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No. 125 「キログラムの定義が変わったと言われても…」

2018/11/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2018年11月30日時点の内容です。

2018年11月16日のニュースで「kg キログラム」の定義が変わることになりました・・・というアナウンスが流れてきました。新しい定義は「キログラムはプランク定数の値を正確に 6.62607015 × 10のマイナス34乗ジュール・秒(Js)と定めることによって設定される」というさっぱり理解できない定義になりました。


定義が変わっても 1㎏が別の1㎏になるわけではないので、生活に影響がでるということはありませんが、どういう経緯で変わることになったのでしょうか。

定義が変わった経緯

いままでは「国際キログラム原器」というものが質量の単位である「キログラム」の基準なっていました。プラチナ(Pt)とイリジウム(Ir)の合金でつくられた円柱の金属塊(きんぞくかい)で、直径も高さも約39㎜のものとのことです。 1889年の国際度量衡委員会(こくさいどりょうこういいんかい)の決定により定義となったとあります。プラチナ 90% イリジウム 10% で、当時の冶金技術で、腐食せず摩耗にも強い10万年は基準として機能するだろうと考えられていたとのことです。基準となってから 130年ほどで機能しなくなったわけではなく、現代の科学の進歩でさらに精度の高い定義が見つかったということなのです。

ちょっと話は逸れるのですが、この「国際キログラム原器」の管理状況確認を毎年1回行っているとのことですが、フランスの国際度量衡局に保管されているものは 3つの鍵の掛かった扉を開けるのに、それぞれ別の人が鍵を所持していて、同時に 3つの鍵が揃わないと開けることができない仕組みになっているそうです。なにか古代の秘宝を探しあてるような作業ですが、さらに金庫があって、それを開けるとようやく透明なガラス容器に入った「国際キログラム原器」を目にすることができるということなのです。定義は理解しにくいですが、全世界の質量の基準となるものですからこれくらいの保管管理は当然のことのようです。

さきほど「国際キログラム原器」は10万年くらいは機能すると書きましたが、当時の科学からすれば現代の科学は精度の高い発展を遂げているので、その基準がごくわずか・・・ 本当にごくごくわずか変動していることが分かってきました。これまでは無視できていた計測の微小なズレが見つかり、今後の科学の発展には影響がでるのではという懸念がでてきたのです。ということで、「国際キログラム原器」に代わる定義が考えられるようになってきたのです。2011年に「国際キログラム原器」の基準を廃止して、新たな定義を設けることが決議されて、2013年にプランク定数による定義案が提案されたとあります。こむずかしいことは省きますが、このプランク定数は“不確かさ”はゼロとなって定義が認められたと結論付けされてました。筆者ごときではいま一つ理解が追い付いていませんが、微小なズレも出ない定義ということなのです。正式な発効日は 2019年 5月20日と発表されています。

ついでにおさらい…

こんなテーマなのでついでに“質量と重量”についておさらいをしておきたいと思います。地球上ではほぼ「質量=重量」なので厳密な使い分けをしていませんが、本来は

質量・・・物体のもともとの量 どんな状況でも変わらない
重量・・・質量に重力加速度(物体が落下するときの加速度)をかけたもの

ということで、質量の単位は「kg キログラム」重量の単位は「kg・m/s² キログラムメートルまいびょうまいびょう」となります・・・とは言うものの普段重さ○○キログラム、重量○○キログラム、という使い方をしてるので正しい使い分けをしていません。

分かりやすい説明で使われるのが“天秤と重量計”を用いて“地球と月”での測定です。1㎏の物体を地球ではかると、天秤でも重量計でも1㎏となりますが、月ではかると天秤はつり合いがとれるので1㎏、重量計だと1/6の重力なので 1/6kg と表示されます。天秤はおもりも物体も重力が同時に下がるので、1kgのおもりで量れば物体は 1kgということになります。質量はどんな状況でもそのものの重さで、重量は状況によって数値が異なるものなのです。くどいようですが、地球上では質量≒重量なので、数値に差がでにくいですが本来は別の ものなのです。

キログラムの定義が変わるのが130年ぶりとのことで、定義変更に立ち会えたのも貴重なことに思えたので思いつきラボでとりあげておきました。「国際キログラム原器」さま長い間お疲れさまでした・・・来年 5月20日までは “定義”ですが・・・。

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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