繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2019年7月15時点の内容です。

7月5日に文化服装学院で学生自主制作の作品プレゼンテーションが開かれました。 5月に“子ども服の安全性”についての授業を行いましたが、その内容は、繊維製品の安全に関わる法令や高視認性安全服の規格などを講義で説明したものです。その授業を踏まえて学生たちが「子ども達を交通事故から守る」というテーマで自主制作をするというものなのです。とはいえ作業者たちが着るような規格基準を満たすような作品ではなく、あくまで子ども服の持つ“かわいらしさ”や“カッコいい”デザインに、少しでも安全素材として利用されている再帰性反射材や蛍光生地を取り入れた作品を作ってみようというものです。

今回で3回目を迎えるのですが、各クラス 3チームが参加して、21チーム計75名の学生が参加して発表を行いました。今年も事前調査で警察署や保育園などを訪問しての市場調査や文献を調べての取組など、その内容に感心させられました。興味深い・面白い企画案が多かったので出来上がりが楽しみになりました。夏休みを利用して制作に取り掛かり　11月の文化祭（11/3-5）で人気投票を行い、獲得票数の多い作品と学年担任の先生方の審査を経て10チームほどが選ばれて、11月27日に行われる最終審査会で優秀作品が決まるというスケジュールになっています。文化祭は一般の方たちも見学できますので、興味のある方はスケジュール表に予定をいれておいてください。

高視認性安全色の制定色…

この取り組みで筆者が担当しているのは“高視認性安全服”の規格についてで、「JIS T 8127 高視認性安全服」を基本として作られた(一財）日本交通安全教育普及協会規格「JATRAS-001　児童向け高視認性安全服」や（公社）日本保安用品協会規格「JSAA-2001　一般利用者向け高視認性安全服」の解説をしています。

それぞれの規格の蛍光色の指定色の数なのですが

JIS T 8127   　 3色
JATRAS-001      8色
JSAA-2001     　8色＋2色(推奨色）/10色

と規定色の数が異なってます。

JIS規格では色数が少ないので、配色展開がしにくいという理由で団体規格は色数を増やしています。団体規格の認定品も出始めてはいるのですが、この8色や10色を全て展開してくれるメーカーはまだありません。現実的には似たような色目もあるので、ひとつのブランドで全色展開というのは難しいと思います。仮に10色を4サイズ展開と考えても40種類になってしまい在庫の問題などが生じてきます。といいながらも、全部の色を見てみたいという要望は多く聞かれます。テキスタイルメーカーとしてもビーカー（色出しの準備）までは行うものの注文がこないことにはなかなか染付られません。

規格に関わった立場でもあり、授業で10色を見てもらうことで感覚的な理解もできると判断したので、JATRAS規格・JSAA規格の推奨色を含めて 10色を1反染めしました。
生地のイメージと合わせ製品のイメージを見てもらうために、100サイズと120サイズでサンプルも作りました。ニッセンケンオリジナル児童向け高視認性ベストとなりました。

実際に作ってみると可愛さが増します。せっかくなので1反染めの生地を残すのももったいないので、全色100サイズと120サイズで縫製することにしました。数量は限られますが希望者が購入できるようにしたいと思っております。製品の仕上がりは8月中旬くらいになりそうです。販売価格は＠2500円(税込）となります。再帰性反射材が高価な上に1反染めのサンプル作成の割には価格的は妥当な線で落ち着いたと思っております。出来上がりのときにまたアナウンスさせてもらいますのでよろしくお願いいたします。

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ　グループ長
竹中 直（チョク）
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp