おさえておきたい基礎知識

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《化学物質のいろは》第17弾 ペンタクロロベンゼン

2025/03/04

3月は寒さが和らぎ、農作物の準備が始まる季節ですね。この時期は農業に関わる化学物質についての問い合わせが増える時期でもあります。
第17弾《化学物質のいろは》では、かつて農薬等で使用され、最近、問い合わせや試験依頼が増加している化学物質「ペンタクロロベンゼン」をご紹介いたします。

図1 繊維産業チェーン概念図

ペンタクロロベンゼンは第8弾でご紹介した塩素化ベンゼン・トルエンの1種で化審法の第一種特定化学物質です。第13弾で少し触れましたフェノール類の1種であるペンタクロロフェノールと構造式が類似しています。


構造式だけ見ても誤植を探しているような気分になるかもしれません。
なお、ペンタクロロベンゼン、ペンタクロロフェノールは、エコテックス®の規制対象物質です。

ペンタクロロベンゼンの使用例

塩素化ベンゼン・トルエンはキャリア剤や染料の溶剤、また化学薬剤の中間体としても使用されています。ペンタクロロベンゼンはかつて農薬等で使用され、顔料中の副生成物として非意図的に生成される場合もあります。

ペンタクロロベンゼン 試験方法 / 検出事例

サンプルを有機溶剤で抽出後、分析装置 (GC-MS)を用いて定量します。
検出頻度が高い事例:顔料(緑系)

ペンタクロロベンゼンの有害性

難分解性かつ高蓄積性であり、人または高次捕食動物に対する長期毒性を有する化学物質で、長期または反復暴露の影響により肝臓障害の可能性があります。

エコテックス®規格での規制

▶スタンダード100
 Annex 4、6    : 製品クラスⅠ~Ⅳ 1.0 mg/kg
レザースタンダード: 製品クラスⅠ~Ⅳ 1.0 mg/kg
エコパスポート  : 希釈薬剤10 mg/kg , 非希釈薬剤1.0 mg/kg
※ 塩素化ベンゼン・トルエン12種の規制物質の合計値。また、個別の規制あり。
詳細はエコテックス®のウェブサイトをご覧ください。

ペンタクロロベンゼンにおける各国の主な規制

▶日本:化審法 第一種特定化学物質
▶欧州:POPs規則 附属書Ⅰ

ニッセンケン化学試験事業部からの一言アドバイス

ペンタクロロベンゼンは特定の顔料から検出される恐れがある注目度が高い化学物質です。現在、問い合わせや試験依頼が増加しています。弊センターでは繊維製品、化学薬剤など様々な形態での試験が可能です。また、エコテックス®認証を取得することで、さまざまな規格や法律に対応できるようになります。
今後も《化学物質のいろは》にご期待ください!

著者紹介

化学試験事業部 京都化学試験課が今回のコラムを担当しました。3月は寒さが和らぎ、花粉が舞う季節です。花粉症にはつらい季節で、マスクが手放せませんが、その分暖かくなってきましたので、先日イチゴの苗を植えました。
ここ数年で、試験センター周囲の風景は大きく変化しています。以前NHKの「ブラタモリ」で紹介された近隣の畑は駐車場へと姿を変えました。また、近隣に新設された高校では令和の時代を感じさせる「地域の方も利用できる食堂や図書館」があり、私たちも利用しています。
地元の風景の変化を感じながら、日々試験業務に取り組んでいます。

【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp

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