おさえておきたい基礎知識

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《化学物質のいろは》第34弾 規制物質測定の頼れるパートナー ~熱を利用して有機化合物の痕跡を辿る!~

2026/08/25

 毎日、暑い日が続いていますね。今回の《化学物質のいろは》では、そんな暑さにも関係した「熱」に関連する分析装置である「ガスクロマトグラフ質量分析計 (GC-MS) 」を取り上げます。特に熱に関わる部分に焦点を当て、GC-MSの分析フローに関して詳しくご紹介いたします。

GC-MSとは?

 GC-MSとは、熱を利用して気化させた混合ガスをキャリアガスにのせて運び、測定対象物質の量を分析する装置です。前回の《化学物質のいろは》第33弾でご紹介した液体クロマトグラフィーとは異なり、液体 (移動相) ではなく熱を利用します。測定対象物質の特徴として、主に沸点が約300℃以下で、低分子 (分子量1,000以下) 、熱を加えることで分解しない物質が挙げられます。

 また、一般的にメタノールなどの有機溶媒を用いて前処理 (抽出) を行い、当該抽出液をGC-MSにセットし、上記の流れで分析します。この手法で分析される物質例として、主に可塑剤として使用されるフタル酸エステル類、柔軟剤として使用されるシロキサンなどが挙げられます。

図1. GC-MS

GC-MSの前処理装置 (試料導入装置)

 GC-MSは試料を気化させて測定することが利点であり、その利点を活用する上で様々な前処理装置 (試料導入装置) が存在しています。今回は、例として2つの前処理装置をご紹介いたします。

○ TD-GC-MS

 TD(Thermal Desorption)と呼ばれる加熱脱着システムを利用し、前処理を自動化。

 特徴として、試料自体を直接加熱し、分析することが可能です。主ににおい分析揮発性有機化合物 (VOCs) などを測定する際に使用されます。

図2. TD-GC-MS

○ HS-GC-MS

 HS (ヘッドスペース) と呼ばれる既定のバイアルに試料又は試料と有機溶剤を入れ、低温で加熱し分析することが可能。主にメタノール、1,4-ジオキサンなどの測定する際に使用されます。

図3. HS-GC-MS

GC-MSの熱の働き

 次に、GC-MSにおける気化した試料の流れに関して、熱に関わる部分に焦点を当て、下記の図4を参照してご紹介いたします。

図4. 気化した試料の流れ

1. 試料気化室 (試料注入口)

注入された試料を瞬時に加熱し、ガス化させるためのエリアです。

一般的に、目的の有機化合物が気化する温度を設定します。

2. フロー

    キャリアガスの種類と、何分間に何mL流すかを決めます。 具体的にはキャリアガスの種類に応じて、有機化合物を分離する最適な速度を設定します。キャリアガスとして一般的なヘリウムガスを使用している場合、30〜40cm/secが一般的です。

    3. カラム

    有機化合物ごとに分離させるエリアです。

    カラムには、充填剤 (固定相) や液相が壁面に塗られており、そこを通ることで有機化合物がそれぞれの性質に応じて分離されます。また、カラムの膜厚や内径、長さを変更して、対象物質の分離を効率良く行います。

    一般的に、低沸点の有機化合物は30℃からスタート、それ以外の場合は40℃からスタートさせ、カラムに十分に溶出させます。測定したい有機化合物の揮発点に合わせて徐々に温度を上昇させ、分離させます。

    4. トランスファーライン

    GCとMSの連結部分です。

    トランスファーラインの温度は、一般的にカラムの昇温プログラムの最終温度同等、もしくは+10℃に設定します。当該温度が低いと、検出器に気化した試料が届かず、分析に影響を与えます。

    5. イオン源

    ここでは、目的化合物の質量イオン電荷比を測定しています。

    イオン源の温度は一般的に200℃~250℃に設定されます。イオン源の温度が高すぎると、測定したい有機化合物が熱分解されてしまう恐れがあり、逆に低すぎると検出器に汚れが生じてしまいます。したがって、測定したい有機化合物の温度に設定することが重要になります。

     このように、GC-MSを用いた分析では様々なエリアで「熱」が大きく関係しており、有機化合物の種類などを考慮しながら温度条件を設定しています。

     GC-MSの分析に「熱」がここまで関係している事をご存じなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。今後も様々な分析装置の仕組みを色々な角度からご紹介してまいります。

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