思いつきラボ

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No. 85 「“見える”ということについて考えてみましょう…」

2017/03/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2017年3月30日時点の内容です。

ここのところ “高視認性安全服” や “避難誘導標識システム”  や “安全色” などの規格関連の 打合せに参加することが多くなっているのですが、基準を検討するときに“見える” ということに対しての解釈がなかなかまとまらないのです。
ということで今回の思いつきラボは、普段なにげに使っている “見える” ということについて考えたいと思います。
見えるか見えないかは個人差があるので意見がまとまらないのも当然のことなのですが、規格作成にはなんらかの基準を設けなければならないので悩ましいところなのです。

物を見るときの”距離”

もともと「物が見える」ということには距離と明るさと視力の条件が必要なのですが、その部分をはっきり定義しているものはあまり目にすることがありません。
例えば蓄光標識の規格で蓄光輝度が 3mcd/㎡ あれば、人間は視認できるという表現をよく目にしますが、どのくらいの距離でどれくらいの明るさのときにどれくらいの視力の人なら見える、ということについてはあまり触れられていません。
運転免許の取得には  両眼で 0.7 の視力が必要とあります。また通常生活で支障のない視力として 0.3 の数字をあげている文献もみられますが 、0.7 の人と 0.3 の視力の人では視認性にはかなりの差があります。また距離も 離れれば物が見えにくくなるのも、暗いとこほど見えにくくなるのも当然のことなのです。

視力検査に使われている 「 ランドルト環(かん) 」 は、立ち位置を変えずに図形の大きさを変えて測定しますが、人間の方が距離を変えて視力を測ることもできるのです。
ランドルト環は日本では直径 7.5mm・太さ1.5mm の円の一部が 1.5mm 幅で切れている環を用いますが、5m の位置から視認できれば 視力 1.0 とします。
人間の方を動かして説明しますと、同じものが 6.0m の位置から確認できれば 6/5 = 視力 1.2 となり 10.0m の位置から見えれば 10/5 = 視力 2.0 ということになります。
以前 アフリカ系タレントが視力 6.0 と言って話題になったことがあったのですが、実際に 30m ほど離れたところから測定したら視認できたという話がありました。そのタレントさん本人は「これでも故郷に帰れば視力は悪い方だ」 と言ってました。そんな馬鹿な話が・・・と思いつつも狩猟民族にとっては普通の能力なのかもしれません。

視力 1.0 以下の人は今度は前に移動します。
4m のところで見えれば4/5 = 視力 0.8 となり 2.5m のところであれば 2.5/5 = 視力 0.5 ということになります。視力 0.1 の人は 0.5m のところまで近づかないと見えないということなのです。
視力のよい人には関係ありませんが、筆者は目が悪く、片方の目は視力が 0.1 ありません。この場合は 0.1 のランドルト環を用いて、先ほどと同じ手順で前に移動します。 4m の位置で見えれば 4/5 × 0.1 = 0.08 ということになります。
世の中には視力が 2.0 以上の人もいれば 0.1 の人もいるのでやはり“見える”ということを規定することはかなりの条件付けが必要となります。

話は逸れますが、人間には視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感とよばれる機能を備えていますが、日常生活で外部からの情報を得るのにこの五感の割合はといいますと

目(視覚) 83% 
耳(聴覚) 11%
肌(触覚)  3%
舌(味覚)  2%
鼻(嗅覚) 1%

と言われています。

いかに視覚からの情報取得が多いかがわかります。なおさらのこと“ 見える ”という ことに関する規格作成では、慎重にならざるを得ないということです。今回の原稿は筆者の思い悩みを書いていれば、なにか糸口が見つかるかなと思ってたのですが、やはり答えは “見えません” でした。
まあ「ランドルト環」の仕組みと視力の決め方の紹介くらいには役立つと思いますので、ご容赦ください。

視力検査はまじめに…

最近の視力検査は座ったままで機械の中の検査表を覗くようになっていますので、ランドルト環を黒いしゃもじのような道具を使って検査する光景も見なくなりましたが、以前はこのような方法がとられていたのです。機械の中の明るさは一定になっているので、明るさによる検査誤差は少なくなっていると思います。

筆者の思い出としては学生時代の視力検査で 右側に切れ目のあるものを示されたときに「C シー」と答えてお叱りを受けたことが・・・視力検査にウケ狙いは必要ないということです。(当たり前です!!)      

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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