2013/10/28
No. 3 「緑色の誘導標識と白色の誘導標識は 何が違うの …」
思いつきラボ
2014/12/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2016年1月15日時点の内容です。
前号の思いつきラボ“友禅染”の反響もよく、同時に体験染めの予告のようになってしまったので、すでに希望者が現れました。これは何としても“蒸し”の工程を考えなければなりませんが、こちらも楽しみが増えました。年が明けて暖かくなってからの作業にしたいと思っております。
さて、今回のテーマは高視認性衣服の関係者にとっては嬉しいお知らせになるのですが、当初は全く見当もつかなかった試験ができるようになったというお話しです。
ISO 20471 高視認性衣服 の規格が制定されたのが2013年 3月15日ですが、それ以来記載されている試験についての対応を考えていたものの、解釈のできない試験があり困っていました。2014年1月にJIS原案作成委員会が発足して同時に試験技術部会も編成されたのですが、今までにJIS L繊維やJIS T医療安全用具にもなかった試験については、解釈も異なりまとめるのに時間を要しました。
ようやく2014年7月頃に解釈の統一が図れたものの、当然のごとく国内で取り扱っている業者はなく、別注での対応を考えるしかありませんでした。海外の検査機関にメーカーの紹介もお願いしたのですが、やはり自分たちで作ったものであるとか教えてもらえなかったりとかで進展しませんでした。解釈はできたものの、今度は部品調達や組立にも問題点が出てきたりで、また難航してしまいました。
その試験とは Rainfall(レインフォール)試験で、再帰性反射材の降雨耐性試験のことです。防災・安全の試験で再帰性反射材の降雨後に性能が低下していないかという試験はあったものの、雨が降っている時に再帰性反射材が機能しているかどうかという試験はありませんでした。高視認性衣服は主に作業服が対象になりますので、雨天時でも特に災害時の復旧作業などではかなりの降雨状態でも作業をしなければならないこともありますので、この試験が必要になっているのだと思います。
ということで、試験機は完成したものの、今度は手合せをお願いするところがありません。最終的には海外の検査機関と手合せすることになるのですが、稼働するにあたっては、すでに海外でISO 20471 の試験を出しているメーカーさんにお願いをして、試験データと提出した試料をお借りしてこちらのデータと比較しての手合せを行いました。複数のメーカーの協力をいただいたことで海外の試験データとの差も問題視するような差はありませんでしたので、試験対応をする判断となりました。
レインフォール試験が可能になったことで、ISO 20471 高視認性衣服の試験は全て対応がとれることになりました。いろいろとお問合せをいただきながら試験をお受けすることができずに時間だけが経ってしまいましたが、JIS化されても試験対応の体制はととのえることができました。
年明けから試験体制を整えておきますので関係者の皆様方よろしくお願いいたします。コラム欄ですが営業コーナーとなりました。
この ISO 20471 高視認性衣服 の規格ですが大きな特徴は
ⅰ)レッド オレンジ イエローの蛍光素材を使用すること
ⅱ)再帰性反射材を取り付けること
ⅲ)蛍光素材と再帰性反射素材の必要面積が決められていること
の3点になるのですが、いずれもが衣料関係の規格ではあまり見掛けない試験が取り入れられていることが、今回試験の対応の解釈が遅れた理由となります。
蛍光素材の試験は 45/0°方式で反射率0,04以下の黒の試料台を用いて測定することとなっており、JIS で規定されている一般色の積分球方式のものとは異なる試験になっています。蛍光測色についても試験技術部会で何度も手合せ試験を行いましたが、なかなか数値が合わずに手こずりました。現状試験技術部会での手合せは完了しております。
再帰性反射素材の測定は、まず15m以上の暗室を有していないと試験ができないことが特徴となっていて、さらに先程の記述の通りレインフォール試験を含む耐久試験後の再帰性反射材の性能試験が定められています。-20℃環境での低温曲げ試験とか +50℃から -20℃に環境を変える温度変化による耐性試験などもあり、なかなか繊維関連の試験では見られないものとなっています。
防災・安全評価グループはもともと標識などに使われる反射材や蓄光材の試験を行っているので、試験対応がとれるようになりました。
さらに製品に使用している蛍光素材と再帰性反射材の面積やデザインにも規定があり、面積測定の方法も解釈がまちまちで統一することが困難な内容になっています。統一できたとしても測定者の個人差はかなり生じるものなので、ここも試験は進めながらもデザインによっては検討しながら取り組まなければならないケースも出てくると想定しています。当センターには縫製担当にパタンナーがいてアパレルCAD もありますので精度の高い計算もできますが、検査機関ごとにここも解釈がことなるところとなります。
ともあれ、2014年ぎりぎりとなりましたが、ISO 20471 高視認性衣服 の試験が全て対応がとれることになったことをこのコラムに掲載できたことに安堵しております。関連の原稿に書いていた内容よりも準備が遅れていることが気になってました。
今回が今年最後の原稿となりますが、この1年思いつきラボのコラムを読んでいただき感謝しております。ちょっとした疑問や業界の不思議なことなどを取り上げていきたいと思っておりますので、どうぞ来年度もよろしくお願い致します。皆様 よいお年を!!
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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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