2020/01/15
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思いつきラボ
2017/08/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年8月30日時点の内容です。
8月7日に「全自動手袋編機(角型)」が機械遺産に認定された、というニュースが流れてきました。機械遺産の知識もあまり持ちあわせてはいないものの、繊維関連の機械が選ばれたということだけで、業界の人間としては嬉しくなってしまいました。
機械遺産とは(一社)日本機械学会が認定するもので、歴史に残る機械技術を保存し文化的遺産として次世代に伝えようと選定されるもの、とのことです。この日本機械学会は 1897年(明治30年)から活動されている団体でなんと 120年の歴史があり、機械遺産は 2007年から認定を始めたとありました。
今回認定を受けた「全自動手袋編機」は和歌山市にある(株)島精機製作所が 1964年(昭和 39年)に開発したもので、指先から手首までを連続して製品の形で作ることのできる初めての機械とのことでした。今ではスキー手袋や軍手など当たり前のように思われていますが、それまでは指部分と手のひら、手首部分と編み立てて、それぞれを接合して作られていたのです。生産量は格段の違いで大量生産ができるようになったのです。縫い合わせの西洋手袋はもちろん海外から伝わったものですが、全自動化で作れる技術は日本で生まれたものなのです。
この編機は全国でも多く普及しているので、手袋メーカーに行けば見せてもらうことのできた機械です。
筆者は昭和 50年に紡績会社で社会人をスタートさせたのですが、当時は編機の需要が高く、新しい機械ができると展示会では黒山の人だかりと表現されるほど注目を集めたものでした。
あの光景が懐かしい・・・と話が逸れそうなので元に戻しますが、手袋の大きさで指、しかも親指・人差し指・中指・薬指・小指と、長さや太さがまちまちなのに手のひらの部分でつながって、さらに手首のところにはゴム糸が入っています。
これを編機が自動で作り上げてしまうとは、ニット生産担当であった筆者には驚きの編機だったのです。
ニットの編機を習うときに靴下編機で説明を受けることが多いのですが、ジャカード編機であれば、柄出しや組織切替・糸切替・ゴム糸挿入などの装置がついていて、これもかなりの優れモノでしたが、それでも仕上げにつま先部分と踵(かかと)部分には靴下の形にするために人の手を掛ける必要がありました。
“全自動手袋編機”は名前の通り最終形状の状態で作られる画期的な機械だったのです。
これらの技術から、今では無縫製のニットウェアが編み立てられる“ホールガーメント編機”ができています。縫製の工程が省ける機械で、ヨーロッパでは多くの有名ブランドがこのホールガーメントの商品をラインナップしています。
繊維業界の生地や製品輸出は減っていますが、繊維機械の海外需要は日本の技術力を高く評価しています。手袋からセーターへ開発が進んだということです。縫い目がないので肌への抵抗感もなく、また縫製による生地の伸度を押さえてしまう伸び止めの影響もないので、着心地の良い快適性に優れた商品が出来上がります。
せっかくの機会なので、普段紹介することのない 編機の紹介をしておきます。
ニット生地がよこ編とたて編で扱われることが多いので、よこ編みは丸編み機と横編み機の紹介はあるものの、手袋編機セーターマシーンのような平面生地や製品のパーツまで編む機械は成形編機とかフルファッション編機と呼び、丸編み・横編みと区分します。
もっと細かい分類をすることもありますが、編機の代表的な区分の仕方で覚えておいてください。
緯編(よこあみ)と横編(よこあみ)が同じ読み方になっているので耳で聞くとどちらか分かりませんが、大きな分類の時は緯編で機械の種類や生地分類の時は横編という使い方になります。いまは使い方もあやふやになっていますので、使い分けがあるということだけ認識しておいてください。
最後にひとつ問題ですが、全自動手袋編機で編まれる軍手は指先から編むのか袖口の方から編むのかどちらでしょうか?・・・答えは指先からです。
作業のために指先部分を切り落とすことがありますが、指先から編み始めているのでカットしても解(ほど)けにくいのはそのためです。基本的に天竺編みになりますので、軍手を手にした時にでも確認してみてください。
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