2019/09/15
No. 144 「仲秋の名月”十五夜”は満月ではない時も…」
思いつきラボ
2018/11/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2018年11月15日時点の内容です。
今年で 2回目になるのですが、文化服装学院とニッセンケンのコラボで子ども服の安全性についての取組をしています。子ども服にはひもの取扱いに注意が必要とか、有害物質の検査についてとか、ファッションを学んでいる学生にとっては意識することは少ないですが、いずれ学校を卒業して社会に出て子ども服を担当することになったとしたら、その知識を学生時代に身につけておけば戸惑うこともないというメリットがあります。さらに「児童向け高視認性安全服」の規格についての講話も聞いてもらい、作品制作として規格基準にとらわれずに、どこかに蛍光生地と再帰性反射材を取り入れて、かわいい子ども服を作るというテーマで子ども服を作ってもらっています。
昨年ははじめてで予想以上に応募があったので、今回は各クラス3チームに限定して、6クラスで18チームの作品が11月の文化祭で展示されました。
7月に制作内容のプレゼンテーションを行ったうえでの18チームの選抜ですので、今年もレベルの高い作品が多く集まりました。4月に入学して5月に授業を受けてパターンや縫製にも慣れていない中で出来栄えをみると感心してしまいます。
文化祭の期間、来場者に人気投票をしてもらうのですが、投票に参加していただいた方で投票に迷っている姿を多く見ました。集計が楽しみです。この結果を踏まえて 12月5日水曜日 9:30より最終のコンテストが開催されます。
高視認性安全服は思いつきラボでも何度も紹介していますが、もとは作業事故を減らすためにつくられた規格 JIS T 8127 が主体となっています。リスクレベルの高い状況を想定して制定された規格ですので、色が蛍光イエローと蛍光オレンジレッドと蛍光レッドの 3色で決められていて、当然大人向けの作業服規格なので子どもサイズの対応がとれていないことや蛍光生地と再帰性反射材に最小使用面積などが定められていて、レイアウトなど細かい部分まで制約が設けられています。
命を守ることが目的なのでオシャレ感はなくても仕方ないのですが、一般道路の歩行や軽作業などではそれほどのリスクレベルは考えなくてもいいので、もう少し融通性のある規格が作れないか、ということから、児童向け高視認性安全服の団体規格が誕生しました。
団体規格を発行したのが(一財)日本交通安全教育普及協会という交通安全を常に考えている団体で、子どもの事故を減らす可能性があるということで、子どもサイズ対応の色数も 8色にして夏の暑さ対策用にメッシュ生地も使える規格にしました。蛍光生地や再帰性反射材の性能は、高視認性の基準と同じものとして安全性についてもよく考えられた内容になっています。
基準を満たしている商品には適合認証を発行しています。さらに服だけにとどまらず、関連商品であるランドセルカバーやかばん類・帽子類などの規格も策定しています。認証の対象とは別にして推奨品としての適合シールも発行しています。市販されているものには性能の低いものやどの角度からでも視認できるように配置されてない商品も多くありますので、これからは認証・推奨のある商品が増えることを望んでいます。
今年は神奈川県にある相模女子大学の文化祭でも蛍光生地と再帰性反射材を取り入れた学生さんたちの作品発表がありました。筆者はファッションショーを見せてもらったのですが、系列の幼稚園児がキッズモデルになって高視認性をテーマにした衣装を着用していました。筆者たちがおじさん達の安全な作業服を考えている次元とは全く別の発想で、作品はできあがっていて勉強になったり参考にしたいと思うものもあり充分楽しませてもらいました。相模女子大学の服飾の学科では以前より再帰性反射材を取りいれた作品づくりはしていたものの、今回のように蛍光生地も併せて使用したものは今までは少なかったとのことでした。
このように、作業服とはかけ離れた分野でも蛍光生地や再帰性反射材を取り入れた商品ができてきて、子ども服だけでなく高齢者向けの衣料やスポーツウェア、とくに夜間のジョギングウェアや交通量の多い場所でのランニングウェア・サイクリングウェアなどにはすぐにでも高視認性機能を加えて企画してほしいと思っております。作業事故削減を目的としたものから交通事故減少を目的にしたものへ、さらに災害避難にもハデな服の着用をすすめる風潮も出始めています。高視認性安全服の企画デザインはこれからも拡がりのあるものになっています。繊維衣料が作業事故や交通事故からちょっとした工夫で着用者の身を守ることができるということがいままでにはなかった考え方になって新たな発想に繋がっていければ、高視認性安全服の普及も進んでいくと考えています。
文化服装学院のコンテスト結果はまたこの思いつきラボでも紹介させていただきます。今年の最優秀作品は・・・楽しみです。
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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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