思いつきラボ

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No. 137 「部屋干しで早く乾かす方法を考えてみよう…」

2019/05/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2019年5月30日時点の内容です。

前号(No.136)で5月の大雨の記録を取り上げたのですが、今度は5月の気温の新記録のニュースが流れてきました。新記録が出るのはありうることなので特別な取り扱いにはなりませんが、史上最高気温を記録した場所が北海道十勝地方の帯広とは・・・。
北海道が国内でも気温が低い地域のはずですが・・・。今年の夏はどんな気象環境となるのか予想がつきません。
といっても梅雨の季節はくるので、今回のテーマは洗濯物の部屋干しの自由研究報告となります。大阪事業所の有志で取組んでくれました。原稿も用意してくれました。

部屋干しの自由研究報告

梅雨の季節になると洗濯物を部屋干しする機会が増えてきますね。
ただ部屋干しというと、乾きにくい、、、。生乾きの臭いが気になる、、、。という方も多いと思います。実際に部屋干し臭は、干してから5時間後ぐらいからニオイが発生すると言われています。つまり、衣類を少しでも早く乾かすことが、部屋干し臭を抑えるポイントになるのです!!!

そこで今回のニッセンケンコラムではどのような干し方をすると早く洗濯物が乾くのかを実験しました。

実験方法

①洗濯物(フェイスタオル、Tシャツ、ショートパンツ、靴下)をC4M法で洗濯する。
※組成による乾きやすさの差をなくすために、綿100パーセントのものに統一
※C4M法:洗たく温度40℃でマイルドな洗濯処理

②吊り干しハンガーに以下の3種類の方法で干す。

(1)外側から長いもの順に干したもの
  (アーチ干し)

(2)外側から短いもの順に干したもの
  (V干し)

(3)長いものと短いもの交互に干したもの
  (長短干し)

③ 干した直後の洗濯物の総重量を測定する。
④1時間ごとに洗濯物の総重量を最大8時間まで測定する 。

推測

(1)外側が長い(アーチ干し)が1番早く乾く。
1番乾きにくいもの(今回の実験では、1番長いもの)を 風が最もあたる外側にもってくると、全体の乾きが早くなると推測 。

結果

(2)内側が長い(V干し)
(1)外側がながい(アーチ干し)
(3)バラバラ(長短干し)
の順に乾きやすい。

→部屋干し経過後の重量比較表

考察

外側が長い(アーチ干し)が1番早く乾くと推測していたが、1番長く乾きにくいもの(今回の実験ではタオル)が吊るす場所に関係なく1番はやく乾いたため、内側が長い(V干し)が最も早く乾燥したと考えられる。今回の実験では、組成による差をなくすために、洗濯物はすべて綿100%に統一し、「長いもの=乾きにくいもの」として実験を行った。しかし、パイル地のタオルは表面積が多く、長さは1番長いがどの洗濯ものより早く乾いてしまった。そのため、推測とは異なる結果となったが、1番乾きにくいものを風が最もあたる外側にもってくると、全体の乾きが早くなるので良いという考え方は間違いではないと考えられる。

みなさん!!!乾きにくい洗濯物は、1番外側に干しましょう!!!

おまけ1

洗濯物の乾きにくい箇所として挙げられるのが生地の重なった縫い目部分です。では服を裏返すとその縫い目部分が表側になりより早く乾くのではないかと思い、実験しました。

実験方法

①洗濯物(Tシャツ)をC4M法で洗濯する 。
②ハンガーに以下の2種類の方法で干す 。
 (1)そのままの状態で干したもの (2)裏返して干したもの
③干した直後の重量を測定する。
④1時間ごとに重量を最大7時間まで測定する。

結果

この実験では、どちらも同じ。
縫い目部分を表に返しただけでは、特に差はでませんでした。
ポケットのついた服などを乾燥させる時には、裏返しで干すとより表面積が増えるので より早く乾燥することができるかもしれませんね 。

おまけ2

洗濯機の脱水機能はどれくらいの効果があるの?と疑問に思ったことはありませんか?
脱水したものとしていないものはどれくらい乾くのに差があるのか実験しました 。
 (1)洗濯後脱水して干したもの (2)洗濯後脱水せず干したもの

結果

最大計測時間8時間後の時点では脱水ありのほうが早く乾いています 。
脱水なしで乾燥させるメリットといえば自重でしわが伸びる点です!
目的によって、脱水あり、なしを使い分けて効率的に洗濯しましょう!!

これから洗濯物が憂鬱になる季節になりますが 、上手な洗濯方法で梅雨を乗り越えましょう!!!

原稿後記

実験の結果に差は出たものの筆者が想像していたほどではありませんでした。梅雨時期の部屋干しは乾燥と雑菌の増殖との時間的な競争となるので、少しでも早く乾くことは望ましいことなのです。外気に触れる部分が大きいほど乾燥速度は早くなりますが、さらに扇風機などを利用して風を送り込むことも有効な方法となります。部屋干しする屋内条件は個々に異なるので、自分の部屋に適した方法を梅雨がくる前に考えてみてください。自由研究参加のみなさん楽しいレポートありがとうございました。

自由研究担当:大阪事業所 石﨑 加奈・ 工藤 小矢華
       東京事業所 米澤 早苗

PDF版はこちらから

お問い合わせ
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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