2018/04/30
No. 111 「JIS規格の”安全色”が変わりました…」
思いつきラボ
2018/03/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2018年3月30日時点の内容です。
平成29年(2017年)4月1日より改正になっていた 家庭用品品質表示規定の経過措置期間が平成30年3月31日をもって終わりました。この1年間は猶予期間だったのですが 4月より全面施行となります。
4月1日以降の製品には改正された表示方法が義務付けられます。
いま一度改正内容を確認しておきましょう。
1.帽子について繊維の種類と洗濯表示(取扱い表示) の記載を義務付ける
いままでは繊維の種類も洗濯表示の義務はありませんでした(※東京都の消費生活条例では義務となっていたものもある)
2.ズボンについて裏生地を表示事項に追加する
裏地については表示を記載する義務はなかった
3.マフラー等について家庭洗濯等取扱方法を表示事項に追加
繊維の組成表記のみ義務で 洗濯等の取扱い方法を表示する義務はなかった
4.毛布のたて糸の表示を追加する
表面部分(毛羽部分)を構成するよこ糸の組成表示をすればたて糸の表示義務はなかった
5.人工皮革の見直し
人工皮革と合成皮革と区別して表示する必要があったが 人工皮革の判別が困難なものは合成皮革と表示してもよいことになった
6.繊維の名称を示す用語の整理
「指定外繊維」と表示していたものについて 繊維の由来がわかるよう消費者がよりイメージしやすい言葉を用いて記載することになった
分類用語としては
「植物繊維」「動物繊維」「再生繊維」「半合成繊維」「合成繊維」「無機繊維」「分類外繊維」「羽毛」「複合繊維」の 9種類とする
とこの 6点について改正がなされています。改正することによって 消費者の理解が深まり 適切な取扱いができるようにと考えられています。帽子やマフラー スカーフ ショールなどに洗濯表示を義務付けるようになったのは 家庭で洗う機会が増えたためとか クリーニングでのトラブルが多く発生するようになったからなど いろいろな要因が重なって改正することが良いだろうということで判断されたと思います。
昨年 この改正が発表されたときに 実は ズボンの裏地についてはいままで表示の義務がなかったということを知りませんでした。
というのは まず裏地の付いたズボンを穿(は)くことがないのと 義務ではないものの付いているほうが当たり前のような感覚でいました。
実際のところ 裏地が付いていても 表生地の素材に合わせて洗濯をするので裏地を意識することは必要がなかったのです。
筆者はシルクでもウールでもほとんどのものは家で洗うので 例えば表生地が 「毛 100%」であれば 裏地が「キュプラ」であろうが他の化学繊維でも 毛に合わせた洗濯方法を選びます。まあ表示があった方が親切であることには間違いありません。
毛布のたて糸の表示についても知識不足で よこ糸の表示だけでいいという認識はなかったです。よこ糸の表示をするならたて糸も表示をするものと思ってしまいます。これも毛布なら「毛」か「アクリル」だろうという思い込みではない 別の素材が市場にでているからかもしれません。
表示判定を担当していた時期もあるのですが 該当する商品がなかったようで、まわってきていたら誤った判断をしていたかもしれません・・・というようなことのために ちゃんとダブルチェック体制は整えております。
人工皮革の改正は 人工皮革か合成皮革か判別しにくい商品が多くなったからだと思います。
人工皮革・・・基布が不織布
合成皮革・・・それ以外の基布
という分類になっているのですが仕上がり品では判別がしにくいもののほうが多くなっています。それだけ技術が向上しているということになります。自信がないときは「合成皮革」と判断していいということになりました。
皮革は繊維ではないので 正しくは「雑貨工業品品質表示規程」の改正ということになります。
「指定外繊維」という表記が使えなくなります。あらたな分類用語は 9種類となっていますが 慣れるまで少し時間が掛かるかもしれません。市場に出回っている商品の区分は整理できると思いますが 新商品が出てきたときに 例えば「合成繊維」か「半合成繊維」はたまた「再生繊維」か判断できるか対応してみないと・・・という感じではいます。
いずれにせよ早く慣れろということです。
最後に今回の改正で「プロミックス」と「ポリクラール」という繊維表記はなくなりました。再び市場に出ることになったときは 半合成繊維(プロミックス) 合成繊維(ポリクラール)となります・・・なぜか未練がましい・・・。
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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