2024/01/30
《化学物質のいろは》第4弾 1,4-ジオキサンについて
おさえておきたい基礎知識
2023/05/09
最近、TikTokやInstagramなどのSNSに上がっているコスメ紹介・メイク動画などでは、アジアコスメが多く紹介されています。可愛い上にプチプラなアジアコスメは魅力的ですよね。
SNSは特に10代、20代といった、いわゆるZ世代に与える影響が大きいとされ、影響を受けた消費者の増加とともに、アジアコスメはオンラインショップだけでなく、オフラインでも販売されるようになりました。実際に近くのドラッグストアに行ってみると、K-popなどの影響で人気の韓国コスメを筆頭に、台湾コスメ、中国コスメなど、以前よりも多彩でカラフルな化粧品を見ることができるかと思います。
このようなトレンドがある中、アジアコスメを輸入しようとする企業も増えており、私たちニッセンケン香粧品グループにも多くのお問い合わせが寄せられています。とりわけ多いのが「韓国、台湾、中国から化粧品を輸入したいのですが、安全性を確認するためにはどのような試験が必要ですか?」というご質問です。
当コラムでは、この多くの皆さまの疑問に対し、品質管理のプロ視点でズバッ!とお答えします。ご参考になれば幸いです。
輸入化粧品につきまして、「ホルムアルデヒド、重金属(ヒ素、鉛)」については最低限試験を実施することと、行政から口頭で通達されています。しかしながら、それだけでは不十分な場合もあります。例えば、アルコールを使用している化粧品だとメタノール、水が入っている化粧品だと生菌数(細菌、真菌)、中国・韓国・東南アジアで製造された化粧品であれば重金属(カドミウム、水銀)も測定しておくと安全です。
何故この試験項目をお勧めしているのかというと、同じアジア(東北・東南アジア)でも、国によって化粧品の安全性基準が異なるからです。化粧品の成分は多岐にわたるため、まずは簡単に、上記の代表的な試験項目に絞って各国の基準を見てみましょう。
日本 | 韓国 | 台湾 | 中国 | |
ホルムアルデヒド | 配合禁止 | 2000ppm以下 | 75ppm以下 | ラベルに「ホルムアルデヒドを含む」と表示すること なお、スプレー製品では使用が禁止されている |
メタノール | 配合禁止 | 2000ppm以下 | 1000ppm以下 | 2000ppm以下 |
ヒ素 | 10ppm以下 (但し、亜ヒ酸として) | 10ppm以下 | 3ppm以下 | 2ppm以下 |
鉛 | 原料基準(多くは20ppm以下)はあるが、化粧品基準にはない | 粘度鉱物使用の粉末製品 ・・・50ppm以下 その他 ・・・20ppm以下 | 10ppm以下 | 10ppm以下 |
カドミウム | 配合禁止 | 5ppm以下 | 5ppm以下 | 5ppm以下 |
水銀 | 配合禁止 | 1ppm以下 | 1ppm以下 | 1ppm以下 |
生菌数(細菌・真菌) | 3歳未満の乳幼児用と目のまわり、口などの粘膜用 ・・・100CFU/g以下 その他 ・・・1000CFU/g以下 | 乳幼児製品類と目のまわり ・・・500CFU/g以下 その他 ・・・1000CFU/g以下 | 乳幼児用と目のまわり ・・・100CFU/g以下 その他 ・・・1000 CFU/g以下 | 乳幼児用と目のまわり、口唇用 ・・・500CFU/g以下 その他 ・・・1000 CFU/g以下 |
薬事日報社「国際化粧品規制 2021」より
表1のとおり、国によって安全性基準値に大きな違いがあることが分かります。日本での化粧品成分規制は厚生労働省の「化粧品基準」によって定められており、化粧品原料を規制することで安全性を担保しています。ネガティブリスト(配合禁止成分)とポジティブリスト(制限付き配合可能性分)を設定することで、企業の自由な原料配合を認めている一方、企業責任(製造販売業者)が問われるようになっています(図1参照)。
一部の製造販売業者においては、「今までは試験を行わなくても問題なく輸入コスメを販売できたので、試験をする必要はない」という方もいますが、厚生労働省の市場調査により化粧品基準違反が発覚した場合、製造販売業者が責任をもって全量回収する事態も起こり得ますので、充分にご注意ください。
※参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構・回収情報検索
https://www.info.pmda.go.jp/rsearch/html/menu_recall_base.html
(厚生労働省の市場調査とは直接関係ない、自主回収のデータベースです。)
図1 化粧品基準の考え
なお、禁止物質については、化粧品基準で「配合してはならない」と規定されているのみです。配合していないものの不純物として混合した場合については特に規定がありません。そのため、混合した場合はどこまで許されるのかという定量下限が重要になってきます。
このようなケースについて、ニッセンケンでは以下のようにご提案していますので参考にしてください。
・ホルムアルデヒド 20ppm(㎎/㎏) ・メタノール 20ppm(㎎/㎏) ・鉛 10ppm(㎎/㎏) ・ヒ素 10ppm(㎎/㎏) ・生菌数 10CFU/g又はmL* ・水銀 1ppm(mg/kg) ・カドミウム 2ppm(mg/kg) *CFU/g=個数
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ニッセンケンでは、日本で販売する輸入化粧品の安全性に関する試験や法令に関するアドバイスを行っています。また、医薬部外品申請試験、安定性試験や、公定書原料試験(医薬部外品原料規格、食品添加物公定書、日本薬局方など)に加え、ご要望に沿った創作試験にも対応しております。詳細はこちらをご確認ください。皆さまからのご相談、お問い合わせをお待ちしております。
(執筆:ライフ アンド ヘルス事業本部 香粧品グループ 庾 貞熙 (YOO JUNGHEE))
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