おさえておきたい基礎知識

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《化学物質のいろは》第1弾 農薬 (除草剤)に含まれるグリホサートについて

2023/09/01

私たちが日頃から使っている身の回りの製品は、化学物質の様々な性質を利用して作られています。化学物質は人々の生活を豊かにし、健康で快適な日々の生活に欠かせません。しかし、使い方を誤ってしまうと、人々の健康や自然環境に悪影響を与えてしまう可能性があります。また、世界の化学物質の使用状況を見ていきますと、実に25%が繊維の生産に使われていることが明らかになっています。そこで、SDGsの目標の1つでもある「12 つくる責任、つかう責任」を担う繊維産業・関連産業に携わるすべての方に、化学物質に関する基礎知識をお届けしたく、この《化学物質のいろは》シリーズを始めました。少しでも皆さんのお役に立てるよう、最新情報を取り入れながら更新していきますので、どうぞよろしくお願いします。

図1 繊維産業チェーン概念図



今回の第1弾では、農薬(除草剤)に含まれる化学物質・グリホサートについて、解説していきます。そもそも農薬が、繊維製品とどのように繋がっているのかと疑問を持つ方もいるかもしれませんが、天然繊維のうち、綿(コットン)は栽培時に大量の水や農薬・化学肥料等が使用されています。そのため、繊維中の残留農薬を確認することも、繊維製品の安全性を確保する上で重要なポイントの一つになります。

図2 綿花畑

グリホサートとは

グリホサート(Glyphosate , CAS No.1071-83-6)とは、世界中で最も使用されている除草剤(アミノ酸系除草剤)の主成分です。芳香族アミノ酸の合成を阻害する性質を持ち、植物を枯死させることができます。農業市場では主に米や麦等の植付前や果樹園の雑草を、一般家庭市場では住居まわりの雑草を枯死させるために使用されます。また、除草剤耐性の遺伝子組換え作物を栽培する農地でも使用されています。

図3 グリホサート構造式

グリホサートの有害性

グリホサートの安全性に関しては様々な見解があり、科学的な結論はまだ出ていないのが現状ですが、

世界保健機関 (WHO)の下部組織である国際がん研究機関 (IARC)では、「人に対しておそらく発がん性がある」との評価 (グループ2A)をしています。

グリホサートのニュース

2020年 輸入はちみつから食品衛生法で定める一律基準の濃度を超える量のグリホサートを検出

     → その結果、スーパーなどから一時輸入はちみつが消えるなどの事態へ

2023年 ある中古車販売店舗前で街路樹の枯死などが見つかる

     → 土壌調査により、通常使用量より多いグリホサートを検出

繊維の安全証明 エコテックス®規格による規制

スタンダード100:従来型コットン 5.0 mg/kg(全ての製品クラス)

オーガニックコットン 0.5 mg/kg  (製品クラスⅠ)

           1.0 mg/kg  (製品クラスⅡ/Ⅲ/Ⅳ)

※ グリホサートアンモニウム塩やグリホサートカリウム塩等も規制対象。 ※ レザースタンダード及びエコパスポートは規制対象外。

ニッセンケン化学試験事業部の一言アドバイス

 グリホサートの安全性については色々と議論されていますが、環境問題や食の安全に関心の高い国では使用禁止なども進められています。エコテックス®規格でも、綿から検出される可能性があると考え、スタンダード100の規制対象となっています。

【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp

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