2020/09/01
第2回 : アパレルメーカーのものつくり
アパレル散歩道
2021/12/01


2021.12.1
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前々回と前回のコラム「アパレルの散歩道」では、「生理的快適性」を取り上げましたが、今回は、「耐久性」、「安全・安心性」の2分野を取り上げます。この2つの機能は、先の運動機能性や生理的快適性に比べると、いずれも地味な機能ですが、アパレル製品にはなくてはならない重要な機能です。
| 大分類 | 中分類 | コメント |
|---|---|---|
| 着用条件 | ・着用頻度 | 週に何回、何年使用か |
| ・着用内容 | 着用して何をしたのか(作業、運動) | |
| ・サイズ感 | 窮屈感はどうか | |
| 洗濯条件 | ・洗濯頻度 | 週に何回、何年使用したのか |
| ・洗濯機洗いか手洗いか | 手洗いなら洗い方、浴比はどうか | |
| ・手洗い方法 | もみ洗いや振り洗いによる傷みはないか | |
| ・漂白剤や柔軟剤 | 取扱い表示との整合性はどうか 漂白剤のタイプはどうか 使用頻度や使用量はどうか | |
| ・自然乾燥かタンブルドライか | 日光による影響 自然乾燥は蔭干しか、日向干しか 等 | |
| 保管条件 | ・保管期間 | 何週間、何年保管していたか |
| ・保管場所 | 保管場所による環境 (湿気、日光、ガスの影響) |
| 大分類 | 中分類 | コメント |
|---|---|---|
| マーケティング・設計 | ・品質基準 | 商品の耐久性をどのように設定したか |
| ・素材設計 | 素材の品質基準をどのように設定したか | |
| ・製品設計 | 製品設計・縫製仕様でどの程度考慮したか | |
| 生産管理 | ・素材生産加工のばらつき | 染色堅ろう度、物性にばらつきはなかったか |
| ・縫製加工のばらつき | 縫製工程でばらつきはなかったか | |
| 表示 | ・取扱い表示 | 商品の実力とマッチングしていたか |
| ・デメリット表示 | 取扱い情報が適正に提供できていたか |

図1.スポーツウエアが受ける外的影響
| 製品アイテム | 着用環境 | 具体的な品質管理項目 |
|---|---|---|
| インナー、Tシャツ、子供服 | 洗濯頻度が多い | 洗濯堅ろう度 繰り返し洗濯 |
| スキーウエア、アウトドアウエア | 屋外で紫外線を浴びる機会多い | 耐光堅ろう度 はっ水 |
| ゴルフポロシャツ | 日光と汗の影響が大きい 洗濯頻度多い | 汗、汗日光堅ろう度(綿素材限定)、 洗濯縮み 消臭 |
| アウトドアウエア、ゲームシャツなど | 雨、雪の衣服内浸透 汗など濡れたまま放置 | 汗、水、色泣き堅ろう度 耐水性 |
| 競泳水着 遊泳水着 | 塩素、塩水暴露の機会多い | 塩素処理水、耐塩素物性、塩水堅ろう度、プール試験 |
| ラグビー サッカーウェア 野球 バレーボールなど | スライディング、タックルによるダメージ | 引張り強さ、摩耗強さ、破裂強さ、摩擦溶融 |
| 防寒衣料全般 クーリング衣料全般 | 寒冷、酷暑、高温多湿での使用 | 保温、クーリング、吸湿発熱、接触涼感、通気、防風 |
| チームウエア商品 | チームとしての使用 | カラーマッチング |
| 濃淡配色商品 | 色なき、白場・淡色汚染のリスク | 湿潤染色堅ろう度全般 |
| 形状 | 主な用途 | 説明 |
|---|---|---|
| ポリウレタン糸 | タイトシルエット製品全般 タイツ、水着など | 織物やニットに混用して使用する |
| ポリウレタン被膜 (コーティング、ラミネート加工) | 合成皮革製品 防水衣料品 | 主に織物にコーティングやラミネートなど被膜加工をする |

図2.水着用ポリウレタン混トリコットのポリウレタン脆化の一例

| 欠陥の分類 | 内容 | 事例 |
|---|---|---|
| 設計上の欠陥 | アパレル製品の設計自体に問題があった。 |
|
| 製造上の欠陥 | 当初の設計通りに製造されなかった。 製造にばらつきが生じていた。 |
|
| 表示上の欠陥 | 商品の危険性について、適切な警告が表示などで実施されていなかった |
|
| リスクの分類 | 事故事例 | ハザード(リスク源) |
|---|---|---|
| 主素材 |
|
加工薬剤 |
|
素材の燃えやすさ | |
|
繊維特性 | |
| 副資材 |
|
副資材の硬さ |
|
副資材の鋭利さ | |
| パターン・設計 |
|
着圧 ゴムのパワー |
|
自由端のひも仕様 | |
|
自由端の長さ、部位 フード設計、形状 | |
| 縫製工程 |
|
副資材の硬さ、形状 |
|
折れ針管理 | |
| その他 |
|
溶剤管理 |
|
表地平滑性 | |
|
生地平滑性 融点 |

図4.表面フラッシュ現象の一例

図5.子ども服の安全リスクの例
| 繊維の種類 | 軟化点(°C) | 溶融点(°C) | 炭化点 |
|---|---|---|---|
| 綿・レーヨン・キュプラ | 軟化しない | 溶融しない | 200~300℃で着色分解 |
| ポリエステル | 238~240 | 255~260 | – |
| アクリル | 190~240 | 不明瞭 | – |
| ナイロン6 | 180 | 215~220 | – |
| ナイロン66 | 230~235 | 250~260 | – |

図6.バレーボール レシーブのイメージ

図7.摩擦溶融跡の一例
(トレーニングパンツひざ部分)
次回は、保温性に優れた羽毛衣料品について、その長所と短所について勉強しましょう。
コラム : アパレル散歩道32
~魅力ある商品を開発するために~
テーマ : 羽毛衣料品について
発行元
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 事業推進室 マーケティンググループ
E-mail: pr-contact@nissenken.or.jp URL:https://nissenken.or.jp
※当コラムの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
Profile : 清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)
43年間株式会社デサントに勤務し、各種スポーツウェアの企画開発、機能性評価、品質基準作成、品質管理などを担当。退職後は、技術士(繊維)事務所を開業。趣味は27年間続けているマラソンで、これまで296回の大会に参加。
社外経歴
(一財)日本繊維製品消費科学会 元副会長
日本繊維技術士センター理事 技術士(繊維)
文部科学省大学間連携共同教育事業評価委員
日本衣料管理協会理事 TES会西日本支部代表幹事
アパレル散歩道
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