2019/05/30
No. 137 「部屋干しで早く乾かす方法を考えてみよう…」
思いつきラボ
2017/05/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年5月30日時点の内容です。
2017年 4月 1日より家庭用品品質表示法で組成表示の一部改訂がありました。 2016年 12月から洗濯表示が変わったばかりで対応に追われているのに 、それどころじゃないよ・・・という声も聞かれますが、指定用語の施行については 2018年 4月 1日まで猶予期間もあるとはいえ、切り替えていかなければなりません。その中で「麻」の表示も改訂されたのですが、いままでは「麻」だけの表示だけだったのが、「苧麻(ちょま)」「ラミー」「亜麻(あま)」「リネン」の 4 つの表示も付けていいことになりました。
いままでも「麻」と表示していいのは亜麻と苧麻だけだったので、新たな種類の麻が加わったということではありません。「ラミー」は苧麻の英語読み表記で「リネン」は亜麻のことになります。
新しい表記だと、亜麻と苧麻を両方使って作られた生地があるとすれば
新表示 旧表示
亜麻 50% 麻 100%
苧麻 50%
と記載することができるようになります。
新表示のほうが新鮮な感じを受けますが 一般の方には知名度のない表記なので不安感を与えるかもしれません。同一商品で組成表示を変えて販売したらどちらの 方が売れるか検証したくなります。
綿との交織の生地でも
新表示 新表示 旧表示
綿 50% 綿 50% 綿 50%
苧麻 50% 亜麻 50% 麻 50%
という表記ができますが、実際はどのような表記で市場にでてくるのか分かりません。英語読みのカタカナ表記もできるようになったので
新表示 新表示 旧表示
コットン 50% コットン 50% コットン 50%
ラミー 50% リネン 50% 麻 50%
と表記することも可能になりました。いままでは麻に関しての指定用語は「麻」という漢字表記しかなく、カタカナ表記も英語表記もできませんでした。
その意味ではカタカナ表記ができることでカタカナで統一した表記が可能となったので、見た目のスッキリ感はあります。ただ今回の改訂でも英語表記はありませんので、英語表記の認められている素材との表記は
新表示 新表示 旧表示
COTTON 50% COTTON 50% COTTON 50%
ラミー 50% リネン 50% 麻 50%
となり、なにかスマート感に欠けてしまいます。今回改訂になったものの英語表記に関しては追加
されませんでした。
天然素材の指定用語は
綿・・・「綿」「コットン」「COTTON」
麻・・・「麻」「亜麻」「リネン」「苧麻」「ラミー」
絹・・・「絹」「シルク」「SILK」
毛・・・「毛」「羊毛」「ウール」「WOOL」
「アンゴラ」「カシミヤ」「モヘヤ」「らくだ」「キャメル」「アルパカ」
となっており、麻だけ英語表記がないことが分かります。
交織や交編などの表記としては組み合わせの数は多くなります。漢字表記で統一するかカタカナ表記かなどメーカーの個性がでることになります。家庭用品品質表示法が改訂されて「麻」の指定用語が増えたという原稿ですが、せっかくなので「麻」についておさらいしておきましょう。
麻には、指定用語に加えられた苧麻や亜麻以外にも「大麻」や「黄麻」 や「マニラ麻」など麻の名称がついているものもありますが、麻の表示ではなくて指定外繊維として表示されています。 繊維で使われている麻は植物分類ではなく、繊維に利用できたものを昔から「麻」と呼んでいたのです。
麻は古代から利用されている歴史ある繊維です。天然繊維の中では最も強い繊維で水に濡れても強いことが特徴で、通気性もよくシャリ感があるので 、湿度の高い日本に適した素材といえます。吸湿性に優れていて綿ほどの保水性はないのでベトツキ感は少ない天然素材です。繊維に小さな節があるのが、肌への接触を少なくしていることも涼感につながっています。またしわになりやすいのも特徴のひとつですが、しわになることでさらに肌への接触面積が少なくなることでさわやかな着心地を与えてくれます。
麻が夏用の素材に向いているのはこのような特徴からと考えられているのです。
「苧麻」と「亜麻」の違いを聞かれるのですが、色が着いてしまうとほとんど見極めは難しいです。比較をすれば苧麻の方が光沢感があり、亜麻の糸の方が太いものが多いので、生成りでナチュラル感のある商品は亜麻が使われることが多いです。
最後に「麻」の雑学を紹介しておきますと、古代から使われている麻は「大麻」なのです。
苧麻も亜麻も年代的には後世になってから日本に入ってきたとされているのです。古来から日本で自生していた麻は大麻と呼ばれるもので、今では「指定外繊維 (大麻)」や「指定外繊維 (ヘンプ)」という表記になっていたのです。
ちょっと不思議な話ですが、現代では「苧麻」と「亜麻」が衣料品では主流になっているということなのです。
そうそう今回の原稿では「指定外繊維」という表記を使いましたが、改訂では「指定外繊維」は使用せずに「分類表示」にしなさいということになりました。
指定外繊維(大麻) ⇒ 植物繊維(大麻)
指定外繊維(ヘンプ) ⇒ 植物繊維(ヘンプ)
という表記になります。
早いこと慣れなければ…
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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