2022/07/01
MADE IN GREEN by OEKO-TEX®を知ろう 第2回 エコテックス® メイド イン グリーンの仕組みとは
おさえておきたい基礎知識
2026/05/20

災害へのリスクヘッジが重要とされている昨今、万が一の備えとして、保存食がとても身近な存在になっています。保存食とは、乾燥や塩漬け、燻製、発酵、缶詰などの加工によって、通常よりも消費期限を長く保つ食品のことです。現代では冷蔵庫や冷凍庫があるので、ある程度日持ちしますが、こうした技術がなかった時代はどうしていたのでしょうか? 古より、食べ物を無駄にしないよう、また寒冷期の備蓄のため等、いろいろな工夫をしてきました。その中で生まれたのが保存食です。
保存食と呼ばれるものには、ジャムや漬物、干し柿、ピクルス、魚の干物などたくさんあります。でも実はこれらの保存食、「なんとなく長持ちする」わけではありません。じつは水分や酸、塩分などをうまくコントロールして、『微生物が増えにくい』環境を意図的に作り出すことで、食品を腐敗から守っているのです。
今回は、保存食がなぜ長持ちするのか、微生物試験が大好きな(笑)わたしたち試験担当者が解説しちゃいます。
食べ物が「腐る」とは、微生物が増殖し、食品の成分が変質して食べられなくなる状態を指します。一方で、同じように微生物が関与していても、人にとって有益な変化が起こる場合は「発酵」と呼ばれます。納豆がその一例です。
微生物が増えるには、栄養、水分、温度、pH、酸素などの条件が揃う必要があります。逆に言えば、「腐る」ことに対しては、上記条件のいずれかをコントロールすれば、微生物の増殖を抑えて腐りにくくできるということです。保存食は、まさにこの考え方で作られています。

保存食は日本だけでなく、世界各地でさまざまな形で発展してきました。例えば、中国のピータンやザーサイ、また地中海沿岸で親しまれているアンチョビなどがあります。ピータンはアルカリ性の環境を利用して微生物の増殖を抑えるという少しユニークな方法で作られており、ザーサイやアンチョビは塩を活用した保存食です。作り方はそれぞれ異なりますが、前述のとおり、いずれも微生物の働きを抑えたり、うまく利用したり、工夫している点が共通しています。
それでは、身近な保存食を例に、その仕組みを見ていきましょう。
含まれる砂糖が水分と結びつくことで、微生物が利用できる水分(自由水)が少なくなり、その結果、微生物が増殖しにくくなります。一般的に糖度が高いほど保存性が高くなります。
砂糖と同じように、塩も水分と結びつき微生物が使える水分を減らし、腐敗を抑制します。特に梅干しは酸も強く、かなり腐りにくい食品と言えます。
酢を用いることで食品のpHを低下させ、微生物が増殖しにくい環境を作ります。多くの細菌は酸性条件に弱く、特にpH4.5以下では増殖が大きく制限されます。このように「酸」を利用した保存方法は、比較的短時間で効果が得られる点も特徴です。
食品中の水分を乾燥によって減少させることで、微生物が生育に必要とする水分を大きく制限します。水分が極端に少ない環境では、多くの微生物は増殖することができません。比較的シンプルでありながら、古くから世界中で利用されている保存技術です。
燻製では、乾燥による水分低下に加え、煙に含まれるフェノール類などの成分が抗菌作用を示すことで、微生物の増殖を抑制します。さらに表面が乾燥することで、微生物が付着・増殖しにくくなる効果もあります。

それでは、今回のまとめをしてみましょう。
ジャムを例にすると、砂糖が水分を抱え込むことで、微生物が増えにくい環境が自然と作られ、腐りにくくなります。これは決して特別なことではなく、同じように塩や酸、乾燥といった方法もそれぞれ違った形で微生物の増殖を抑えています。「保存食とは何か」を改めて整理すると、食品そのものの性質や形態を大きく変えるわけではなく「微生物が増えにくい状態を作る」ことであり、それらの効能は日常生活での工夫の積み重ねにより実現できたと言えるかもしれません。
つまり、なにか特別な理論から生まれたというよりも、古くからの人々の生活の知恵や経験が少しずつ形になったものなのです。それらが現代の微生物学の視点で見ても納得でき、そして理にかなった仕組みになっているという事実に、試験担当者として、ある種の感動を覚えます(感涙!)。
ただし、「腐りにくい=絶対に腐らない」というわけではありません。例えばジャムでも、濡れたスプーンですくうと、その水分の部分では微生物が増えやすくなることがあります。これは、微生物が利用できる水分の量、いわゆる「水分活性」が部分的に高くなってしまうためです。環境が少し変わるだけで、微生物の増えやすさも変わってしまうのです。
普段何気なく食べているジャムや漬物、干物なども、少し視点を変えてみると、微生物とうまく付き合うための知恵が詰まった食品だと感じられるのではないでしょうか。身近な保存食の中に、そんな“見えない工夫”が隠れていると思うと、いつもの食事が少し面白く感じられるかもしれません。

バイオケミカルグループでは、さまざまな製品の抗菌・抗ウイルス試験や、消臭・防臭試験などを行っています。「該当する試験規格がなく、評価の進め方が分からない」「どう評価すればいいか分からない」など、評価方法のご相談から対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
【コラム執筆担当】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 バイオケミカルグループ
本コラム「試験担当者のひとり言」は、毎月2回(5日・20日)更新しています。
次回もお楽しみに!
■関連記事
お役立ちな独白6 おむつ防臭袋の代用にパン袋?暮らしの裏技、その実力は?
お役立ちな独白7 【数値で比較】パン袋vs防臭袋 防臭性能を検証
お役立ちな独白16 培地ってなに?-微生物を育てるごはんの話-
おさえておきたい基礎知識
各種お問い合わせCONTACT
サービス全般についてのお問い合わせ
![]()
各種試験・検査に関するお問い合わせ、ご依頼はこちらから承ります。
エコテックス®に対するお問い合わせ
![]()
エコテックス®認証に関するお問い合わせ、ご依頼はこちらから承ります。
技術資料ダウンロード
![]()
各種試験・検査に関する技術資料が、こちらからダウンロードいただけます。
よくあるご質問
![]()
試験・検査などで、皆さまからよくいただく質問と回答をまとめています。
お電話からのお問い合わせはこちら