おさえておきたい基礎知識

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《化学物質のいろは》第2弾 PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)について

2023/10/30

世界の化学物質の使用状況において、実に25%を占めているのが繊維関連製品の生産におけるものです。そこで、SDGsの目標の1つでもある「12 つくる責任、つかう責任」を担う繊維産業・関連産業に携わるすべての方に、少しでもお役に立てるよう、化学物質に関する基礎知識と最新情報をお届けしたく、この《化学物質のいろは》シリーズを9月より開始しました。

図1 繊維産業チェーン概念図



近頃、有機フッ素化合物(PFAS)を原因とする環境汚染が新聞やテレビ等のニュースで毎日のように取り上げられるなど、今や大きな社会問題になっています。ニッセンケンでは先日、すでに有害性が認められているPFOSやPFOAの最新動向を発表していますが、今回の《化学物質のいろは》第2弾ではPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)についてご説明します。

図2 PFHxS 様々な用途

PFHxS とは

PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸, CAS No. 355-46-4)は、PFOS及びPFOA同様に撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の性質を持ちます。その特性が類似していることからPFOS及びPFOAの代替品としてよく使用されています。PFHxSは泡消火薬剤、金属めっき、織物、革製品及び室内装飾品、研磨剤及び洗浄剤、コーティングなど幅広い用途があります。

図3 PFHxS 構造式

PFHxS の有害性

人に対する発がん性や毒性の有無についてはまだ結論が得られていませんが、その安定性の高さゆえに環境中でほとんど分解されず、生物中に蓄積する化学物質と言われています。

PFHxS のニュース

2023年8月8日 POPs規則:Regulation (EU) 2019/1021 の禁止物質リストに、PFHxSとその塩
        およびPFHxS関連物質の追加を発表し、2023年8月28日より施行されています。


一方、国内でもPFHxSはPFOS、PFOA同様に、化審法※1第一種特定化学物質の指定される見込みとして、国内での製造・輸入・使用等を禁止することになる可能性があります。


化審法※1 「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の略称で、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的とする法律です。第一種特定化学物質として指定される化学物質に関しては、難分解性、高蓄積性、長期毒性又は高次捕食動物への慢性毒性を有するとされています。製造又は輸入の許可(原則禁止)、使用の制限、政令指定製品の輸入制限や第一種取扱事業者に対する基準適合義務、表示義務等が規定されています。

ニッセンケン化学試験事業部の一言アドバイス

今後、有機フッ素化合物(PFAS)に関する規制はますます厳しくなるとも予測されています。現在は個別のPFASに対しての規制ですが、いずれはPFASそのものを規制する時代が来るかもしれません。フッ素系撥水剤などの使用には、早めの対応や検討が求められているとも言えます。

【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp

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