2021/03/01
第14回 :人材教育について
アパレル散歩道
2022/10/01
2022.10.1
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《はじめに》
2020年8月に連載を開始した「アパレル散歩道」ですが、おかげさまで本年8月の第43回で、まる2年を迎えることができました。メインテーマとして、第1回~25回は「繊維製品の苦情はなぜなくならないのか」、第26回~44回は「魅力ある商品を開発するために」を取り上げ、展開してきました。
本号(第45回)からは、メインテーマを「品質事故を分析して原因と対策を考えよう」として、繊維製品の品質事故原因とその対策を中心に、別角度から紹介してまいります。
連載 No. | テーマ | 連載 No. | テーマ |
---|---|---|---|
1 | ●-繊維製品の苦情はなぜなくならないのか 初めに | 26 | ●-魅力ある商品を開発するために- アパレル製品のマーケティング1 |
2 | アパレルメーカーのものつくり | 27 | アパレル製品のマーケティング2 |
3 | アパレル製品の品質事故 要因1 ~「繊維」・「糸」 | 28 | アパレル製品の機能性:運動機能性について |
4 | アパレル製品の品質事故 要因2 ~生地、染色・仕上げ | 29 | アパレル製品の機能性:生理的快適性① |
5 | アパレル製品の品質事故 要因3 ~縫製、表示、消費者取扱い | 30 | アパレル製品の機能性:生理的快適性② |
6 | 品質事故例の紹介 企画・設計不良1 | 31 | アパレル製品の機能性 ~耐久性、安全・安心性について |
7 | 品質事故例の紹介 企画・設計不良2 | 32 | 羽毛製品 ~ダウンジャケット |
8 | 品質事故例の紹介 企画・設計不良3 | 33 | 環境にやさしいものつくり |
9 | 品質事故例の紹介 生産時のばらつき1 | 34 | ものつくり原点回帰シリーズ ~繊維1 |
10 | 品質事故例の紹介 生産時のばらつき2 | 35 | ものつくり原点回帰シリーズ ~繊維2 |
11 | 品質事故例の紹介 技術限界の事例 | 36 | ものつくり原点回帰シリーズ ~糸 |
12 | 品質事故例の紹介 表示不適性の事例 | 37 | ものつくり原点回帰シリーズ ~織物 |
13 | 品質管理システムを構築しよう | 38 | ものつくり原点回帰シリーズ ~ニット(編み物) |
14 | 人材教育について | 39 | ものつくり原点回帰シリーズ ~染色1 |
15 | アパレル製品の安全・安心 | 40 | ものつくり原点回帰シリーズ ~染色2 |
16 | アパレル製品の機能性の考え方 | 41 | ものつくり原点回帰シリーズ ~縫製1 |
17 | スポーツ用品校正競争規約について | 42 | ものつくり原点回帰シリーズ ~縫製2 |
18 | 品質管理部門の課題 | 43 | ものつくり原点回帰シリーズ ~商業洗濯について |
19 | ピリングとスナッグについて | 44 | 品質基準、品質試験の考え方 |
20 | アパレル製品と関連法令など | ||
21 | アパレル製品の二次加工(顔料プリント、熱接着プリント) | ||
22 | 繊維・アパレル製品の用語 その1(繊維・糸・織編関連) | ||
23 | 繊維・アパレル製品の用語 その2(染色関連) | ||
24 | 繊維・アパレル製品の用語 その3(縫製関連) | ||
25 | 品質改善の話 |
大分類 | 中分類 | |
---|---|---|
1 | 損傷 | 生地の損傷 |
縫い目の損傷 | ||
副資材の損傷 | ||
2 | 外観変化 | 外観変化 |
3 | 形態変化 | 形態変化 |
4 | 風合い変化 | |
5 | 色の変化 | 変退色 |
汚染・色なき | ||
白化 | ||
黄変 | ||
6 | 機能低下 | |
7 | 安全性不適切 | |
8 | 表示不適正 |
大分類 | 中分類 |
---|---|
破れ | 1.物理的(機械的)作用による脆化 |
2.化学的作用による脆化 | |
3.ポリウレタン糸の脆化 | |
4.コーティング、ラミネートのはく離 | |
5.擦り切れ | |
穴あき | 6.虫食い |
7.薬品の付着 | |
8.溶剤の付着 | |
9.熱による破損 | |
パイル脱落 | 10.パイルなど立毛素材の脱落 |
破れの事例 | 関連する品質項目 | 破れの要因 | |
---|---|---|---|
① | ウール100% 織物製シャツの着用中の破れ | 引張強さ など | 繊維の種類・糸種(繊度・撚り) 伸縮性・生地組織・染色加工内容 縫製品のパターン 消費者の着用状況・洗濯方法 長期使用による強度低下 など |
② | レーヨン100% 織物製スラックスの破れ | 引張強さ など | |
③ | ポリエステル100%(フィラメント糸使い) 織物製ブルゾンの引き裂け | 引裂強さ など | |
④ | 綿70% ポリエステル30% 野球ニットユニフォームパンツの破れ | 摩耗強さ 伸長率 など |
図1 各種繊維の荷重-伸び曲線1)
図2 織物の引き裂きのイメージ2)
図3 スライディング動作の例3)
破れの事例 | 破れの原因 | |
---|---|---|
① | 綿50% ポリエステル50% ニットシャツの破れ | 塩素系漂白剤原液の付着により綿繊維が脆化し、ポリエステル繊維のみが残った |
② | 綿100%(含金属染料使い) 織物製ブルゾンの破れ | 含金属染料と酸素系漂白剤によって綿繊維が脆化し、破れた |
③ | 毛100% ウールシャツの破れ | タンパク質分解酵素を含んだ洗剤での長時間漬け置き洗いによって、毛繊維が脆化し、破れた |
破れの事例 | 破れの原因 | |
---|---|---|
① | 綿90% ポリウレタン10% スリムニットパンツの脆化 | 汗の付着残留などの影響で、ポリウレタン糸が脆化し、生地が破損した |
② | ポリエステル85% ポリウレタン15% 遊泳水着の脆化 | プール水中の殺菌用塩素によってポリウレタン糸が脆化消失し、生地がすだれ状になり、伸び切り破損した |
③ | アクリル80% ポリウレタン20% ニットブルゾンの脆化 | 長期間の伸縮、紫外線、汗などの影響で、ポリウレタン糸が脆化し脱落した |
形状 | 主な用途 | 説明 |
---|---|---|
ポリウレタン糸 | タイトシルエット製品全般、タイツ、水着、副資材ゴムなど | 主にニットに交編し使用する |
ポリウレタン被膜 (コーティング、ラミネート加工) | 合成皮革製品 透湿性・耐水衣料品 | 主に織物にコーティングやラミネートなどの被膜加工をする |
ポリウレタン成形品 | プラスチック全般 | 成形加工することにより、多くの分野でプラスチック、ゴム製品として使用する |
破損の事例 | 破損の原因 | |
---|---|---|
① | ポリエステル100%(表地 ポリウレタンラミネート) ブルゾンのはく離 | 長期間の使用や保管により、空気中の水分などの影響を受け加水分解による劣化が生じ、はく離した |
② | ポリエステル100%(表地 ポリウレタンラミネート) ブルゾンのべとつき現象 | 長期間の使用や保管により、空気中の水分などの影響を受け加水分解による劣化が生じ、ラミネート表面がべとついてきた |
③ | ポリウレタン系顔料捺染にひび割れが発生した | 長期間の使用や保管による影響、もしくは二次加工顔料捺染加工のベーキング不良など(第21回アパレル散歩道~アパレル製品の二次加工~参照のこと) |
破れの事例 | 破れの原因 | |
---|---|---|
① | ウール100% スラックス内またの擦れによる破れ | 汗や摩擦の影響で、フェルトが発生し、生地が破損した。自転車等の長期使用も影響すると考えられる |
② | 綿100% ブルゾン手口のギャザー山部の擦れによる破れ | 手口にシャーリングなどを入れて絞った仕様では、鋭利な折り目が生じ、その部分が継続的に摩擦されて破損した |
穴あきの事例 | 穴あきの原因 | |
---|---|---|
① | 絹100% 和服 保管中に穴があいた | イガ、ヒメマルカツオブシムシなど、害虫によって食害を受けた |
② | 綿100% スラックス 一部に穴があいた | 自動車のバッテリー液(硫酸)などが付着したまま放置したため、酸化作用で綿が脆化した |
③ | アセテート100% カーディガン 除光液で穴があいた | マニキュアの除光液が衣料に付着したため、アセテート繊維が溶解し穴があいた |
④ | ナイロン100% ブレーカー アイロンで穴があいた | アイロンの熱で、ナイロンが融解した |
繊維 | 融点 |
---|---|
レーヨン キュプラ | 溶融しない |
綿 麻 毛 | 溶融しない |
アセテート | 260℃ |
トリアセテート | 300℃ |
ポリエステル | 238〜240℃ |
ポリエチレン | 125〜135℃ |
ナイロン6 | 215〜220℃ |
アクリル | 210〜230℃ |
JIS L 0001 番号 | 500 | 510 | 520 | 530 |
---|---|---|---|---|
記号 | ||||
意味 | アイロン仕上げはできない | 110℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げできる | 150℃を限度としてアイロン仕上げできる | 200℃を限度としてアイロン仕上げできる |
No. | 素材 | 説明 |
---|---|---|
1 | コーデュロイ (コール天) | 図4. W型パイルの例4) ハードに使用されたり、スラックス用途ではV型が望ましいといえます。 |
2 | モール糸 使用生地 | モール糸は、芯糸と押さえ糸との撚り合せ時に、花糸と呼ばれる短い繊維を挟み込んだ構造の飾り糸のこと。肌あたりがよく、婦人アパレルのニット衣料などに使用されます。モール糸は衣料用だけでなく、インテリアなどにも使用され、衣料用では熱融着糸使用タイプが望まれます。
|
3 | ベロア | 主に織物生地を起毛させ、毛羽立ち感を持たせた生地のこと。一部にニットベロアもあります。原料には、毛、綿、絹、レーヨン、アセテートなどが使用されます。 |
4 | タオル素材 | 布面に大きいパイルのある綿のタテパイル織物です。パイルが片面の片面タオル、パイルが両面の両面タオルの他、一部にパイルをカットしシヤリング(せん毛)したカットパイルタオルもあります。 図6 片面タオルと両面タオルの 組織のイメージ6) |
5 | フロック 加工素材 | フロック加工は、生地表面に細かい毛羽状の繊維(フロック)を、接着剤を使用して植毛したもので、スエード調の外観が特徴です。
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コラム : アパレル散歩道46
~品質事故を分析して原因と対策を考えよう~
テーマ : ケーススタディ② ~縫い目の損傷~
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Profile : 清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)
43年間株式会社デサントに勤務し、各種スポーツウェアの企画開発、機能性評価、品質基準作成、品質管理などを担当。退職後は、技術士(繊維)事務所を開業。趣味は27年間続けているマラソンで、これまで296回の大会に参加。
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