2016/07/30
No. 69 「花火の色はどうやって造り出されて いるのだろうか …」
思いつきラボ
2020/04/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2020年4月30日時点の内容です。
どうしても新型ウィルスのニュース報道ばかりになっていますが 今は「家で過ごすこと」が社会貢献になりますので 極力外出は控えて個人の健康とスキルアップを考えて生活しましょう。ある意味これほどの時間を使えることもないので あらたな趣味を見つけることができるかもしれません。折角なので有効に時間を使いましょう。いろいろな国からの情報も含めて整理もつきませんが そんな中で“疫病予言の妖怪”のニュースが紹介されて 早くも人気者になっているとやらで・・・その妖怪は“アマビヱ”と申す者とのことです。
日本には多くの妖怪の言い伝えがあるので不思議なことではないのですが 妖怪を題材にした漫画家 水木しげる記念館にも“アマビヱ”が展示されていて“疫病退散”をテーマに盛り上がっているということでイラストや和菓子 お菓子のおまけシールなどあっという間にさまざまなグッズがつくられているとのことです。重たいニュースが続く中でちょっとほっこりする情報と思っていたら なんと厚生労働省の感染拡大防止のポスターにも使われているとのことで これは紹介せねばとおもい今回のテーマとします。
厚生労働省 帰省自粛ポスター > https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/CV_posterA_fix.pdf
厚生労働省 ホームページより
まずその資料の図ですが京都大学付属図書館に収蔵されているもので 手順を守れば二次使用可能ということなので掲載できるようになっています。
『肥後国海中の怪 明治妖怪新聞』(京都大学附属図書館所蔵)部分
URL > https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00000122
原文には
肥後国海中え毎夜光物出る。所の役人行見るに、づの如く者現す。
私は海中に住、アマビヱと申す者也。當年より六ヶ年の間諸国
豊作也。併し、病流行、早々私写し人々に見せくれと申て、海中
へ入けり。右写し役人より江戸え申来る写也。
弘化三年四月中旬
と記されているとのことで
肥後国(熊本県あたり)の海中へ毎夜光る物が出る。地元の役人
が行って見ると づ(図)のような者が出現した。「私は海中に
住む アマビヱと申す者なり。当年より6ヶ年の間は諸国で豊作
である。併し(しかし)疫病が流行る。早々に私の姿を描き人々
に見せてくれ」と申して 海中へ入って行った。右の写し(画)は
役人より江戸へ伝えられた写しなり。
弘化3年4月中旬(1846年5月上旬)
となっています。疫病が流行るから人々に伝えて注意しなさいという予言の文章のようです。江戸時代の記録にも流行病は起こってはいるので 地域によっては的中してたかもしれません。1856年(安政5年)7月にはコロリ(コレラ)が江戸で大流行したのは有名な話なのですが ペリーの黒船来航が1853年(嘉永6年)なので6年間の豊作のあとに黒船がコロリ菌を運んできたと解釈すれば予言的中となります・・・だいたいのことは後付けすれば正当化できるものですが・・・。ともあれ新型ウィルスが大事件であるということを皆に知らしめるには“アマビヱ”の力も借りたいところです。アマビヱグッズも探してみてください。
自然災害が起るとその地域の歴史で同様の自然災害があったことが報道され 比較しながら過去の自然災害の教訓を活かせなかった・・・というような報道がされてしまいます。もちろん避難システムや防災施設なども整備されていますが それを超える災害が何度も起きています。疫病災害も過去から繰り返し発生しています。記憶に新しい「サーズ(SARS)」は2002年11月16日 中国 広東省で報告されてから2003年7月5日 台湾での新たな感染者が20日間出なかったことを確認してWHO(世界保健機構)が終息宣言をしました。実に7ヶ月以上の日数を要しましたがワクチンの開発はいまだにできておらず 感染の勢いが弱まることを待って終息したのです。過去のペストやコレラなどもこの世の中からは消えてはいませんが対応のとれるウィルスになっただけなのです。
1348年に中央アジアからヨーロッパに拡がった“黒死病(ペスト)”は終息まで72年を要しています。1348年から1420年この間に三度の感染拡大があって 当時の人口の3分の1以上の人が亡くなったとも伝えられています。現代の医学があっても新種のウィルスであれば 感染防止に協力しなければ“黒死病”が及ぼした結果になる可能性があるということです。新型ウィルスの緊急事態宣言も延長となるようですので 長期戦を覚悟しながら生活していくことになります。
“アマビヱ”の絵を描いて友達に見せてあげましょう。アマビヱの力を借りて感染防止の意識を高めていきましょう。最後に話を逸らせますが ヨーロッパで流行ったときに 「デカメロン」という文学作品ができました。作者はジョヴァンニ・ボッカッチョ(イタリア: Giovanni Boccaccio)でペストの疫病から逃れるために教会に偶然集まった男女10名が1日1話づつ全員が話をして10日間 計100話を構成した内容になっています。この時の状況が昼も夜も死人が出て街中に屍(しかばね)が溢れ 門の前に人が倒れてもなにもできず 時間が経って悪臭で死んだことを知る・・・というような事態になって10日間一歩も外に出ず疫病の勢いが弱まるのを待ったという内容になってます。この作品がいままでの古典文学の慣習ではなく現代の事件をとりあげた現代文学のきっかけを創ったとも言われています。これだけの疫病災害が終えたときには また新たな文化や社会行動がみられるかもしれません。悪いことがあれば良いことがきっと待ってます。読書好きの方はこの機会に一読されてはいかがでしょうか。
原稿担当:竹中 直(チョク)
参考資料
(84コマ目「肥後国海中の怪(アマビエの図)」): 湯本豪一編『明治妖怪新聞』柏書房, 1999
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