2024/04/02
《化学物質のいろは》第6弾 環状シロキサンについて
おさえておきたい基礎知識
2023/12/04
世界の化学物質の使用状況において、実に25%を占めているのが繊維関連製品の生産におけるものです。そこで、SDGsの目標の1つでもある「12 つくる責任、つかう責任」を担う繊維産業・関連産業に携わるすべての方に、少しでもお役に立てるよう、化学物質に関する基礎知識と最新情報をお届けしたく、この《化学物質のいろは》シリーズを9月より開始しました。
図1 繊維産業チェーン概念図
今回の第3弾では、ビスフェノールAについて、解説していきます。みなさんは「BPAフリー」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。BPAとはビスフェノールAという化学物質です。BPAはプラスチック製品の原料や添加剤などに使用されています。しかし一方で、BPAは人体に影響があるとも報告されています。
主にポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂などの原料として使用されている物質です。そのため、ポリカーボネート製品には、製造過程で未反応のビスフェノールAがごく微量残留する可能性や、缶詰等の内面塗装剤にエポキシ樹脂が使用されていると、内容物にビスフェノールAが溶出する可能性もあります。
図2 ビスフェノールA 構造式
ラップ|ジッパー付き保存袋|保存容器|お弁当箱|電子レンジ用調理容器|飲料用ボトル|哺乳瓶|おしゃぶり|おもちゃ|文房具|粉ミルクの缶|コーヒーやジュースなど飲料の缶|自動車部品|建築資材|医療用品…など、幅広く使用されています。繊維関連では、ポリアミド染色定着剤、スルホン系およびフェノール系皮革なめし剤に含まれることがあります。
男性の精子数減少、女性の子宮内膜症など、ヒトの生殖系に影響がある内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の一つです。一般毒性は弱く、ヒトに有害な影響を与えたと確認された事例は少ないと言われていますが、厚生労働省は公衆衛生の見地からビスフェノールAの摂取をできるだけ減らすことが適当と考え、食品衛生法で規制しています。
・3回以上の流産経験がある女性と未経験の女性の比較調査で、
血清 BPA 濃度の高値と再発性流産の増加に関係がある可能性(2005年)
・代謝機能を混乱させ、肥満・糖尿病を引き起こす可能性(2013年)
・男性の精子数減少、乳がんや前立腺がんに繋がるリスク(2015年)
▶エコテックス® / スタンダード100、レザースタンダード、エコパスポート
▶日本:食品衛生法、ST基準(玩具の安全基準)
▶欧州:REACH(付属書17、SVHCなど)
▶米国:カリフォルニア州法プロポジション65
ビスフェノールAのみならず、代替物質であるビスフェノールB、ビスフェノールSもエコテックス®では規制をしています。また、ビスフェノールF、ビスフェノールAFなども規制の動きが出始めており、PFASと同様に、今後ビスフェノール類の規制も強化される可能性があります。
【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp
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