思いつきラボ

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No. 11 「ニットとカットソーの違いはなんですか…」

2014/02/28

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2014年2月28日時点の内容です。

ニット (knit) と カットソー (cut and sewn) の違い・・・?
繊維業界やファッション業界でない人達が聞いたら、そんなことが判らないのかと思われるかもしれませんが、ファッション業界やセールス・マーケティング戦略においては、その時代に合ったオシャレ感をイメージさせるフレーズやネーミングが使われることがよくあります。それは今でも同じことなのですが、ファッション用語がいつのまにか定番用語に代わってしまうことがたびたび起こります。ニットとカットソーもそんな感じで、まぎらわしい言葉になってしまいました。

筆者はニッセンケンにお世話になる前はニット生地の生産・開発を40年近く担当していたので、ニット業界には長いこと身を置いていたことになります。経験年数が長いので、自分で言うのもなんですが “ニット” に関してはちょっとウルサイです。なぜか声がでかくなる・・・(えっ それだけ?)。声がでかくなるだけでたいしたことはないのですが、筆者の解釈で説明しておきたいと思います。

カットソーの使われ方

とは言うものの、答えがひとつしかないというわけではありません。カットソーの使われ方は

区分の仕方使用区分
手編みセーターのようなざっくりしたニットシャツとT-シャツのような目の詰まった薄いニットシャツで区分⇒セーターがニット、 T-シャツがカットソー
ガーメントニット機でつくられるほぼ製品の形で編まれたものと生地から文字通り裁断(cut)縫製(sewn)でできたもので区分⇒セーターマシーンで作られたものがニット、生地から裁断・縫製して作られたものがカットソー
T-シャツで身頃が筒編みの生地で脇を縫製してないものと開反した生地で脇を縫い合わせたもので区分⇒脇縫いなしものが元々のT-シャツ、脇縫いありのT-シャツがカットソー
T-シャツとちょっとオシャレなデザインのニットシャツ⇒本来のものがT-シャツ、デザインシャツがカットソー

同義語として解釈している場合もある

というような分け方があります。説明しているのに、さらに分かり難くなってしまったかもしれません。

ニットとカットソー 曖昧な区分

そもそも 「ニット」 という単語には本来 “編む” という意味しかないのですが、「ニット生地」 のことも 「ニット」と言い、「ニットシャツ」 のことも「ニット」と呼ぶことがあるので、ここからややこしくなっています。
「カットソー」も本来であれば裁断して縫製するということなので、織物でもいいはずなのにニットに限定しているのもおかしな話なのです。それぞれの立場で使い方が異なる場合がありますが、一般的にはニットは厚地のセーター類のことで、カットソーは薄手のニットシャツ類と考えていいようです。一般的といったのはファッション雑誌での使われ方から判断しています。

曖昧な表現を使うのもファッション(流行もの)の特徴でもあるので、雰囲気で解釈するのもだいじなことかもしれません。ただ繊維業界で使われる意味合いとは異なることが多いので、混乱を招くこともあります。カットソーは生産過程ではやはり裁断と縫製ということになり、これがデザインニットシャツの意味になることはありえません。筆者の立場では、ニットはあくまで編地のことになります。セーターはガーメントニットと表現します。

文章の途中にでてきた“筒編みの生地で脇を縫製していないT-シャツ”の補足説明をしておきますと、ニットの生地は丸編みと呼ばれる編機で作ると筒状の生地になります。靴下をイメージしてもらえば分かりやすいと思いますが、生地が筒状になっています。編機には靴下編機のように口径が直径10cmくらいのものから一般的な生地を編み立てる直径200cmくらいのものまで、大きさがいろいろあります。

肌着や学校の体操着などはサイズによって、編機の口径寸によってサイズごとに編み立てをしていて、袖付けと首周り、裾だけ縫製します。何万枚も縫製する場合、脇を縫うことを省くことは生産効率を考えれば大きな違いがありますので、サイズごとに編機を揃えて生産することが以前は主流でした。今は広幅の編機の生産性が高くなったので、脇縫いなしのシャツの方が少なくなってしまいましたが、この脇縫いなしに置き換わって脇縫いありの裁断・縫製品をカットソーと呼んだというのも納得できるものと思われます。

広がる技術と生地区分

ついでに生地の区分についても触れておきますが、生地を分類するときに織物と編物の2種類に分けられることが多いのですが、本来は不織布を加えた3種類に区分することが正しいのです。不織布が衣料の中では芯地や刺繍のフエルトとしてくらいしか出番がないので忘れがちになりますが、生地の立場でいえば織にも編にも所属しない不織布の区分がないと全ての生地が振り分けられないのです。

さらに話が逸れますが、織物か編物か判断に困る生地もあるのです。ひとつはサイクロニットといって、編機はニットなのですが、この機械に経糸だけ立てて編立てていくという機械なのです。織物と同じように縦糸を整経(せいけい)して生地を編立てると、織物と編物のハーフの生地が出来上がります。縦糸挿入ニットと呼ばれる生地になります。見た目はニットでもほとんど伸びがない織物みたいな生地が作れます。

もうひとつはコーウィーニットと呼ばれる生地で、こちらもニットと入っているので編機なのですが経編機(たてあみき)の種類になります。コーウィーニットは Combined Weave Knitting のCo(コー)We(ウィー)から名付けられています。名前の通り織物と編物の中間ということになっています。生地そのものも織物かニットか判別しにくいものです。そんな生地もあるということだけでも知識として持ち合わせておきましょう。

ソチ冬季オリンピックも終わってしまいましたが、今回もいろいろなドラマがありました。男子フィギュアでは金メダルの感激を女子フィギュアではメダル以上の感動をいただきました。選手のみなさまありがとうございました。

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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