2018/06/30
No. 115 「震度4以上の地震が増えています…」
思いつきラボ
2016/08/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2016年8月30日時点の内容です。
ブラジル リオデジャネイロのオリンピックは終わってしまいましたが、今回はメダル数も過去最高の獲得ということで大きな盛り上がりとなりました。どんな競技でも一番となった者だけに与えられる金メダルはやはりすごいものだとあらためて思い知らされます。4年という時間がまたその重みを深めている気がします。銀メダルでも銅メダルでも素晴らしい結果なのですが、銀メダルや銅メダルで悔しさを露わにする選手などを見ると競技に取り組む本気度が伝わってきます。今回も存分に楽しませてもらいました。まだパラリンピックも残ってますので、どんなドラマが生まれるか期待しておきましょう。
さて、今回のテーマは、高視認性安全服の子供向けのものが規格化されるという紹介をしたいと思います。
2015年10月22日に制定された JIS T 8127 高視認性安全服は道路作業従事者や鉄道保全作業者を中心に考えられた規格になっていて、蛍光生地や再帰性反射材の必要面積から子供サイズの衣服を作るには難しく実質的に子供服は対象外となっていました。
JIS規格発行後、子供用や高齢者向けやジョギングウェアなどに高視認性の機能を持たせたいという要望が多くありました。というよりは、高視認性安全服のJISができる前から安全性についてはアパレルメーカーや関連団体でも取り組まれていたものが、JIS規格ができたことで基準に近いものにしようという動きになっていました。
その中で、交通事故の減少を常に考えている一般財団法人 日本交通安全教育普及協会から
子どもたちを交通事故から守り、ドライバーを加害者にしないことを目的に、「児童及び自転車通学者向け高視認性安全服」について交通事故防止の観点から基準を設け、その着用の普及を促進する認証ラベル制度を下記スケジュールで開始する予定です。
・JATRAS-001:2016 児童向け高視認性安全服(案)
・JATRAS-002:2016 自転車通学者向け高視認性安全服(案)
8月25日~ 規格案掲載・協力事業者募集
9月~11月 サンプル作成・モニタリング実施
12月上旬 規格確定・認証ラベル申し込み開始
という内容で、8月25日に発表されました。
繊維専門新聞でも取り上げられたこともあり、反響も大きくなっています。今回発表された 2つの規格について、特徴的な部分について説明しておきたいと思います。
まず JATRAS-001:2016 児童向け高視認性安全服 の内容ですが、規格対象者と目的については適用範囲に示されています 。
適用範囲
この規格は、通学時や課外活動をする園児や小学生を対象とするものである。通学時や遠足等の課外活動の子どもたちの視認率を高める高視認性安全服について規定し、普及させることで子供たちを交通事故から守る。
とあります。
幼稚園児や小学生が対象で通園通学時や課外活動の時に着用してほしいというものになっています。JIS T 8127 高視認性安全服 との特徴的な違いを挙げておきますと
などが主だったところです。
子供用なのでちゃんと子供の身長に合わせた基準が設けられていて、色数も 8色の蛍光生地が使用できるようになっています。課外活動時のクラス分けなどには色数が多い方が便利です。
反射材は巾 20mm以上のものが使えるようにして、デザイン的に融通性が持たせられるようになっています。
そして最も特徴的と言えるのが、メッシュ生地の使用が可能であるということです。いろいろ検討を重ねたのですが、視認率を高めることを優先して、暑さ対策がとれずに熱中症になったら意味がないということで、視認性よりも熱中症対策に重点を置いた規格となっています。ただでさえ子どもたちは暑がりなので、軽量で快適性のある製品が望まれるということになります。
もうひとつのJATRAS-002 自転車通学者向け高視認性安全服 の適用範囲の記述は
適用範囲
この規格は、中学生や高校生の自転車通学者を対象とするものである。
自転車通学者の視認率を高める高視認性安全服について規定し、普及させることで子どもたちを交通事故から守る。
とあります。
こちらは中学生と高校生が対象で、自転車通学時に着用したほうが視認率に優れていて、安全性も高まりますよという内容になっています。この規格は自転車に乗っている時ということになるので、規格のデザインの注意点が記載されています。
紹介しておきますと
デザイン全般
この規格は、自転車通学者を対象としているため次の条件に留意する。
・リュックサックを背負う
・前かごにカバンを入れる
・やや前かがみ姿勢
・側面が見える
・季節を問わず着用
・熱中症対策を考慮する
・着用時の暑熱対策
・雨天時も着用(やや強い雨 20mm/hr未満)
となっていて、デザイナーたちのセンスも発揮できるのでいろいろなデザインが望まれます。
自転車通学が楽しくなるような色合いやデザインを期待したいと思っております。筆者の勝手な思いですが、通学時もオシャレ感があって交通事故の減少に繋がれば、これほど喜ばしいことはないと思います。まあピンクやグリーンが使えることでデザイン範囲も広がるということなのです。
その他の特徴的な内容は JATRAS-001 の児童向けと同じになりますが、こちらもメッシュ生地が使えるようになっています。夏場の重ね着は安全性が増すといわれても暑さにはガマンできないものがありますので、メーカーの方たちは暑熱対策も充分考慮してモノづくりに取り組んでいただきたいと思います。
この規格には認証ラベル制度を設けていますので、規格基準を満たす商品には申請して適合判定となれば、認証ラベルを販売時に下げ札等に付けることが可能になります。日本交通安全普及協会は文部科学省・内閣府・総務省と3つの行政機関と繋がりのある団体ですので、認証ラベルの信頼性も高いものになります。
正式な制定は2016年 12月初旬ということですので、サンプル作成やモニタリングから協力したいという方は一度お問合せください。
お問合せ先
一般財団法人 日本交通安全教育普及協会 普及事業部
〒106-0031 東京都港区西麻布 3-24-20
TEL:03-3478-1831 FAX: 03-3478-1835
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お問い合わせ
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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