2020/12/15
第9回 : 品質事故例の紹介 ~生産時のばらつき その1~
アパレル散歩道
2021/08/15
2021.8.15
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今回は、「繊維・アパレル製品の用語」です。特に、生産工程である縫製関係の用語を取り上げます。
縫製は、世界のみならず日本においても、長い歴史を持っています。したがって、そこで使用される業界用語も古い言葉や新しい言葉など、色々混在しています。今回は、比較的アパレルビジネスの現場でよく使われる言葉を紹介します。また、実際の縫製現場を見学されると、より理解度が深まります。
用語 | 意味 |
---|---|
本縫い | ![]() |
環縫い | 生地の表面から縫い糸を差し込み、連鎖的に絡み合いを構成する縫い方式。本縫いと異なり、縫い目方向に伸びやすく、ニットの縫製に適している。 |
単環縫い | ![]() |
二重環縫い | ![]() |
偏平縫い | ![]() |
縁かがり縫い | ![]() |
溶着・接着 | ミシン糸を使用せず、接着剤を使用し、熱プレスや超音波接着機などを用いて生地を接合する方式のこと。重ね合わせ方式や突き合わせ方式などがある。 |
千鳥縫い | ![]() |
ボタン穴かがり縫い | ![]() |
閂(かんぬき)縫い 閂(かん)止め縫い | ![]() |
すくい縫い | 生地の表面に縫い目が現わさないように、その生地の厚みの間をすくうように縫うこと。 |
安全縫い | ![]() |
返し縫い | ミシンの返し縫い装置を使って後進縫いをおこない、糸のほつれを防ぐ縫い方。 |
ギャザリング | ![]() |
シャーリング | ![]() |
ピンタック | ピンのように細く縫ったタックのことで、布地の折り山のきわを縫うこと。 |
ハ刺し縫い | 襟裏などに芯地を縫い付ける縫い方。 |
キルティング | 布の間にわたなどを挟んで、そのわたが動かないように縫うこと。 |
裁ち目かがり | 布地のほつれを防ぐために、ジグザク縫いやオーバーロックなどで裁ち目をかがること。 |
三つ巻縫い | ![]() 写真は三つ巻押さえの一例。 |
地縫い | 二枚の生地を中表に合わせ、縫い合わせること。 |
飾りミシン | 表に出る縫い目線が、飾りとして用いられる縫い方。 |
捨てミシン | 縫い代の始末の一種で、縫い代を折らずに、裁ち目のきわを縫うこと。 |
袋縫い | 縫い代の始末の一種で、二枚の布地を外表に合わせて縫い止めしたのち、裏返して裁ち目を中に包むようにして縫い合わせること。 |
伏縫い | 縫い代の押さえとほつれ止めを兼ねた縫い方。 |
落としミシン | 縫い目が目立たないような縫い方で、縫い代を割って、その割目に縫い目が落ちるようにして縫うこと。 |
目とび(欠点) | ![]() (写真参照) 原因には、針の磨耗、曲がり、内釜の針傷、外釜の傷、針板部分の針傷、上糸を釜の剣先がすくい取るタイミングの狂い、針と剣先の間隔不良などがある。 |
糸切れ(欠点) | 糸切れには、縫い糸切れと生地糸切れ(地糸切れ)がある。縫い糸切れは、縫い糸の選定ミスや縫い糸張力の設定不良などがある。地糸切れは、針が生地糸を傷つけることによって発生する。 10回「アパレル散歩道」の、「2.2縫製/縫製工程での縫製ミスと検査見逃し、事例1.地糸切れ」を参照のこと。 |
縫いずれ(欠点) | 重ね合わせた布地を縫い合わせた時、生地がずれること。 |
縫い縮み(欠点) | 縫うことによって布地が縮むこと。送り方向に縮むことをパッカリングという。 |
シームパッカリング (欠点) | ![]() |
地糸切れ(欠点) | ![]() |
縫い目滑脱(欠点) | 縫い目に力がかかった時、縫い目部分の生地糸がずれて、縫い代から縫い糸が外れること。俗に「縫い目スリップ」とも呼ばれる。 |
グレーディング | 元型であるマスターパターンをサイズ展開すること。通常はCADシステムをおこなわれる。 |
マーキング | 生地を裁断するために、延反した生地に型紙を効率よく配列すること。マーキングによって生地の用尺が決定し、製造直接原価も確定する。 |
テーラビリティ | 製服性ともいう。生地を立体的な衣料に製作するにあたり、裁断、縫製、セット性、仕立て映え、形態安定性などが要件となる。 |
総裏 | 総裏仕立てともいう。衣料の全面にわたって裏地を付けること。 |
背抜き | 上着などにおいて、総裏ではなく、肩と前身ごろにのみ裏地を付けて、背の部分の裏地を省いた仕立てのこと。 |
半裏 | 半裏仕立てともいう。上着などで、通常前身ごろには全丈に裏地をつけるが、後ろ身頃は背丈の上半分だけに裏地をつけること。 |
芯地 | 衣料品の寸法安定性、立体成型性などを補強するために、内側に用いる生地のこと。ふらし芯地と接着芯地がある。 |
接着芯地 | 生地の片面に接着剤をあらかじめ塗布し、生地とはりつけるもの。接着剤にはホットメルト系が用いられ、ポリアミド系、ポリウレタン系、EVA系などがある。 |
ファスナー |
![]() コイルファスナー ![]() 樹脂ファスナー ![]() メタルファスナー |
面ファスナー | 鈎(かぎ)針状のフックによって引掛かり、ファスナー機能をもつ。タイプによって、強度の異なるものがある。ベルクロ、マジックテープは商標である。 |
コイルファスナー | かみ合う部分のエレメントがコイル状になっているファスナーをいう。メタルファスナーや樹脂ファスナーに比べ、柔軟性がある。 |
コンシールファスナー | コイルファスナーで、エレメント、縫い目が表地にでないタイプのファスナーのこと。ワンピースなどファスナーを目立たせたくない用途に適している。 |
ミシン糸 | かなり以前は綿糸や絹糸が使用されていたが、現在は、綿糸とともにポリエステル糸が多く使用される。素材や用途に合わせて、フィラメント糸、スパン糸、ウーリー糸、モノフィラメント糸などがある。太さは通常番手で示される。 |
ボールポイント針 |
![]() ボールポイント針 ![]() レギュラーポイント針 (普通針) |
検反 | 縫製準備工程の一つ。生地メーカーから入荷した原反について、原反傷などの欠点部分を避けるために実施する。検反機を使用したり、めくり検反を実施する。 |
スポンジング・放反 | 巻反に残留していたひずみを除去し、寸法安定化や型くずれ防止のために実施する。放反は巻き反を開き、一定時間放置しひずみをとること。スポンジングは、スポンジング機を用いて、熱や水分(スチームを使用して、生地を安定化させるもので、毛素材でよく使用される。 |
延反 | ![]() (写真:ハシマ株式会社HPより) |
裁断 | 延反して積み重ねた生地をパーツ毎に切り分けること。裁断機には、たて刃裁断機、丸刃裁断機、バンドナイフ裁断機がある。最近ではCAMシステムの一貫で自動裁断も実施されている。 |
芯張り | 裁断パーツに必要に応じて、芯地を貼ること。接着芯地などがある。 |
ノッチ | 縫製時に正しくパーツが縫い合わせられるように、合印として縫い代に切り込みをいれること。 |
縫製仕様書 | 衣料品の設計図のこと。デザイン型、使用生地、縫製仕様(縫い目、縫い糸、縫い代の始末など)、副資材(ボタン、ファスナー、ホック、芯地、テープ、ブランドネームなど全ての付属品)、表示内容、包装資材など、全ての使用材料の仕様と使用量が明記された書類で、 アパレル生産には最も重要な書類の一つである。 |
CAD /CAM | Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)/ Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援生産)のこと。アパレル企画、生産のグローバル化、パーソナル化が進み、ITが急速に進展している現在、CAD/CAMはアパレル製品の商品企画、生産工程では、型紙作成、生地の裁断などに不可欠なコンピュータ化自動機となっている。付属品への応用、QR、SCMのツールでもある。 |
送り機構 | 縫製では2枚の生地を縫い合わせるのが基本である。上下の生地のずれなどによって、シームパッカリングなどを防ぐため、ミシンに取り付けられた生地送り機構のこと。差動下送り、差動上下送り、針送り、先引きローラーなどがある。
![]() 差動下送り ![]() 差動上下送り ![]() 針送り ![]() 上下差動送り ![]() 先引きローラ |
アパレルの現場では、品質改善が日常的な課題となっています。次回は、この改善手法について、考え方と手法を紹介します。
コラム : アパレル散歩道25
~繊維製品の品質苦情はなぜなくならないのか~
テーマ : 品質改善の話
発行元
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 事業推進室 マーケティンググループ
E-mail: pr-contact@nissenken.or.jp URL:https://nissenken.or.jp
※当コラムの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
Profile : 清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)
43年間株式会社デサントに勤務し、各種スポーツウェアの企画開発、機能性評価、品質基準作成、品質管理などを担当。退職後は、技術士(繊維)事務所を開業。趣味は27年間続けているマラソンで、これまで296回の大会に参加。
社外経歴
(一財)日本繊維製品消費科学会 元副会長
日本繊維技術士センター理事 技術士(繊維)
文部科学省大学間連携共同教育事業評価委員
日本衣料管理協会理事 TES会西日本支部代表幹事
アパレル散歩道
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