2018/03/30
No. 109 「品質表示方法の経過措置期間が終了しました…」
思いつきラボ
2017/06/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年6月30日時点の内容です。
2017年も 6月30日で1年の半分を経過することになりました。今年は暑い日が多いのですでに真夏のような感じがしていますが、梅雨明けもまだですので夏本番を迎えるこれからは、さらに猛暑となるという覚悟を持っていたほうがよさそうです。
6月30日は神社で「夏越の大祓(なごしの おおはらえ)」という行事が行われているそうです。あまり身近なものではないかもしれませんが、12月31日の「年越しの大祓(としこしのおおはらえ)」と 1年に 2回心身を清める神事として執り行われているとのことです。
大晦日に「年越しの大祓」で心身を清めて、翌日に新年の始まりとして「初詣」に神社仏閣を訪れる風習は当たり前のものになっているように、「夏越の大祓」の翌日から神社仏閣に1年の後半を無事に過ごせるようにと願う 「夏詣(なつもうで)」なる行事を東京 浅草神社(あさくさじんじゃ)から発信して行うようになっています。
ちょうど 7月 7日が七夕(しちせき)の節句いわゆる「七夕(たなばた)」さまですので 7/1 ~ 7/7までの期間を「夏詣」と称してお参りに合わせていろいろな企画で楽しめる工夫も考えられています。
境内の参道に沿って笹を飾ったり白石と蓄光石で天の川に見立てた路を造ったりし、参拝者の目を楽しませてくれています。蓄光石はとにかくよく光るセラミックの石と神戸 摩耶山や北九州 皿倉山でも使われたガラス石がちりばめられています。たなばた笹に付ける蓄光紙の短冊なども用意されています。
お近くの方やこの時期に浅草方面に旅行される方は、是非一度見に行ってほしいと思います。筆者は蓄光商品を扱っている会社とのお付き合いも多く、今回は蓄光石や蓄光の短冊を光らせるブラックライトの設置のお手伝いで参加しています。防災や避難誘導商品に使われるほかに、このような楽しい癒しの商品にも蓄光材は使われているのです。
都会では夜空に輝く天の川を見ることもできなくなりました。主な原因は夜の人工的な灯りなのですが、天の川に限らず都会では 3等星の星たちも見えにくくなっているそうです。
星の明るさを表す等星というのは、もともと見える星を 6段階に分類したものなので、6等星の星まで見えるという理解でいいのですが、都会では 3等星~ 6等星で構成されている天の川は見ることが困難になっているということです。
ちょっと話が逸れますが、今では 7等星や 8等星とか、はたまた 0等星やマイナス等星とかの表現を見ることがありますが、これは望遠鏡の発展によって肉眼では見ることのできなかった星も見ることができるようになったため、あとからルール化されたものなのです。
ちなみに金星が最大の明るさを放つときはマイナス 4.7等星、月はマイナス 12.7等星ということになるそうです。小数点まで分けることも基準化されているとのことです。
等星というものが使われ始めたのが古代ギリシャ時代のヒッパルコスという天文学者によるというのが定説になっているのですが、この学者さんは紀元前 190年頃から紀元前 120年頃に生存されていたとのことで、最も明るい星を 1等星として、かろうじて見えた星を 6等星と分類した人物なのです。この考え方が現代に引き継がれているのです。
現在の定量的な基準になったのは 19世紀になってからのことなのですが、計測器がない時代から 6等星に分類して、その考え方が今も原点になっているのは驚かされることです。 1等星と 6等星の明るさはおよそ 100倍くらいあるため、等星が 1段階違うと 2.512倍の明るさの差と定義されるようになっています。 6等星の明かりを 1とすると 5等星は 2.512倍の明るさで、4等星は 6.310倍、3等星は 15.851倍、2等星は 39.818倍、1等星が 100倍ということになります。
1等星から 6等星までを均等に分割しているわけではないということです。だから3等星から 6等星で構成されている天の川は、人工的な明かりが邪魔をすると見えにくくなるということが納得できます。 現在のところ 1等星は 21星あるそうです。その中に織姫さま(ベガ)も彦星さま(アルタイル)もあります・・・
どこまで話が逸れたままになるのかと思ってましたが、やっと七夕の話に戻ってきました。イメージ的にはベガは明るく、アルタイルはあまり明るくない感じがしていましたがどちらも 1等星とのことでした。実等級はベガが 0.33等級でアルタイルが 0.77等級とのことですので、比較すればベガの方がかなり明るく見えるようです。
七夕伝説は、天帝の娘で働き者の織女(しょくじょ)と天の川を挟んで住んでいる、これまた働き者の牽牛(けんぎゅう)という牛飼いに天帝が感心して結婚させたのですが、新しい生活が始まると仕事をしなくなり毎日を楽しむばかりになりました。
いつまでもそんな有様が続いたので今度は天帝が腹を立て、再び天の川を隔てて生活させるようにしました。「心を入れ替え、以前のように仕事に精を出すのであれば、7月の 7日の夜に会うことを許してやる」と告げられて、二人は七夕の夜に会えることを励みにしてまた懸命に働いたというお話です。
さらにこの日が雨だと川の水嵩が増して渡れなくなり二人は涙するのですが、どこからともなく カササギという鳥の群れが翼を拡げて織姫を牽牛の元へ渡らせたというお話です。
人間、楽ばかりして自分の責務を怠るとそれなりの報いが来るぞ、という戒めと一所懸命自分のやるべきことをやっていれば救いの手は差しのべられる、という教えが説かれている神話です。今年は織姫さまと彦星さまがすんなりと会えるきれいな天の川を見てみたいものです。
こんな七夕伝説を思い出させてくれる「夏詣」というのはなかなか洒落たものがあります。これから何年も続いて新しい風習になるような予感がする催しものです。みなさま是非足をお運びください。
デジタルサイネージに協力会社としてニッセンケンのロゴも掲示
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竹中 直(チョク)
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