思いつきラボ

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No. 69 「花火の色はどうやって造り出されて いるのだろうか …」

2016/07/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2016年7月30日時点の内容です。

思いつきラボの原稿は毎月 15日と30日を目安に掲載しているのですが、今年の 7月30日は隅田川花火大会と重なったので花火に関する話題にしようと・・・いつもの思いつきですが取り上げたいと思います。

夏になると日本各地で花火大会が開催されて見ているだけでも涼しくなりますが、毎年新作が発表されていてコンテストも兼ねているので大会の名称がつけられているとのことです。毎年のように見せてもらっていても、その都度新たな感動を体感できるのも常に進化しているからなのかも知れません。日本の花火も世界に誇る色鮮やかな芸術品なのです。

美しき花火の色は…

さて、タイトルの花火の色はどうやって造り出されているのかというと、火薬に金属元素を混ぜることによってさまざまな色を表現しているのです。学生時代に理科の実験で金属の炎色反応(えんしょくはんのう)を経験された方もいるかと思いますが、金属元素は燃えるときにそれぞれ特有の色を示す性質を持っているのです。この炎色反応の組み合わせで見る人たちを楽しませているのです。

代表的な金属の炎色を紹介しますと

赤色ストロンチウム(Sr)
橙色カルシウム(Ca)
黄色ナトリウム(Na)
緑色バリウム(Ba)
青色銅(Cu)
白色アルミニウム(Al)

などが挙げられます。

現実には元素を単独で使うことはほとんどなく、ストロンチウムの場合は硝酸ストロンチウム もしくは 炭酸ストロンチウム などの金属化合物が使われています。これらの元素を含む化合物を組み合わせて、夏の夜を彩る大輪の花火を演出しているのです。

ちょっと話を逸(そ)れさせてもらいますが、筆者の担当している防災・安全関連で取り扱うことの多い蓄光原料にはストロンチウムが含まれているのですが、ストロンチウムを含む蓄光原料はグリーン発光かブルーで発光します。蓄光商品に関わっている人たちには“ストロンチウムが赤色・・・?” と一瞬違和感を覚えるかもしれませんが、ストロンチウムは燃えた時の炎色が赤色ということで、蓄光原料の発光色とは異なる現象なのです。
マニアックな話になりましたが、蓄光の仕事関係者に説明させてもらいました。
カルシウムやバリウムや銅なども蓄光原料の組成に使われることもあるので、炎色反応と蓄光現象には共通する部分があるのかもしれません。

大きな花火 小さな花火

話が退屈な方に行きそうなので花火の話に戻しますが、大きな花火は華やかで雄雄しくもありますが、小さな花火も心和む楽しいものであります。
筆頭はなんといっても線香花火で、火薬部分がむき出しになったものと和紙でくるんだタイプのものがあります。もともとむき出しのものの柄が竹ひごや藁(わら)になっていて、香炉に線香のように立てて楽しんだことから線香花火とよばれることになったということらしいです。
線香花火に火が点けられてから消えるまで、姿を変えて火花を散らすのがなんともいえず美しいので人気が高いのだと思います。江戸時代の文献には、まず火が点いて玉になったようすを“牡丹(ぼたん)”、玉から火花が飛び散るようすが“松葉(まつば)”、そして勢いが弱まってきたようすを“柳(やなぎ)”、消えかかるようすを“散り菊(ちりぎく)” と称して楽しんだとあります。

線香花火が燃え尽きるまでの様子

牡丹(ぼたん): 火が点いて玉になったようす
松葉(まつば): 玉から火花が飛び散るようす
柳(やなぎ): 勢いが弱まってきたようす
散り菊(ちりぎく): 消えかかるようす

江戸時代の粋(いき)へのこだわりが窺える話です。良き日本の伝統です・・・と言いたいのですが現在市販されている玩具花火(おもちゃはなび)はほとんどが中国製だそうです。
花火は中国で発明されたものという歴史からすれば 本場物ということにもなりますが・・・。わずかながら国産の線香花火もあるとのことなので、まだまだ職人の技は引き継がれているとのことです。経済的に裕福な方たちは、伝統継承のために国産の線香花火を楽しんでいただきたいと思います。

さてさて、今年の隅田川の花火も無事に開かれたようです。
「鍵や~」 「玉や~」という掛け声も誰に教わるわけでもないのに、花火大会では慣わしのように今でも聞こえてきます。いずれも江戸時代の花火屋の屋号で大川(隅田川)の両国橋の下流を“鍵屋”が、上流を“玉屋”が受け持ったことで贔屓(ひいき)の花火を応援しあうことで始まったのが今に伝わっているとのことです。鍵屋さんから暖簾(のれん)分けしてもらったのが玉屋さんで、その屋号も鍵屋さんに祀(まつ)ってあったお稲荷さんの二体の狐のうち片方が鍵をもう一方が玉を咥(くわ)えていることに由来するそうです。
これからもずっと楽しませてくれる隅田川の花火であってほしいものです。この夏、全国あちらこちらで花火大会が開かれます。夕涼みがてらに是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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