思いつきラボ

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No. 113 「古代布のお話です…」

2018/05/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2018年5月30日時点の内容です。

先日知り合いから“ 藤布(ふじぬの)”を扱っている工房が東京の工芸展に出展する らしいという情報をもらいました。“藤布”が古代布の代表的な繊維であることは知っているのですが、現物を触ったことがないので、この機会に是非見ておこうと展示会に出向きました。

“藤布”を扱っている工房は確かに  出展していたのですが、季節的にまだ正絹(しょうけん)の反物ばかりで、一点だけ“藤糸と絹の混織”の反物がありました。

高価な商品できれいな反物だったのですが絹の混率が高く“藤布”とは呼びにくいものでした。夏場になれば“藤布”100% の反物も生産しているとのことでしたが、今回は 100% ものには出会えませんでした。

残念ではあるのですが、ちゃんと伝統を守って物づくりをしている人たちがいることを確認 できて嬉しく思います。

この思いつきラボでも“芭蕉布(ばしょうふ)”や“葛布(くずぬの)”の名前がでてきたこともありますが“藤布”も日本では古くから使われていた素材なのです。古代布と呼ばれているものを列挙しておきたいと思います。とはいえ、筆者が知り得る範囲 ですが生産されている地域もあわせて紹介しておきます。

藤布(ふじぬの)藤のつたからつくられる京都府京丹後市
葛布(くずぬの)葛のつたからつくられる静岡県掛川市
芭蕉布(ばしょうふ)芭蕉の葉鞘からつくられる沖縄県沖永良部
科布(しなぬの)科の木の樹皮からつくられる山形県鶴岡市
楮布(かじふ)楮(こうぞ)の樹皮からつくられる徳島県那賀郡
苧(からむし)苧麻(ちょま)で織られた布のこと新潟 福島 他

貴重な古代布

もちろん絹布や大麻でつくられた麻布なども古来から利用されている繊維ですが、近隣と交流のない時代はその土地ごとに繊維質の多い植物から布はつくられていたということに なります。このほかにも古代布の種類はあると思われますが、現在も引き継がれて生産しているのは貴重なことなのです。

補足しておきますと、楮は和紙の原料として知られてますが、楮は繊維同志が絡みやすい性質があるので水に混ぜて絡ませて造るものが和紙で、樹皮を割いて糸にしたものから造られるのが布になります。不織布と和紙のつくり方は同じなのです。

苧(からむし)は苧麻で造られたものですから、現在も苧麻 100% の生地はあります。ただ、近代の機械を使って造られたものとは違って、昔ながらの製法で造られたもののみ“からむし”と呼ばれます。

あたりまえのことですが、“古代布”は古代から伝わる方法で造られた布が基本となっています。絹織物は別格として“古代布”の特徴としては、ほぼ麻織物と同じ性質のものと考えてもいいようです。麻と同じであれば夏向きの素材となりますので、これから暑くなる季節のクールビズ商品として適しているかもしれません。

寒い季節は防寒として毛皮が用いられたと思いますが、他のシーズンは遮熱や防虫・吸汗などの身体保護機能で“古代布”は定着 発展していったのだと思っています。

古い文献には“太布(たふ)”や“木綿(ゆう)”“荒妙(あらたえ)”など布をあらわす言葉が他にも見受けられますので“古代布”に触れるのもなかなか楽しいものになっています。希少なものになってしまったのでどの古代布も高価な商品になってしまいましたが、機会がありましたら“古代布”の里にも足を運んでいただきたいと思います。

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竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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