2020/04/30
No. 159 「妖怪“アマビヱ”の力にすがってみよう…」
思いつきラボ
2015/08/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2015年8月15日時点の内容です。
筆者が所属するラボが東京葛飾区の立石にあるのですが、ほんのすぐの所に注染(ちゅうせん)の工房があったのです。数年間通っているにもかかわらず気が付かなかったとは、いかに行動範囲が狭いかが分かります。しかも同じ4丁目で徒歩数分の距離なのに・・・。
注染は手拭い(てぬぐい)などの染め付けに使われる手法で、しかも体験講座があるという案内があったので、早速立石ラボのメンバーに声を掛け申し込みをしてきました。今回はその体験教室の報告になります。
筆者は繊維業が盛んな大阪 堺の出身で、業界に身を置いていることもあって、地元では物産展などで注染の紹介や手拭いの販売をよく見掛けることもあります。それでも注染の体験講座となると聞いたことがなかったので、これは貴重な経験になるのではと思ったのです。葛飾 立石は美味しい店の多い下町情緒の雰囲気に浸(ひた)れる街としてテレビや情報雑誌などによく取り上げられていますが、伝統のある染技法を伝える工房もありほんとに立石は素晴らしいところなのです・・・と続けていると我が街自慢みたいな原稿になりそうなのでテーマに戻します。
注染は、ペースト状の糊で柄模様を囲んで防染し重ね上げた生地の上から染料を注ぎ、模様部分を染め上げる型染め手法です。囲んだのりが堤防の役割をして、それぞれの色が混じり合わないようになっています。注いだ染料はバキューム機で瞬時に吸い込まれるので、重ねた布地の一番下まで染料が通ります。防染しているので色数も自由に増やせられますし、2色同時に差してぼかしを表現することも可能なのです。
ということで実際に体験してきたことを紹介していきます。
といった流れで注染体験をしてきました。
特徴的なのは、表から染めた後に生地を返して裏側からも染料を注ぐ作業を行うということです。その結果、表裏とも綺麗に染めることができるということで、最初からリバーシブル利用を前提とした形になっています。裏がのぞいても綺麗に染まっているのが“粋(いき)”ということに繋がるのだと思います。オシャレです。
さて参加者の作品の出来栄えはといいますと、同じ型で順番に作業をしたのですが、仕上がりはそれぞれ微妙に違いが出て同じものにはなりませんでした。オリジナル作品となりましたが、初めての挑戦にしては満足のいくものができたと思っています。
このコラムを読んで“私もやってみたい”と思った方は申し出てください。今回のショートコース体験は 定員6名との ことですので人数が揃いましたらご案内いたします。季節ごとに柄模様も変わるそうです。
今回は手拭染体験をさせてもらったので、手拭いの豆知識をひとつ紹介しておきますと、手拭いの端は切りっぱなしになっていますが、縫い目がないことで速く乾くことやホコリが溜まりにくい・雑菌がつきにくく衛生的だということで、けっして縫うのが面倒だからということではないのです。縫ってなければどんどんほつれていくのではと思うかもしれませんが、5㎜~8㎜くらいでほどけにくいものになります。水に濡らすことが多いので合理的なことなのです。
時代劇を見ていると、傷口の手当をするとか下駄や草履の鼻緒が切れたときに手拭いを切り裂いて使う場面がありますが、生地の端を縫っていたら簡単には切り裂けません。ドラマの演出ではなく江戸時代でも切りっぱなしにしていて、いざというときに素早く対応がとれるようになっていたようです。今は手拭いハンカチのようなものは三つ巻(みつまき)縫いや三つ折り縫いの処理をしたものが店頭にも並んでいますが、手拭いは端処理をしないのが本来スタンダードなのです。
ということで、今回は楽しい体験報告となりました。原稿内の作業手順とコメント・写真は参加者のみんなでまとめてもらいました。
今回の手拭染体験をさせてもらったのが「てぬクリ工房」さんで、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
冒頭に書いたように、東京 葛飾 立石にありまして、今回のショートコースだけではなく1日掛りの本格コースもあるようですので、興味を持たれた方は是非訪れてみてください。葛飾 柴又だけでなく葛飾 立石にも足を運んでみてください。
原稿担当:竹中 直(チョク)
自由研究協力者:立石ラボ 神﨑 江麻・村田 貴洋・関本 有莉・戸谷 佑衣・黒田 理恵・蔵前ラボ 中西 つばさ
写真撮影:立石ラボ 前川 猛
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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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