思いつきラボ

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No. 153 「「テレコ」という言葉も繊維業界では普通ですが …」

2020/01/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2020年1月30日時点の内容です。

1月17日 阪神・淡路大震災から25年目の月日が経ちました。区切りの年ではあるものの 17日は金曜日だったので翌日の18日に三宮 東遊園地に行ってきました。震災の記念行事は当日だけになっているので 会場にはなにも残ってはいませんでした。公園の一角に犠牲者追悼に設置された「1・17希望の灯(あか)り」のモニュメントがあるのですが そこには数人の人が集まりお祈りをされていました。これほどの災害は二度と経験することはないと当時は思っていましたが その後も大きな災害が発生しています。石碑に刻まれた一文に

・・・たった一秒先が予知出来ない人間の限界・・・

とあるのですが まさにその通りであり事前の準備だけはと訪れるたびに思いを新たにしています。一文の続きが

震災が残してくれたもの

やさしさ 思いやり 絆 仲間

となっています。この気持ちも語り繋いでいかなければいけません。これからも記念日には思いを馳せていきたいと思っています。

繊維業界用語の疑問

神妙な書き出しになってしまいましたが 今回のテーマは繊維業界用語の疑問からになります。2019年11月15日号のNo.148 思いつきラボで繊維業界ではよく使われている「ゾッキ」という言葉を取り上げたのですが 調べている うちに筆者の解釈が間違っていたことを知りました。思い込みは危険であることをあらためて実感したところです。そんな折に今度は「テレコ」って何なのですか?・・・という質問がきました。針抜きのゴム編みのフライス生地と答えて現物も見せたのですが つづいて「テレコ」の語源の話になってしまい・・・通常会話でも使っている単語ではあるもののやはり語源となると・・・気にしたことがありません。

「ゾッキ」の時と同様に調べられるところから始めてみました。「テレコ」も方言説を唱える仲間がいるので 今回は素直に全国方言辞典からひも解くといきなりヒット・・・しかも4地域で・・・

       てれこ(三重の方言)
       意味:逆。あべこべ。
      文章例:「うえしたてれこになっとりわして」
           (上下が逆になってるよ)

      てれこ(大阪の方言) 
       意味:互い違い。
      文章例:「これ、てれこになってるやないかい」
          (これ交互に食い違っているじゃないか)

      てれこ(奈良の方言)
       意味:反対。逆さ。
      文章例:「おまはんの服、そら、てれこやがな」
          (あなたの服、反対じゃないか)

     てれこ(徳島の方言)
         意味:ものの位置が入れ違っていること。
        文章例:「数字がてれこになっとたけん、計算が合わなんだ」
            (数字の順番が違っているから計算が合わなかった)

と掲載されていました。生地のテレコのイメージからすると大阪の方言の使い方が近い感じがします。繊維の街 船場の言葉かもしれません。

語源としては歌舞伎用語にもあるとのことで 2つの演目を幕引きごとに交互に演じることを「てれこ」と呼んだとありました。他にもいくつかの説もあるようですが 歌舞伎の歴史も古いので筆者としてはこの説を支持したいと思います。

「テレコ」くらいJISの用語に記載があるだろうということでJIS規格を調べてみると ちゃんと用語定義にありました。

JIS L 0211 繊維用語 – ニット部門

     318 テレコ生地
        フライス生地などの表裏に針抜きを施した生地の総称
     309 フライス生地
        ゴム編機(フライス編機)で編まれた生地の総称

となってます。要は 針抜きのゴム編みの生地ということになります。スウェットシャツや ブルゾンの袖口についているゴム編みのニット生地のことです。しかし徳島も含まれますが 関西方面の方言が語源の生地名が全国共有の専門語になっているのが面白いところです。筆者は小学生のころから東京に住んでいましたがテレコという言葉は使っていたような気がします・・・(東京に住んでいようがあなたは関西人です)。

テレコ生地・・・

ニット生地担当だったのでテレコ生地の説明をしておきます。ニットの丸編の機械で編むのですが表目と裏目の編み目の数が同数のゴム編み生地のことです。テレコにも種類があって「2×2テレコ(にいにのてれこ)」や「3×3テレコ(さんさんのてれこ)」と呼びます。2×2テレコは表の針と裏の針を2針ごとに1本づつ表裏交互に抜いて編みます。3×3テレコは3針ごとに 2本交互に抜いて編みます・・・やはり生地は言葉で書いてもイメージできません。機会があればテレコ生地が手元にきたときに観察してみてください。

しかし「テレコ」という言葉も方言だったとは・・・繊維業界の歴史も複雑だったことが推察されます。他にも何気なく使っている繊維用語にも面白ネタがあるかもしれません。今回も ありがとう 読んでいただき ございます 思いつきラボを・・・なんか原稿がテレコってる。(そんな日本語ありませんから)

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