2018/09/15
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思いつきラボ
2017/01/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年1月15日時点の内容です。
冒頭から私事ですが正月ということもあって、先日久しく会っていなかった友人と再会を果たしました。友人の知り合いの小料理屋があるというのでそちらに連れて行ってもらったのですが、カウンターが中心でテーブル席が 3卓ほどの洒落(しゃれ)た雰囲気のお店でした。
入って案内を待っていると後から「お荷物こちらでお預かりします。」と声を掛けられ振り返ると・・・。
小粋な女将さんと思われる御婦人が筆者の荷物を受け取ろうとしていて、こちらも上着を渡そうと振り向き目が合った瞬間に全身を襲う衝撃が・・・。これが世間でいうところの“運命の出会い”なのかと、わずかな時間にもかかわらず「ひょっとして運命の女(ひと)なのか・・・」という思いが頭をよぎり、気の利いた言葉をさがしていると、女将の方から「あら~静電気」。
・・・そうそう“運命の出会い”なんてものに出くわすはずもないことを確認しました。
というわけで新年最初のテーマは「静電気」です。(前ふりが長すぎます!!)
この時期は静電気が起りやすい季節で、静電気に敏感な体質の方たちにはちょっと辛いものになっています。静電気の“静”は静止の意味で動かない電気というもので、静電気の反意語は動電気(どうでんき)となります。本来は電気を帯びた粒子が滞留している状態のことを指すのですが、通常の会話では放電する現象も含めて“静電気”と表現しています。
静電気は主に摩擦帯電(まさつたいでん)と剥離帯電(はくりたいでん)が原因となります。摩擦帯電とは物質が擦れあうことで発生する電気を帯びた粒子が溜まっていく現象で、例えば歩いている時に服が擦れあって静電気が溜まる状態をいいます。
一方、剥離帯電は物質をはがす時に静電気が溜まる状態で、例を挙げれば服を脱ぐときにパチパチと音がするのがこれにあたります。
なぜ冬場に静電気が発生しやすいかといいますと、まず空気が乾燥していることにあります。冬は天気予報で乾燥注意報がよく出ますが、この時は静電気にも注意が必要となります。雨や雪で湿気があれば電気は水分を通りますので、身体には溜まりにくくなりますが、乾燥しているときは身体に滞留しやすい状態になります。
さらに寒いことで汗をかきにくくなります。人は運動をしていなくでも不感蒸泄(ふかんじょうせつ)という気体の汗を出しているのですが、汗をかきにくくなっていることで、身体から放電する量も少なくなるため静電気が溜まりやすくなります。
素材によっても静電気が発生しやすいものと発生しにくいものがありますが、 基本的には摩擦係数が低いものや水分率の高い素材は静電気は発生しにくいといえます。また摩擦が起きる時には プラスに帯電するものとマイナスに帯電するものとに分かれます。帯電しやすい順列に並べたものを帯電列といいます。繊維のコラムなので繊維素材の帯電列を掲載しておきます。現状では同じ素材でもいろいろなタイプがありますので、順列が入れ替わる場合もありますので、目安として見てください。
例えば、毛とナイロンを擦りあわせると、毛がプラスに帯電してナイロンはマイナス帯電となります。ナイロンとレーヨンを擦りあわせると、今度はナイロンがプラスに帯電してレーヨンがマイナスに帯電することになります。
帯電列で離れている方が静電気が起きやすいということになりますので、この表であれば、毛とビニリデンの組合わせが最も静電気が起りやすいことになります。
静電気を抑えたいのであれば、人体に近い素材の麻や綿とかアセテート素材で、しかも他の素材は身に着けなければ静電気は起こりにくいことになります。
現に静電気を嫌がる人達の中には、綿以外 身に着けないという徹底している方もいらっしゃるようです。
筆者も静電気が起りやすい体質のようで、静電気を貯めないように意識はしているのですが、予備知識は持っているものの、帯電しているという意識がなかなか自覚できないので、静電気を避けられないでいます。
太古の昔から静電気はあり、いまだに完全な解消方法は見つけられないことを考えれば、静電気から解放されることはないと思っておいたほうがいいようです。職場環境にもよりますが、ここ数年 加湿器が人気となっていますが、湿度調整も有効な対策になります。
ともあれ 2017年も“思いつきラボ”をよろしくお願いいたします。静電気ではない衝撃を感じたら、それは「運命の出会い」かもしれません・・・。
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防災・安全評価グループ グループ長
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