思いつきラボ

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No. 96 「ランドセルカバーにも高視認性推奨規格が…」

2017/09/15

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2017年9月15日時点の内容です。

2016年12月15日に(一財)日本交通安全教育普及協会が制定した団体規格

JATRAS-001  児童向け高視認性安全服
JATRAS-002  自転車通学者向け高視認性安全服

は、反響も大きく、茨城県水戸市では水戸市内に在籍する 2,267名の小学 2年生全員にこのJATRAS-001 児童向け高視認性安全服の認証品を配布することが実施されました。

今年度だけではなく毎年 2年生に配布するという方針も打ち出されていて、他の自治体や学校関係者の注目を集めています。胸に水戸市のキャラクター「みとちゃん」のワッペンが付けられていて、高視認安全服も「みとちゃんピカ ベスト」と通称名で呼ばれるようになっています。

JATRAS-001 認証品ベストの着用例

もともと水戸市は子どもの交通事故対策には熱心なところで、高視認性安全服の規格が発行される前から高視認性の機能をもったベストの着用を推進していたこともあって、JATRAS-001児童向け高視認性安全服の規格ができたのと同時に認証がとれるよう、メーカーサイドで申請の検討がされました。

認証商品が採用されることになって、交通事故対策の安全性も高まることになりました。さらに素晴らしいことに、毎年配布する資金調達にこの運動に賛同する地元の企業さんたちが集まって 「みと児童安全安心サポート会議」なる団体を立ち上げて、自治体と企業と学校とともに子どもたちを見守る体制が作られたということになりました。

高視認性安全服の新たな規格作り

JATRAS 団体規格の基(もと)になっている JIS規格「 JIS T 8127 高視認性安全服 」は、本来道路整備者や鉄道保全者などの作業従事者が対象になっているので、子どもサイズや暑熱対策や配色数などについてはあまり応用のきかない規格になっています。日本交通安全教育普及協会のような一般財団法人が独自の団体規格を制定して、高視認性安全服の考え方を児童向けや自転車通学者向けに新たに規格を作り、それが交通事故を減らす 活動につながっていく、というのがとてもいい流れになっていると感じてしまいます。

そんなJATRAS団体規格に新たに推奨規格が加わりました。
制定されたのが 

JATRAS-301:2017 

児童向け高視認性安全服の関連商品 
推奨規格

平成29年8月25日 制定

(右上画像)JATRAS-301:2017の表紙

というタイトル名で対象となっている製品アイテムが

アイテム 1 ランドセルカバー
アイテム 2 ランドセルに取り付けるポーチ
アイテム 3 通園・通学時用レインウェア

で 3つのアイテムに規格が設けられています。

推奨規格ができた背景には、小学生はランドセルを背負って通学することがほとんどなので、ランドセルで高視認性安全服の見える部分をさえぎってしまいます。そこで、ランドセル姿に関連する商品にも高視認性機能を持たせることで、視認性の補完をすることが望ましいという考え方になってきました。

それが規格タイトルの通り、児童向け高視認性安全服の関連商品ということになりました。 ランドセルは小さい子が背負っていると、後ろから見るとランドセルが歩いているような光景にも見えてしまいます。微笑ましい姿なのですが、視認性という観点からはマイナスの要素になってしまいます。ということで、ランドセルカバーにも蛍光生地と再帰性反射材が取り付けられているものを推奨しようということになりました。ランドセルに取り付けるポーチも後ろから見たときに高視認性機能が備わったものを、安全性を高めるために推奨しようということになりました。

雨の日に…

通園・通学時のレインウェアというのは、雨の日にランドセルを背負ったまま着用できるレインコートが多く利用されているので、この場合高視認性安全服を着ていても推奨ランドセルカバーを付けていても、全てを覆ってしまうので見えなくなってしまいます。
ということで通園・通学時のレインウェアも高視認性効果を持たせることで、安全性を高めようということになりました。あくまで児童向け高視認性安全服の関連商品という位置づけになります。
高視認性安全服の認証とは違い推奨ということになっています。

(一財)日本交通安全教育普及協会は交通事故を減らして、交通被害者を少しでも減らしていこうという考え方の団体ですので、少しでも交通事故の減少の可能性があると判断できれば、高視認性安全服や関連商品の規格化を検討しようということになっています。
高齢者の夜間の交通事故や雨天時の事故など、子どもだけでなく高視認性機能を備えた商品が普及することに取り組んでいます。
子ども服メーカーや服飾学校なども児童向けの安全性に対して積極的に取り組むようになっています。さらなる成果があがるように協力していきたいと思っております。

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お問い合わせ
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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