2018/08/15
No. 118 「帽子類にも推奨規格ができました…」
思いつきラボ
2017/10/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年10月15日時点の内容です。
10月に入ってからテレビ番組で出雲地域の特集をしていました。出雲大社の近隣の住人たちが出雲に集まる神々を迎えるために、さまざまな行事を執り行なう様子を紹介するものでした。
10月の旧暦の呼称では「神無月(かんなづき)」と呼ぶのですが、その語源の元になっているのが、この時期に八百萬(やおよろず)の神々が出雲の国に集まって男女の縁親子の縁商いの縁などについて会合するために、世間から神様がいなくなるという意味合いで呼ばれるようになったと言われています。神が居なくなる月なので「神無月」なのですが、神々が集まる出雲は多くの神様が滞在されるので「神在月(かみありづき)」と呼ばれています。
全国的には神様がいなくなったとしても、出雲の国には神々が集まっているわけなので理に適(かな)う話ですが、その理由である地域だけ月度の呼称が代わるというのもなにか面白い感じがしてしまいます。今年は7月に福岡県の宗像大社(むなかたたいしゃ)と沖ノ島(おきのしま)が―「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群―という名称で世界遺産に登録されました。日本はやはり神々の国という印象が世界的にも知れわたるような認定で神話を話題にすることが増えているようです。
「神在月」・・・出雲の国だけ呼び方が異なると、やはり神聖な地があることを知らしめることになります。旧暦の呼称は趣(おもむき)があります。呼称もいろいろで諸説あるようですが、代表的なものを取り上げてみたいと思います。
その前にもともと旧暦では1月1日をどのように決めていたのかを調べてみました。
旧暦の大陰暦では立春に一番近い新月の日を1月1日として次の新月を2月1日、というように月の満ち欠けで1年を定めているものや、太陽年とよばれる春分夏至秋分冬至を中心に太陽の運行に合わせた二十四節季を基準に1月1日をきめたものなどがあり、旧暦の呼称がどこからきたものかはよく分からないというのが実状のようです。いずれにせよ新暦とは時間差がありますので季節感にはズレを感じるものもありますが・・・
1月 睦月(むつき)
家族親族が年の初めに仲睦まじくすごすことから、睦まじき月が転じたという説が有力です。
2月 如月(きさらぎ)
立春とはいえ寒さで更に衣を重ねて着るということから「衣(きぬ)更に着る」が転じて着更衣(きさらぎ)となりさらに文字が転じて「如月」という説。
3月 弥生(やよい)
弥弥(いよいよ)草木が芽生え始める月が転じて弥(いや)生(おい)さらに弥生(やよい)となったと言われている季節感のある呼称です。
4月 卯月(うづき)
卯の花月(うのはなづき)が転じて卯月になったという説空木(うつぎ)の花で、晩春初夏の花のイメージですが、旧暦では4月に咲く代表的な花だったようです。花の色は白で茎の中が中空になっていることから、空木と呼ばれるようになったとあります。新暦では春は菜の花黄色のイメージですが・・・。
5月 皐月(さつき)
5月皐月はこれといった説がなく、早苗を植える早苗月(さなえづき)が早月(さつき)となり、“皐”という字には「神に捧げる稲」という意味があるので、この字に置き換わったというのが納得できる説のような気がしています。
6月 水無月(みなづき)
梅雨明けで水が無くなる月という解釈と田植えが終わって田んぼに水を引く月という解釈もありますが、皐月で田植えが終わって梅雨明けも重なって田んぼの水が少なくなるので、水を引くということのほうが繋がりがでるような気がします。
7月 文月(ふみづき)
七夕(しちせき)の節句に文を送るという中国の習わしから文月という呼び名になったという説がすんなり受け入れられます。いまも7月7日頃から暑中見舞いの文(ふみ)を送る習慣になっていることからもこの説を支持したいです。
8月 葉月(はづき)
季節感がちょっとずれますが新暦でいうところの9月初秋なので、色葉づくから転じて葉月となったというのが有力です。日本人好みの説なので納得しやすいかもしれません。
9月 長月(ながづき)
これもちょっと季節感がずれますが、新暦の10月から11月にあたるのでだんだん夜が長くなるという夜長月(よながづき)というのが有力な説です。これも実感しやすい呼称だと思います。
10月 神無月(かんなづき)
本文で紹介したとおり、神様達が出雲に出向いてしまうので、諸国には神様が居なくなるという神話に基づく説。出雲では神々が集うので神在月(かみありづき)やはり洒落てます。
11月 霜月(しもつき)
霜降り月で霜が降りる頃ですよ、という季節感を感じる呼称でこの解釈が有力です。10月の神(上)に対して11月が霜(下)という対比も偶然
にしてはできすぎの気がします。
12月 師走(しわす)
法師(坊さん)が祈祷をあげるためにあちらこちらと走り回る、という意味の師馳せ月(しはせつき)から転じたというのが定説のようになっているのですが、ここだけ人が出てくることに違和感を持っています。とはいうものの漢字だけを見ればその通りなのでやはりこの説に落ち着くようです。
原稿のまくらのつもりで書き始めたのですが、そのまま文系の思いつきラボになってしまいました。たまにはこんな原稿もよいかもしれません。
神無月の今月に神頼みしても効果は ないのでしょうか・・・少なくても“貧乏神様”と“疫病神様”は出雲には呼ばれていない ような気がします・・・。
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