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使用中の化粧品がすぐに腐ったりカビが生えたりしないように、適切に防腐剤等を配合して防腐力を付与していることは、過去のひとり言(お役立ちな独白11)でお話ししましたね。
今回のコラムは、その防腐力に焦点を当てた内容です!
化粧品に使われる防腐剤は、安全性が確認された成分と配合量を国が規定し、「化粧品基準」として定められています。その代表例が「パラベン」。…この名前、なんとなくネガティブなイメージを持っている方もいるのではないでしょうか?
実際、ある調査では、化粧品にパラベン等の石油系防腐剤が使われていた場合、なんと
88%の消費者が購入をためらう
という結果も出ています。
“嫌われ者”な防腐剤。でも化粧品中の微生物汚染を避けるためには欠かせない存在です。どうして 嫌われてしまったのか、その背景を振り返りながら、今回は防腐剤の効果を検証してみたいと思います。


化粧品に使用する成分は、各企業の判断により適切に配合されていますが、必ず守らなくてはならないルールとして、厚生労働省により「化粧品基準」が定められています。防腐剤についても、安全性が確認されたものが配合可能成分リスト(ポジティブリスト)に収載され、「防腐剤」として使用できます。
パラベンは古くから防腐剤として使用されていますが、
・1980年にアレルギーを引き起こす可能性があるとして、旧厚生省が「表示指定成分」として表示を 義務付けていたこと(現在は全成分表示のため廃止)
・1990年代に内分泌かく乱物性があると疑われた経緯
などがあり、「パラベン=危険」というイメージが広まってしまいました。現在では安全性に問題はないと されていますが、消費者の要望を優先してパラベンフリー製品の販売が始まったといわれています。
その流れで注目された防腐剤が「フェノキシエタノール」です。フェノキシエタノールは表示指定成分には含まれていなかったことから、パラベンの代わりとして使用が広がっていきました。

実際、これらの防腐剤が入ることで化粧品はどれくらい腐りにくくなるのでしょうか?
職業柄、気になってしまいます。
そこで、手作り化粧水を用いて、化粧品の防腐力を評価する保存効力試験※を参考に検証してみました。
| ※保存効力試験 … チャレンジテストや防腐試験とも呼ばれ、製品に菌を混合して保存し、時間の経過とともに菌数が基準 まで減少・抑制されているかを測定する方法。最長4週間(28日間)で評価するが、今回は7日間で評価。 |
【化粧水の比較】
今回の検証では、防腐剤の有無や種類を変えた下記3種類の手作り化粧水を用いて比較しました。
| 防腐剤 | ベース | その他成分 |
| 化粧水① | なし | 滅菌水 | グリセリン(保湿剤) など |
| 化粧水② | パラベン (メチルパラベン) | ||
| 化粧水③ | フェノキシエタノール |
【検証方法】
1. 大腸菌を3種類の化粧水に接種する。
2. 化粧水を22.5℃で7日間保存する。
3. 保存後の化粧水の一部を細菌用の寒天培地にまいて3日間培養する。
4. 寒天培地に発育したコロニーを数え、化粧水1gあたりの生菌数を計測する。
7日後の菌数は、以下の表のようになりました。
| 化粧水① 防腐剤配合なし | 化粧水② メチルパラベン配合 | 化粧水③ フェノキシエタノール配合 |
| 菌数 | 2,960,000 | 279,000 | 2,200 |
| シャーレ写真 | ![]() 菌が増加 | ![]() 菌が50%以上減少 | ![]() 菌が99%以上減少 |
今回は、わずか7日間、室温を想定した22.5℃という比較的穏やかな条件で検証しました。それでも、防腐剤を 配合していない化粧水では菌数が約5倍に増加し、化粧品がいかに微生物の影響を受けやすいかが分かります。一方で、防腐剤を入れた手作り化粧水はしっかりと菌を減らしています。
今回の検証では、メチルパラベンを配合したものは50%以上、フェノキシエタノールを配合したものは99%以上菌を減少させていました。
この結果から、防腐剤は「入っているか・いないか」だけでなく、成分ごとに抗菌力や作用の仕方が異なることが分かります。さらに今回は単一菌種・短期間・簡易処方での評価であり、実際の化粧品では使用環境や微生物の種類は より複雑です。それを考えると、製品設計段階での防腐対策がいかに重要であるか、改めて実感しました。
最近は、「腐るのを防ぐ=本来は腐るものに薬を入れている」という連想から、防腐剤そのものにネガティブなイメージを持つ人も増えています。しかし、化粧品に使用されている防腐剤は、安全性が確認された成分と配合量のみが認められており、正しく使われている限り安全性に問題はありません。
一方で、「防腐剤フリー」と表示されている製品も多く販売されています。でも、防腐剤を入れないと、今回の検証のように菌が増えて腐ってしまうのでは・・・?と感じる方もいるかもしれませんね。
ここで押さえておきたいのは、最初にお話したとおり、ポジティブリストに収載された成分だけが「化粧品における防腐剤」と定義されている点です。
そのため、防腐剤フリー製品には「防腐剤」そのものは配合されていなくても、防腐助剤などの抗菌効果を持つ成分を組み合わせることで、微生物が増えて腐らないように設計されています。

防腐剤入りか、防腐剤フリーか。
どちらが良い・悪いという話ではなく、いずれも化粧品を安全に使うために、菌が増えないよう工夫されている点は共通しています。大切なのは「防腐剤が入っているかどうか」ではなく、「その製品がきちんと防腐設計されているか」という視点なのかもしれません。
今回の検証は簡易的なものでしたが、実際の製品評価では、
・使用環境
・想定される微生物
・処方や成分の組み合わせ
などを考慮した試験設計が重要になります。
ニッセンケンでは、規格試験に限らず、実使用に近い条件を再現した評価や、目的に応じた試験設計のご提案が可能です。
「効果がある」を、試験で可視化して証明する。
その一歩を、ぜひ私たちにご相談ください。
【コラム執筆担当】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 バイオケミカルグループ
本コラム「試験担当者のひとり言」は、毎月(20日)更新しています。
次回もお楽しみに!
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