おさえておきたい基礎知識

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《化学物質のいろは》第18弾 MCCP (中鎖塩素化パラフィン)

2025/04/07

新しい年度の始まりとともに春風が吹き抜けて心も軽やかな気分になりますね。新社会人やランドセルを背負った新一年生の姿に、私たちも新たなことへの挑戦へと背中を押されるのではないでしょうか?
《化学物質のいろは》では、引き続き、アパレルに関連した化学物質に関する有益な情報をお伝えするとともに、有害物質の規制動向などもお届けいたします。

図1 繊維産業チェーン概念図

第18弾では、欧州のPOPs条約で規制が進められている化学物質である中鎖塩素化パラフィン(Medium Chain Chlorinated Paraffins、以下「MCCP」)をご紹介いたします。MCCPは炭素、塩素および水素からなる直鎖上の化合物で、炭素数14~17の直鎖であり、塩素化率45重量%以上の塩素化パラフィン類となります。塩素化パラフィン類には、MCCPのほかに、代表的な物質として短鎖塩素化パラフィン SCCP (炭素数10~13の直鎖であり、塩素化率48重量%以上)が含まれます。SCCPの規制に伴い、当該SCCPの代替物質としてMCCPが使用されてきましたが、人体や環境に影響を与えることが懸念されています。

MCCPの使用例

プラスチック、ゴム、インク、塗料、接着剤、および表面コーティングの難燃剤、または可塑剤として使用されています。
※ いろは第5弾で取り上げました臭素系難燃剤とは異なる塩素系難燃剤です。

MCCP 試験方法 / 検出事例

サンプルを有機溶剤で抽出後、分析装置 (GC-MS/MS など) を用いて定量します。
検出事例:ゴム製品

エコテックス®規格での規制※1

▶スタンダード100
 Annex 4、6    : 10 mg/kg※2 (全ての製品クラス)
レザースタンダード: 10 mg/kg※2 (全ての製品クラス)
エコパスポート  : 50 mg/kg※2 (非希釈薬剤は10 mg/kg※2)
※ 1 原則使用禁止 (但し、エコテックス認可剤は使用可能)
※ 2 難燃剤合計値としての規制あり。詳細はエコテックス®のウェブサイトをご覧ください。

MCCP における各国の主な規制

▶欧州:
 REACH 規則・・・高懸念物質(SVHC)
 POPs 条約・・・一部の用途を除外にした上で附属書A(廃絶)へ追加することを2025 年4~5 月に
         開催予定の第12 回締約国会議(COP12)に勧告することが決定
▶日本:COP で決定した後、化審法等によって規制

ニッセンケン化学試験事業部からの一言アドバイス

難燃剤はMCCP のような塩素系難燃剤だけではなく、他にも臭素系難燃剤やりん系難燃剤、無機物難燃剤などがあります。エコテックス®認証ではこうした様々なタイプの難燃物質を規制していますが、今年度からさらに難燃剤の規制対象物質が追加されました。これにより、様々な規格や法律をカバーする事が期待されます。
これからもエコテックス®の規制物質にご注目ください!

【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp

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