2014/07/15
No. 20 「屋外用の蓄光誘導標識もJIS規格制定へ…」
思いつきラボ
2013/10/28
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2013年10月28日時点の内容です。
繊維の検査機関のコラムなのに誘導標識・・・?と思われた方のために先に説明をしておきます。
ニッセンケンには防災・安全評価グループというセクションがありまして、防災・安全に使われる蓄光素材や反射性素材や蛍光素材などに関連する検査を行っています。製品としては、誘導標識・誘導ライン・再帰性反射製品・交通標識などが主なもので、繊維製品以外のものの取扱いが多くなります。
繊維製品でも蓄光プリントや再帰性反射素材をつかったシューズやウェアなど身近なものに使われているのですが、繊維製品としてのJIS規格にはほとんど対象となっていませんでしたので、馴染(なじ)みのない試験となっています。ようやく2013年3月15日にISO規格でISO 20471高視認性衣服という視認性の高い衣服についての規格が制定されましたので、蛍光生地の測色や再帰性反射テープの輝度測定などの依頼も増え始めています。
ISO規格ですのでJIS化されることになってもまだ2~3年ほど掛かりますが、輸出を検討される場合は必要な検査となりますので、関係担当者はニッセンケンに防災・安全評価グループという検査部門があるということを頭の片隅にでも入れておいて頂けるとありがたく思います。原稿のまくらが宣伝のようになってしまいましたが・・・・宣伝です。
さて、今回のテーマの誘導標識ですが、交通機関や商業施設では何度も見ていることと思いますが、誘導標識にはグリーンベースのものとホワイトベースのものがあります。
グリーンベースのものは“非常口誘導標識”といいます。すぐ近くに非常口がありますよ、という標識で、グリーンベースの誘導標識があれば、必ずその近くに出口があります。
片やホワイトベースのものは“通路誘導標識”といい、近くには非常口はありませんが矢印の方向へ行けば非常口がありますよ、という標識で区分されています。災害時には必要な知識になりますので覚えておいてください。
もうひとつ覚えておいてほしいのが、非常口というのはそれぞれの施設単位でのものであって、必ずしも外へ出られる出口というわけではありません。例えば交通施設の地下駅の場合ですと、交通施設としての管轄は改札口までとなりますので、地下駅舎の非常口は改札出口となります。出たところが商業施設であれば、今度はその商業施設での非常出口を探す必要が生じます。現在では大型地下街の場合はいくつもの商業施設が入り組んでいる場合が多くなっていますので、こちらの情報も必要なものとなります。
災害時とくに地下施設の場合は通電停止になりますと真っ暗な状況になりますので、パニックにならないよう心構えをしておいてください。通電タイプの標識は20分もしくは60分の非常電源が稼働しますので、冷静に非常出口を探してください。蓄光誘導標識も60分以上の残光性のあるものが使われています。
災害時には必要な情報ではありませんが、誘導標識に関連するマニアックなネタを紹介しておきます。誘導標識に使われている矢印も決められたものが使用されているのですが、この矢印の名称は“ベルギー式矢印”というものなのです。
JIS Z 8210 案内用 図記号 の中にも“ベルギー式”と記載されているのですが、なぜこれをベルギー式と呼ぶのかは防災関連か標識関係に携わっている人くらいしか知る機会もありません。
これはISO規格を決めるときに各国が図記号を持寄って検討されるのですが、この時採用になった矢印の図記号がベルギー王国の提案したものだったことによります。ベルギー式矢印があるからといって、イタリア式やハンガリー式などの呼称があるわけではありません。ちょっとマニアック過ぎたかも・・・。
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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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