部ジグザグ縫い) | 主に環縫い(単環縫い、二重環縫い、オーバーロック縫い、扁平縫い など) |
説明 |
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裁ち端のほつれ | あり (ほつれ防止のかがり縫い要) | なし |
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