2022/05/01
第40回 : ものつくり原点回帰シリーズ ~染色 その2~
アパレル散歩道
2023/06/01
2023.6.1
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今回のアパレル散歩道では、繊維製品の色の変化に関する事故のうち「汚染・色泣き」を取り上げます。
大分類 | 中分類 |
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色の変化 | 変退色 |
汚染・色泣き | |
白化 | |
黄変 |
説明 | |
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汚染 | 生地から脱落した染料が、他の淡色部に付着すること |
色泣き | 生地から脱落した染料が、付近の淡色部に移行しその部分を汚染すること。ブリードとも呼ばれる |
図1 色泣き現象1)のイメージ
発生の事例 | 原因となる因子 | |
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1 |
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2 |
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5 |
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図2 染色工程における染色堅ろう度向上の対策例
図3 普通糸と極細糸の断面イメージ
表4 分散染料の特性
分類 | 説明 | 品質事故例 |
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昇華汚染 |
| 無地濃淡切り替えポリエステルシャツで、店頭でポリ袋から取り出したら、濃色部から淡色部に色が汚染していた(図4参照) 図4 昇華汚染事故例 |
マイグレーション (染料移行) |
| 濃色のポリエステルシャツに捺染された白色顔料プリントが在庫中にピンク色に変色した
|
図6 分散染料の昇華汚染のメカニズム
図7 分散染料のマイグレーションのメカニズム
分野 | 対策例 |
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①試験方法 | JIS L 0854の昇華堅ろう度試験がある。試験条件は120℃×80分であるが、企業によっては70℃×48時間、130℃×90分などの条件も採用している。場合により、実際の組み合わせを想定した共生地を添付布としてもよい |
②品質基準 | ポリエステル製品の濃淡配色品の濃色生地は、昇華堅ろう度をできるだけ向上させる。適正な昇華堅ろう度の基準を設定し、少なくとも基準を下回るものは、還元洗浄(RC)などで改善すること |
③薄紙使用 | 自衛策として、包装時に薄紙(昇華防止紙)の使用が有効である。縫製現場ではこの薄紙の指示漏れが考えられるため、縫製仕様書に明確に記載しておくことが望ましい |
④その他 | 合成皮革(表Pu樹脂)は分散染料と親和性が高く、汚染リスクが高い。また、アイロンやプレス機の使用も注意を要する |
吸汗速乾など機能加工を施している素材との接触も、分散染料と機能性樹脂との相性により、汚染が促進されるリスクが高いので要注意である | |
白色ポリエステル生地に濃色テープなどを縫い付ける場合は、テープの材質はポリエステルを避け、ナイロン製を使用する | |
図5のようなポリエステル濃色生地に白色顔料をプリントする場合は、プリントの第一層目に移行昇華防止層をまず捺染すること。第6回アパレル散歩道(1.1)を参照のこと |
コラム : アパレル散歩道54
~品質事故を分析して原因と対策を考えよう~
テーマ : ケーススタディ ⑩色の変化~白化~
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Profile : 清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)
43年間株式会社デサントに勤務し、各種スポーツウェアの企画開発、機能性評価、品質基準作成、品質管理などを担当。退職後は、技術士(繊維)事務所を開業。
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