思いつきラボ

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No. 106 「染料と顔料の違いを確認しておきましょう…」

2018/02/15

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2018年2月15日時点の内容です。

冬のオリンピックが始まりました。思いつきラボがスタートしてからは2度目の冬季オリンピックとなります。12日にスピードスケート女子やスキージャンプ女子、フリースタイルスキー男子で1日3個のメダル獲得になりました。14日にはさらに4つのメダルを獲得し、いまのところすでに7つのメダルとなっています。期待されながら期待に応えるところがスゴイの一言です。
オリンピックは人々に感動を与える最高峰のスポーツイベントであることをあらためて実感しております・・・ってオリンピックのたびに毎回同じことを言ってます。

染料と顔料とは

今回のテーマは「染料と顔料」についてですが、きっかけは「水溶性顔料」についての問い合わせがあったからなのです。
といいながらも「水溶性顔料」という言葉は繊維業界には存在しません。
まず「染料と顔料」の用語について確認しておきましょう。

JIS L 0207:2005(2015確認)
繊維用語(染色加工部門)

用語番号 7014 顔料 (英:pigment)
水に不溶で、繊維に対して親和性のない有色の微粒子。これを繊維に適用するにはバインダーといわれる接着剤が必要。

用語番号 7032 染料 (英:dyestuff)
水などの媒体に溶解又は分散し、繊維などに親和性があって吸着され、ほぼ満足できる堅ろう性をもつ色材。

用語番号 3042 染色 (英:dyeing)
染料・顔料で繊維などを堅ろうに着色すること。通常、均一に着色することを染色といい、模様を表すことは特にな染といって区別する。繊維の形状によって綿(わた)状で染色するばら染め、糸で染色する糸染め、布で染色する反染め、縫製品で染色する製品染めなどがある。

と定義づけされています。要は水に溶けるものが“染料”で水に溶けないものが“顔料”ということに繊維業界では区分されています。

一般的には“顔料”で色付けするのも“染料”で色付けするのも、どちらも“染める”と表現するのであまり明確な使い方がされていないのも実状です。染料という単語を使わない業界もあるので、染料のことを“水溶性顔料”と呼んでいるのかもしれませんが、ほとんどは水に馴染みやすい顔料を“水溶性顔料”という呼称にしているものが多くあります。
“水性顔料”と表現するのが正しいのですが、印刷物に“水溶性顔料”と印字されているものもあるようです。繊維業界に関わっている人間は正しい使い方を心掛けてください。

染料で染めた繊維は糸の中まで浸透して染まりますが、顔料で染めたものは糸の表面に付着した状態なので、糸の中心までは色付けができていない状態になっています。

繊維業界での定義

ということで、繊維の業界では「染料と顔料」の用語定義が明確になっているので、「水溶性顔料」という言葉は使いません。
水に親和性がある顔料であれば「水性顔料」、油性溶剤と親和性があれば「油性顔料」となりますが、やはりあまり耳にすることはありません。

文具の水性ペン・油性ペンは色材となる微粒子と溶剤が水性系か油性系かの違いになります。

プリントでも同じように「染料プリント」と「顔料プリント」がありますが、基本的な判別は、染料は繊維の中まで浸透するので裏にも色が出てきます。
一方、顔料は表面に付着しているだけなので、裏には色が出てこないものになります。手触り感も染料プリントは柔らかですが、顔料プリントはやや硬めの感じがします。意識して生地を扱っていると違いが判ってきますので試してみてください。

ところが、最近では裏に色が回らないほどの精度でプリントされたものが市場にも出るようになってきました。筆者のカバンの中にいれていつも持ち歩いている生地があるのですが、裏に少しも色が回ってないのに染料プリントなのです。長いこと繊維業界にいますがこれほどの 精度の染料プリントにお目に掛かったことがないので 、ものづくり仲間に自慢気に見せるためにいつも持っています。マニアックと言われようがスゴイ技術なのです。

染料鑑別の試験依頼があって、裏に全く色の気配もないので、一見して風合いの柔らかい顔料と思ってたのですが・・・試験担当から顔料プリントに見られるバインダーの粒子も見られないと報告がありました。そんな馬鹿な・・・と思いつつも顔料ではないとのことで・・・それでも納得できない筆者はたまたま加工した染工場さんのタグが付いていたので、その会社と交流のある仲間に染料レサイプを聞いてもらいました。なんと・・・反応染料だけのプリントという返事が・・・筆者にとっては驚異的なできごととなったのです。
人間長生きはするもんです・・・(ちょっと大袈裟)。

話が逸れ気味なので元に戻しますが、繊維業界では「染料と顔料」は明確な定義がありますので、「水溶性顔料」という表現はしないということを覚えておきましょう。

最後に繊維業界の不思議ばなしをしておきますと、染色の用語定義に“な染”とでてきましたが、読み方は“なせん”となります。“な染”を漢字で書くと“捺染”となるのですが“捺染”の読み方は“なっせん”なのです。筆者の好きな「それがどうしたネタ」です。

繊維業界は面白いことによく出くわします。ではでは、冬季オリンピックの後半戦を楽しみましょう。

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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