アパレル散歩道

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第58回 : ケーススタディ⑭表示不適正

2023/11/01

品質事故を分析して原因と対策を考えようアパレル散歩道 品質事故を分析して原因と対策を考えよう

2023.11.1

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 昨年の10月から、ケーススタディとしてアパレル製品の品質事故を分類別に勉強してきました。アパレル製品には、多くの種類の品質事故があることがお分かりいただけたかと思います。
 アパレル製品に多様な品質事故が多いのは、アパレル製品の目的や外観、製造方法の多様性に大きく関係しています。表1では、これらのアパレル製品の特性を分類して示します。



表1 アパレル製品の特性と品質事故因子について
事故因子の分類説明
製品全体身に着けるのは共通だが、用途ごとに多様な衣料が企画されている
主材料天然繊維や合成繊維など、各種繊維素材が使用され、多様な織編組織や染色仕上加工が施されている
副資材繊維材料だけでなく、金属材料やプラスチック材料、天然材料などが使用されている
二次加工顔料捺染、熱接着加工、プリーツ加工など、特殊な加工が施されている
商品企画紳士、婦人、スポーツ、インナー、作業服、カジュアルなど様々な目的をもった衣料が企画されている
裁断着用感やシルエットを考慮した多様なパターン(型紙)が使用されている
縫製多種多様な縫製仕様を用いて縫合されている
表示多様な表示が付記されている。また不十分な表記の場合もある
消費者消費者の体型や着こなしには個人差がある
日常の運動内容、使用頻度など、消費者の行動パフォーマンスにも個人差がある
洗濯家庭洗濯や商業クリーニングで処理され、処理頻度にも差がある
洗濯工程で、漂白剤や柔軟剤、アルカリ剤などが併用されることがある
経時劣化各種繊維素材などでは、技術限界による劣化など、素材特有の性質がある

今回のアパレル散歩道 第58回では、品質事故分類の最後として、「⑭表示不適正」に関する事例を紹介します。なお、「表示不適正事例」は、「アパレル散歩道 第12回」(2021年2月)でも紹介していますので、改めてご覧ください。

  1. アパレル製品の「表示」の種類
     アパレル製品には下げ札やシール、そして縫い付けラベルなどで各種表示が付けられています。表2に、主な表示項目を紹介します。ここでは、主に法令や規格に基づいた適切な表記が求められます。

    表2 アパレル製品の表示項目について
    表示項目表示の例表示の根拠 (法令・規格など)
    繊維組成綿65% ポリエステル35%
    表地 麻100% 裏地 キュプラ100%

    など (図1参照)

    家庭用品品質表示法
    繊維製品品質表示規程
    取扱い

    など (図2参照)

    はっ水「はっ水(水をはじきやすい)」  など
    表示者及び
    連絡先
    (株)△△ 電話番号  など
    原産国ベトナム製  製造元○○(株)
    Made in China など (図3参照)
    不当景品類及び不当表示防止法
    (景品表示法)
    機能性「紫外線をカットします」
    「はっ水は着用の擦れにより低下します」

    など

    サイズ胸囲○○、胴囲○○  S.M.L

    など (図3参照)

    JISサイズ規格
    注意表示「使用後は直ちに洗濯してください」
    「タンブル乾燥はお避け下さい」 

    など (図4参照)

    任意
    (メーカーの自主的な判断による)


    図1 組成表示の例(市販品より)
    図1 組成表示の例(市販品より)

    図2 取扱い表示の例(市販品より)
    図2 取扱い表示の例(市販品より)



    図3 サイズ表示と原産国表示の例(市販品より)
    図3 サイズ表示と原産国表示の例(市販品より)

    図4 注意表示の例(市販品より)
    図4 注意表示の例(市販品より)



  2. アパレル製品の表示に関する不適正事例
     アパレル製品の表示には、表3のような表示項目があります。これらに対応して様々な不適正事例が発生していますので、併せて表3に紹介します。

    表3 アパレル製品の表示に関する事故例
    表示項目不適正な表示例表示の根拠
    (法令・規格など)
    繊維組成リヨセル製の衣料で、組成表示を「リヨセル100%」と表示した
    ⇒「再生繊維(セルロース)」や、リヨセルにこだわるならば「再生繊維(リヨセル)」が正解。ただし後者はレンチング社の承認が必要となる
    家庭用品品質表示法
    繊維製品品質表示規程
    ジャケットで、ポリエステルの裏地を表示し忘れた
    ⇒裏地は表示対象である
    総合混用率を足し算しても100%にならない
    綿/ポリエステル混紡シャツで、綿65% ポリエステル35%と表示したが、正しくは綿75% ポリエステル25%と判明した
    防寒着の詰物(中わた)を表示し忘れた
    取扱い取扱い表示で、水洗い可とウエットクリーニング禁止を組み合わせた
    水洗いが可能なブラウスに、ドライクリーニングのみの表示をした
    素材の耐熱性とアイロン表示が合致していない
    はっ水はっ水加工をしていないジャケットに、「はっ水」の下げ札を付けた
    表示者及び
    連絡先
    表示者、連絡先のいずれかを記載し忘れた
    原産国中国で縫製、日本で顔料プリント加工したTシャツを「日本製」と表示して販売した
    ⇒原産国は中国である
    不当景品類及び不当表示防止法
    (景品表示法)
    機能性通常のタイツに、「血行促進」と表示した
    ⇒医薬品医療機器等法違反である
    紫外線遮蔽シャツに「UPF+50」と表記したが、その数値が誤っていた
    サイズ婦人上着の基本身体寸法を、身長、バストの順に表示した
    ⇒JISではバスト、身長の順である
    JISサイズ規格
    シャツのサイズを「FREE」と表示した
    注意表示単に品質不良による事故を防ぐために、注意表示した任意(メーカーの自主的な判断による)

    ※サイズ表示は任意であり、上記のサイズに関する項目はJIS規格に則った場合の事例です。



  3. 表示不適正が発生する要因
     表示不適正トラブルが生じる原因は、結果としては本生産品に間違った表示がついていたことが主因になりますが、「なぜ間違った表示が付いたのか」をよく調査し、確実に改善することが必須です。要因には、表4のように3つの発生段階が考えられます。
     下げ札や縫い付けの表示は、アパレルメーカーが内容原案を作成し、副資材メーカーが印刷作成し、縫製工場で取り付けられます。不適正表示事故は、このいずれかの段階、もしくは複合して発生します。表示ミスは、その内容によっては、全品回収して表示を付け変えるなど、経費や納品スケジュールにとって大きなリスクになることを理解してください。次の3.1では、試作、表示作成、表示取り付けのそれぞれの段階で発生する表示事故を具体的に分析し、対策を併せて紹介します。

    表4 表示不適正発生の要因
    発生段階具体的内容責任の所在
    1試作試作段階で、誤った情報に基づき、表示原案を作成したアパレルメーカー
    マーケティング部門
    生産管理部門
    2表示作成表示原案は問題なかったが、下げ札など作成段階で記載間違いがあった副資材メーカー
    3表示取り付け表示物に問題はなかったが、縫製工場で取り付け間違いがあった縫製工場


    1. 試作段階のケース

      (1) 組成表示関連
       組成表示などは、通常試作段階で仕入先の素材メーカーや商社から「材料規格設計書」を入手し、その情報に基づき、関係者は、適正な表示、材料発注、原価計算などを実施しています。表5は、「材料規格設計書」の一例で、今回は織物とニットの2つの例を示しています。通常、組成表示をする場合は、総合混用率の数字を基本にします。

      表5 材料規格設計書の記載例
      材料規格設計書
      項目織物の例ニットの例
      品番W-001K-001
      品名交織サテンダブルニット
      糸使いたて糸 
      75dt/2 ポリエステル 
      60%
      よこ糸 
      120dt/2 レーヨン 
      40%
      表組織 
      40/2 
      55%
      裏組織 
      20/-綿/ポリエステル65/35 
      45%
      総合混用率E/R 55/45C/E 70/30
      組織サテンモックロディ
      密度タテ糸 80本/インチ
      ヨコ糸 65本/インチ
      40 ウェール/インチ
      35 コース/インチ
      全幅122153
      有効幅120150
      染色加工内容柔軟加工あり吸汗加工、裏起毛あり
      その他注意事項縫い目滑脱性 懸念ありピリング性 3級


      • 表5の「織物の例」では、たて糸とよこ糸の糸種とその重量比から総合混用率が算出され、通常は総合混用率が表示に使われる。
      • 同様に表5の「ニット」の例では、ダブルニットの表組織と裏組織の糸種と重量比から総合混用率が求められるので、通常は総合混用率が求められる。ただし、まれに生地構造を強調したい理由で、分離表示で表組織 綿100%裏組織 ポリエステル65% 綿35%と表記する場合もある。分離表示を採用するかはMDが判断すべき事項である。
      • 表5の有効幅は、マーキングによる原価計算の基礎になる重要な情報である。
      • ダブルニットなどでは、試作と本生産で、複数の糸の編み込み量が異なり、総合混用率が異なる場合があるの で、要注意のこと。
      • 試作段階から本生産段階にかけて、いろいろな理由で、糸種の変更、加工内容の変更、有効幅の変更などが生じる可能性があり、これらの各種変更が最終表示などに正しく反映できるよう、この「材料規格設計書」は常に更新して、最新版を関係者が共有できるよう、仕入れ先との連携、社内の情報共有のシステム化を進めること。


        ~生地が変更になったら~
        • 試作から本生産の段階で、糸種や加工方法、有効幅が変更になったら、直ちに仕入先から更新された「材料規格設計書」を再入手して更新してください。
        • 加工方法の変更が組成表示に影響を与えることは比較的まれですが、糸種の変更は組成表示に大きく影響し、法令違反になることがありますので気をつけてください。
        • 生機が変更になったら組成表示は要注意と考えてください。


      (2)取扱い表示関連
       取扱いに関する表示の記号は、JIS L 0001「繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法」で規格されています。是非、同規格の再確認をお願いします。
       取扱い表示は、当然ながら消費者のメンテナンスに大きく影響するため、消費者の利益を考慮した内容であることが大切です。表示を決定するにあたり、以下の3つを考慮してください。
      1. 表示記号の配列ミスや表示漏れをしないこと
      2. 素材や製品の消費性能と取扱い表示記号が、合理的で適正であること
      3. 上限表示を意識した表示に心がけること

       また、表示決定では、主素材・副資材・生地加工内容・製品加工内容(縫製含む)・二次加工(顔料プリントや熱転写プリントなど)の取扱いに関する特性を十分に理解し、必要に応じて製品洗濯試験や製品クリーニング試験、そして着用試験も実施し、適正な表示を決定することが望まれます。表6では、各種取扱い表示における表示決定因子を紹介します。

      表6 取扱い処理記号と表示決定の要素
      処理の分類と記号例表示決定の要素記号の概要
      ①洗濯処理

      • 使用材料はどのような繊維組成
      • 使用材料の洗濯寸法変化率はどうか
      • 副資材(芯地など)の洗濯性はどうか
      • 製品の実用洗濯試験結果はどうか
      • 製品の用途(特殊汚れの付着など)
      • 二次加工の内容
      • 製品の形状
      • 中材の特性

      など

      • 洗濯できない
      • 手洗いできる
      • 洗濯機で洗える
      ②漂白処理

      • 製品の色は白一色か(濃色部はないか)
      • 製品の繊維組成はどうか
      • 主素材、副資材ともに、塩素系漂白剤処理できるか
      • 主素材、副資材ともに、酸素系漂白剤処理できるか

      など

      • 漂白処理ができない
      • 酸素系漂白剤処理ができる
      • 塩素系漂白剤処理ができる
      ③乾燥処理
       (タンブル乾燥)
      • 製品は低温(排気温60℃以下)でタンブル乾燥できるか。外観変化はないか
      • 製品は高温(排気温80℃以下)でタンブル乾燥できるか。外観変化はないか

      など

      • タンブル乾燥できない
      • 低温タンブル乾燥できる
      • 高温タンブル乾ができる
      ④乾燥処理(自然乾燥)
      • 製品はつり干しできるか
      • 濡れつり干しがよいか
      • 日陰干しがよいか

      など

      • つり干しができる
      • 濡れつり干しができる
      • 日陰干しがよい など
      ⑤アイロン仕上げ

      • アイロン仕上げの難しい中材、表起毛、プリーツ加工、顔料プリント、装飾加工などの仕様の製品か
      • 使用している繊維素材の熱特性はどうか
      • 素材にアイロン仕上げによる白化やてかりはないか
      • スチームアイロンはできるか

      など

      • アイロン仕上げできない
      • 110℃以下でアイロン仕上げできる
      • 150℃以下でアイロン仕上げできる
      • 200℃以下でアイロン仕上げできる
      ⑥商業クリーニング処理
       (ドライクリーニング)
      • 製品(主素材、副資材、二次加工など)は、パークロロエチレンによる処理ができるか
      • 製品(主素材、副資材、二次加工など)は、石油系溶剤による処理ができるか
      • 処理が可能とすると、通常の処理、弱い処理のいずれが適正か

      など

      • ドライクリーニング処理ができない
      • パークロロエチレン溶剤による処理ができる
      • 石油系溶剤による処理ができる
      • 洗いの強さの指定
      ⑦商業クリーニング処理
       (ウェットクリーニング)
      • ①の洗濯処理で水洗い可能表示
      • 製品は、ウエットクリーニング処理ができるか
      • ウエットクリーニング処理が可能とすると、通常の処理、弱い処理、非常に弱い処理のいずれが適正か

      など

      • ウエットクリーニング処理ができない
      • ウエットクリーニング処理ができる
      • 洗いの強さの指定


        ~取扱い表示決定にあたり~
        • 表地、裏地、副資材などの品質試験結果を参考に、製品として最も適正な表示記号を選定すること。JIS L 0001では上限表示を求めている。
        • 製品洗濯試験、製品ドライクリーニング試験を実施したうえで、記号を決定することが望ましい。


      (3)機能性表示
       「紫外線遮蔽」、「汗臭軽減」「むくみが治る」などの機能性表示の適否は、景品表示法医薬品医療機器等法の2つの法令が大きく関係しています。それぞれの法令の概要を表7に示します。これらの法令の主旨をよく理解し、適切な表示をすることが求められます。なお、機能性と法令については、「アパレル散歩道 第16回」「2.機能性表示と法的規制」にも記載していますので、改めてご確認ください。

      表7 景品表示法と医薬品医療機器等法
      法令分類内容
      景品表示法優良誤認
      • 優良誤認は、商品が事実と相違して、①実際よりも優良であると誤認させる、 ②他社の商品よりも優良であると誤認させることである。
      • はっ水加工をしていない商品に「はっ水加工」と表示したり、紫外線遮蔽商品で、UPF値が15しかない商品を50+と表示することなどが該当する。組成表示でも、カシミヤの混用率を不当に大きくすることも優良誤認とみなされる。
      有利誤認
      • 有利誤認は、商品・サービスの価格が、事実と相違して、①実際よりも安いと誤認させる、②他社の商品よりも安いと誤認させるものである。
      • 定価や小売希望価格のない商品の広告で「通常価格10,000円を5,000円」と表示していたが、過去に10,000円で販売したことがなかったことなどが挙げられる。
      不実証広告規制
      • この規制では表示内容が優良誤認にあたらないことを事業者(メーカーや販売業者)が合理的な根拠を示して立証しなければならない。
      • 合理的な根拠が一定期間内に提出されない場合、または提出された資料に合理的な根拠がないとされた場合は、不当表示と見なされる。
      医薬品医療機器等法
      (略称:機器法・薬機法)
      • 医薬品などの製造・取り扱いに関する法律である。医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具に関することが規制されており、厚生労働省への認可・承認を取得されていない繊維製品(いわゆる雑品)では、機能性繊維を用いたものや、設計で効果が考慮されたものであっても、身体や病名への効果効能をうたえない。


      (4)原産国表示
       衣料品の原産国は、その商品について「実質的な変更をもたらす行為」が行われた国のことです。「実質的な変更をもらたす行為」とは、生地などの生産ではなく、衣料品では一般に縫製がおこなわれた国と理解されています。詳細は消費者庁のホームページにも掲載されていますので、改めてご確認ください。

       商品の原産国に関する不当な表示(消費者庁):  https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/case_005/

       表8に、原産国表示の不適正例と対策例を紹介します。

      表8 原産国表示の不適正例と対策
      不適正例対策例
      1海外から白色のスウェットを輸入し、製品染め後、日本製として販売した。縫製は海外のため、日本製とはならない。染色加工は、衣料品の実質的変更をもたらす行為とはならない。海外の国名を原産国として表示すること。
      2日本製のジャケットと海外製のパンツを組み合わせたセット商品で、上下とも日本製と表示した。セット販売の上下商品で原産国が異なる場合は、その旨、個別に正しく原産国を表示すること。商品への表示だけでなく、ネット広告表示なども同様に適正に対応すること。
      3プロパー品は海外で生産し、追加生産を国内で実施したが、原産国表示は変更しなかった。追加生産が国内で実施された場合、追加商品の原産国は日本となる。商品への表示だけでなく、ネット広告表示なども同様に適正に対応すること。


      (5) JISサイズ表示
       「アパレル散歩道 第20回」の1.1(4)で、JISサイズ規格を説明していますが、最近の消費者ニーズの変化もあり、2023年3月20日に同規格が一部改正されました。経済産業省資料をもとに主な改正ポイントの要約を以下に紹介します。

      1. L0111(衣料のための身体用語)
        2017年に改正された国際用語に合わせ、用語の見直しが行われています。
      2. L4001(乳幼児用衣料サイズ)、L4002(少年用衣料サイズ)、L4003(少女用衣料サイズ)
        主に、用語及び定義の見直しが行われています。
      3. L4004(成人男子用衣料サイズ)
        主に、小さいサイズ「SS」と大きいサイズ「3L~5L」を追加するとともに、今回新たに男女兼用サイズが設けられました。
      4. L4005(成人女子用衣料サイズ)
        主に、小さいサイズ「SS」と大きいサイズ「4L~6L」を追加するとともに、今回新たに男女兼用サイズが設けられました。また、体型区分表示が削除になりました。
      5. L4006(ファンデーション)
        主にブラジャー類については、カップ区分の表示がされるものに比べ、比較的締め付け感がなく着用できるブラジャー類へのユーザーニーズが高まっていることに対応し、バスト・アンダーバースト表示が新たに設けられました。ガードルについては、ウエストに重点を置いたウエスト・ヒップ表示について、消費者のサイズ選択を容易にするため、ウエスト値に加えて、ヒップの参考サイズ(S、M、L)を併記する表示を呼び方2として追加されました。また、ウエスト重点よりも比較的締め付け感なく着用できるガードル類へのユーザーニーズが高まっていることに対応し、ヒップに重点を置いたヒップ・ウエスト表示が新たに設けられました。
      6. L4007(靴下類)
        主に、タイツ及びパンティストッキング類については、ユーザーニーズの多様化に応じ、成人男子用には大きいサイズ3Lを追加し、成人女子用には小さいサイズSS及び大きいサイズ3Lが追加されました。
      7. その他(共通)
        • サイズ絵表示(ピクトグラム)は廃止となりました。
        • 基本身体寸法と呼び方の間の区分線が任意になりました。


        JISサイズの詳細は、JIS規格原本で確認するか、ニッセンケン品質評価センターにお問い合わせください


      (6) 注意表示
       注意表示は、「付記表示」や「デメリット表示」とも呼ばれ、主に下げ札や本体に表示されています。任意である注意表示は、主に以下の目的で使用されています。

      1. 法定の取扱い表示記号を補完するために使用される。このため、消費者に対して判りやすい合理的な表記が大切です。例としては「弱く絞る」、「中性洗剤使用」、「アイロンは当て布使用」、「洗濯ネット推奨」「蛍光増白剤は使用しない」などがあります。
      2. 繊維素材の特性や染色加工による技術的限界が想定される場合、取扱い上の注意を喚起するために使用される。例としては「綿素材でタンブル乾燥はしない」、「麻素材はしわが生じやすい」、「長時間漬け置き洗いしない」、「汗が付着したら早く洗濯する」、「はっ水は着用や洗濯で低下する」などがあります。
      3. 機能性を付加した商品では、消費者が快適に長く着用できるように、機能性素材や機能性商品の取り扱い方法を表記するために使用される。
      4. 単なる品質不良製品のための注意表示は、注意表示の本来の目的ではありません。品質不良は事前に改善するか、商品化しないことが重要です。


(次回のアパレル散歩道 / 12月1日発行)

次回は、「ケーススタディ⑮品質事故 原因の絞り込みと対策」を取り上げます。

コラム : アパレル散歩道59
~品質事故を分析して原因と対策を考えよう~
テーマ : ケーススタディ ⑮品質事故 原因の絞り込みと対策


発行元:
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 事業推進室 マーケティンググループ
E-mail:
pr-contact@nissenken.or.jp     URL:
https://nissenken.or.jp

※当コラムの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

Profile : 清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)

清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)

43年間株式会社デサントに勤務し、各種スポーツウェアの企画開発、機能性評価、品質基準作成、品質管理などを担当。退職後は、技術士(繊維)事務所を開業。



社外経歴
(一社)日本繊維技術士センター理事 技術士(繊維)
(一社)日本衣料管理協会理事 TES会西日本支部顧問
大学非常勤講師
(一社)日本繊維製品消費科学会 元副会長

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