アパレル散歩道

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第23回 : 繊維・アパレル製品の用語 その2 (染色関連)

2021/08/01

アパレル散歩道 繊維製品の品質事故はなぜなくならないのか

2021.8.1

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 今回も、前回に引き続き、繊維・アパレル製品の用語について解説します。今回は、染色関係です。 繊維には天然繊維から合成繊維まで多種類があり、また、それらを染色する場合、糸で染めたり生地(織物・ニット)めたり、場合により製品で染めるなど多くのケースがあります。このため、染色・仕上げ工程では、それぞれの糸や生機(きばた)などに適した染色方法が用いられています。染色関係の打ち合わせで、比較的よく登場する用語をピックアップしました。

  1. 染色加工(浸染)
    用語意味
    染色洗浄しても脱色しないレベルで原綿や糸、布などを着色させること
    染料色を持つ物質(色素)のうち、繊維に対して染着力を有する物質のこと
    ビーカー染めビーカー染め小型の染色機の一例試作段階で、アパレルメーカーのデザイナーが、生地メーカーに試染めを依頼すること。ビーカー状のカップを用いて小型の染色機を用いて試染めされる(写真参照)
    顔料ピグメントとも呼ばれる。染料と異なり、それ自身では繊維に結合しない
    先染め糸やわたの段階で染色すること
    糸染め糸やかせ状で染色すること。チェック柄やボーダー柄に有効である
    後染 無地染 浸染染液に浸しておこなう染色方法
    捺染プリントとも呼ばれ、版型を用いて染料を含んだ色糊を印捺するスクリーン捺染などの方法と、版型を用いないインクジェット方式や昇華捺染方式などがある
    精錬不純物を除去して洗浄すること
    漂白繊維に含まれる色素を酸化または還元によって分解し、繊維を白くすること
    本練り生糸から水溶性のセリシンを除去した絹
    毛焼き綿、レーヨンなどの短繊維の糸及び織物・ニットの表面の毛羽を燃焼により除去し、風合いや光沢の改善や後加工工程での処理剤の浸透性を高める。火炎上を高速で糸や生地が通過し、表面の毛羽が燃焼して処理される。天然繊維に適している。
    減量加工ポリエステル繊維表面を5~20%程度溶解し、繊維を細くして、生地風合いをソフトにする減量加工ポリエステル織物で風合いを柔らかくする加工のこと。アルカリ剤による加水分解作用を利用しているので、アルカリ減量加工ともいう。ポリエステル繊維表面を5~20%程度溶解し、繊維を細くして、生地風合いをソフトにする。過度な減量加工は、生地スリップが生じやすく、滑脱抵抗力の低下は注意を要する。(図参照)
    シルケット加工
    マーセライズ加工
    綿素材を高濃度の水酸化ナトリウム水溶液中(緊張下)で処理する。染色性の向上、寸法安定性、光沢の発現、引張強度を改善させる。発明したジョン・マーサーに因み、これをマーセライズ加工とも呼ぶ。絹のような光沢が発現するので、シルケット加工とも呼ばれる。
    異色染め混紡・混繊織物などを2色以上に染色すること
    移染染着した染料が繊維上の他の部分に移行すること
    一浴染め1種類の染め加工で染色を行なうこと
    二浴染め2種類の染浴で完結する染色。例えば、綿とポリエステル混用品など
    色止め水などの染色堅ろう度を高める加工で、綿素材ではフィックス剤などが使用される
    エンディング染めむらの一種で、生地のたて方向に色が徐々に変わっている現象。ビーム染色機やジッガ染色機などで発生しやすい
    中希(ちゅうき)染めむらの一種で、生地の幅方向(耳部と中央部)に色の差がある現象
    還元洗浄還元剤を併用してポリエステル生地などに付着した汚染や染料を除去するためのソーピングのこと。RCとも呼ばれる
    キャリア染色キャリアを助剤として用いる染色方法で、主にポリエステルに適用する。ポリエステルの染色は高圧高温(約130℃)でおこなわれるが、毛/ポリエステル混用素材では、その高温高圧条件では毛が損傷するため、キャリア助剤を用いてより低温で染色をおこなう
    サーモゾル法連続染色方法のひとつ。染液を含んだ生地を乾燥し、熱処理して染着させる染色方法。主に綿素材で行われる。
    パッドスチーム法連続染色方法のひとつ。洗液を含んだ生地をスチームの熱で染料を固定する染色方法。主に綿素材で行われる。
    プレセットナイロンやポリエステルの合成繊維の織編物を染色する前に行うヒートセット(熱固定)のこと。 合成繊維の織編物は、原糸、加工糸、織編などの段階で各種歪みを受けているため、この歪みを取り除き、染色時の縮みやしわ発生を防ぐために実施する
    染着率使用染料に対する染着染料の重量%のこと
    染浴(せんよく)染色槽内に所要量の染料を入れた染液のこと
    ソーピング染色などの最後の工程で、界面活性剤などで洗浄して、未反応染料を除去すること
    チーズ染めチーズ染色機チーズ状の巻きの状態でおこなう糸染めのこと。写真はチーズ染色機である
    浴比被処理物と処理液との重量比。近年、環境負荷低減などもあり、低浴比で染色を行なわれることが多い
    液流染色機液流染色機現在、最も主流の染色機である。染料液の噴射とともに生地が回って染められるため、生地の傷みも少ない。織物・ニットにも適し、ポリエステルの高圧高温染色にも適している。
    色違いも発生しにくく、コストパフォーマンスの良さが利点であるが、ロープしわが生じやすいことが弱点である
    カラーマッチング色見本と同じ濃度、色相の染色物を得ること。近年では測色技術とコンピュータの発達によって コンピュータカラーマッチング(CCM)が一般化している

     

    1. 繊維と染料は、染着の原理から、一定の組み合わせがある。
    2. 染色機は、液流染色機が主流になっている。


  2. 捺染
    用語意味
    印捺型を用いて捺染のりをつけること
    顔料捺染顔料と樹脂を用いた捺染
    スクリーン捺染スクリーン型を用いた捺染。フラットスクリーン型やロータリースクリーン型などがある
    着色抜染酸化剤や還元剤による抜染と同時に、その部分を異色に染色すること。略して「着抜」ともいう
    転写捺染昇華しやすい分散染料を用いて所定の柄を印刷した離形紙をポリエステル生地に加熱圧着しておこなう捺染のこと。昇華捺染とも呼ばれる。
    捺染のり染料などが配合された捺染に使用される糊(のり)
    フラットスクリーン平面のスクリーン型を用いた捺染である。スキージと呼ばれる「へら」を用いて、捺染糊をスクリーン型を通して生地面へ押し出して印捺する。多色刷りの場合は、このスクリーン型を色数だけ準備する
    ロータリースクリーンロータリー捺染機の円筒円筒形のスクリーン型を用いた捺染である。写真はロータリー捺染機の円筒である。多くの小穴のあいた円筒にスクリーンを巻き付け、円筒の中から色糊をしみ出させ、染めつけを行う。連続染色式で高速のため生産性が高い。円筒が回転し印捺するため、ストライプ柄や連続柄に適する。多色刷りの場合は、円筒が複数になる
    ローラー捺染柄を彫刻した銅製ローラーが回転し印捺される方式の捺染。オリジナル柄ではローラーが高価であるため、小ロット加工には適さない
    蒸熱印捺後に蒸気を用いて繊維内部に染料を拡散固着させる工程
    インクジェット捺染インクジェット捺染機の一例PCプリンターのように、画像出力として微粒子の特殊インク(染料または顔料)によって、柄が生地に印捺される。印捺型を使用しないため、写真柄やグラディエーション柄などが可能となる。小量生産、短納期、精密柄、多色化、画像データの長期保管などの長所がある。写真は同捺染機の一例である
    昇華捺染昇華性の高い分散染料を使用した捺染方法。離形紙に分散染料で柄を印刷し、これを高温高圧で生地に熱転写させる捺染方法である。ソーピングなどが不要のため、環境にやさしいともいわれる
    ハンドスクリーン手作業で色糊をスクリーンに刷り込んでおこなう捺染方式
    オートスクリーン自動で色糊をスクリーンに刷り込んでおこなう捺染方式

     

    1. 捺染では、フラットスクリーン、ロータリースクリーンが多用されている。
    2. インクジェット方式や昇華方式は、独自の柄やデザイン性、印捺型不要、小ロット、短納期に対応できる長所がある。
    3. 昇華方式は、環境負荷低減に適しているが、ポリエステル限定である。

  3.  

  4. 仕上げ加工
    用語意味
    ウォッシュ&ウエア加工洗濯後にアイロン掛けをおこなわなくても、そのまま着用できる性能をセルロース繊維品に与える加工
    パーマネントプレス加工綿やその混紡品で、ウォッシュ&ウエアのための加工。しわになりにくく、プレス仕上げの効果が長期間持続することから命名された。PP加工とも呼ばれる
    オーガンジー加工綿、綿混の生地を硫酸で処理し、綿繊維を溶解し、透明感のある硬い風合いを付与する加工のこと。婦人用ドレス、ウェディングドレス、ブラウス、シャツなどに使用される
    カレンダー加工カレンダーローラーで生地を加圧し、平滑にして光沢を付与する加工のこと。素材、ローラー材質、温度、圧力によって、光沢外観も異なる
    オパール加工C/E混用など、耐薬品性の異なる繊維の混用生地に薬剤をプリントし、一方の繊維を溶解除去して、透明感のある柄を得る加工である。前述のC/E混用生地では、強酸をプリントして、綿繊維部分を脱落させる。
    キュアリング繊維加工工程における加熱処理のこと
    コーティング生地の表面や裏面に、防水や透湿防水など機能性のある樹脂を塗布する加工。ゴム系、ポリウレタン系、アクリル系などの合成樹脂が多い
    柔軟加工糸や織編物の柔軟化する加工。柔軟剤によって繊維間および繊維表面の摩擦係数を低下させる方法が一般的である
    樹脂加工合成樹脂を用いて行うすべての特殊加工の総称
    セット生地が熱水や高温によって収縮したり変形しないように安定化させること。熱によるセットはヒートセットと呼ばれ熱可塑性の合成繊維に用いられる安定化加工である。綿やレーヨンではヒートセットだけではセットの耐久性が得られないため、樹脂が併用される。羊毛はたんぱく質繊維であり、シスチン結合の交換反応でセットされる
    帯電防止加工
    制電加工
    繊維に発生する静電気を減衰させる加工。合繊は吸湿性が低いため摩擦によって静電気が発生しやすく、衣服のまつわりつきやほこりの吸着が発生しやすい。このため、生地に耐久性のある吸湿剤が加工で付与されている
    チョークマーク加工織物の欠点の一つ。加工中の織物が硬いものなどと擦れて、チョークで書いたような白い筋が発生する現象。加工樹脂や仕上げ剤の選択不良や樹脂の浸透性不良が原因といわれる
    はっ水加工生地や糸に水を弾く性質の樹脂を加工すること。代表的なはっ水剤には、シリコン系、フッ素系 非フッ素系などがある
    はつ油加工
    防汚加工
    油を弾いたり、油性の汚れが付きにくい性質を生地に付与する加工のこと。加工剤としては一般に撥水性のパーフルオロアルキル基を側鎖に持つフッ素系はっ水剤が使用される。フッ素系はっ水剤は、はつ油性も持っているため、防汚加工にも使用される
    ヒートセット熱可塑性の合成繊維を熱処理して分子配列を固定し、形態を安定化させること
    ピリング防止加工
    抗ピル加工
    摩擦などによって発生する毛玉(ピル)の発生を防止する加工。樹脂加工で繊維の固定、ガス焼きなどによる毛羽の除去、化学処理による毛羽の脆化などが実施されている
    プリーツ加工布に耐久性のある折目やひだをつける加工。合成繊維では繊維の熱可塑性を利用して熱によって折目などを固定している。ウール素材では、薬剤によるシロセット加工で実施されている
    プレキュア加工
    ポストキュア加工
    プレキュアとは織物を樹脂加工後に乾燥、キュアリングして繊維分子内の架橋構造を形成した生地でワイシャツなどを縫製後スチームプレスなどでセットする加工方法。ポストキュアとは、樹脂加工した生地で縫製し、製品をプレス型で形を整えてキュアリングして繊維分子内に架橋構造を形成させて形態安定させる方式である。工程のどの段階でキュアを入れるかがポイントとなる。いずれも綿織物で使用されている。
    フロック加工布やプラスチックの表面に細かく短い繊維(フロック)を毛羽状に植え付ける加工。接着樹脂が併用される。
    ベーキング染料や樹脂加工剤を繊維に固定するための高温乾熱処理のこと
    防縮加工(ウール)羊毛は、スケールと呼ばれる鱗片状の外観を有するが、染色加工や着用中・洗濯時に、水分などを含んだ状態で揉まれたり摩擦されたりすると、スケール同士が絡み合い、縮絨やフェルト化が生じる。これを防止するために、羊毛原綿やスライバー(糸の前段階の繊維のロープ状の束)や織物の段階で、薬剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)によるスケールの改質、樹脂加工による表面凹凸の平滑化などを行ない、羊毛のウォッシャブル化を実現する
    防水加工防水は、はっ水、耐水、漏水の総称である。耐水性を実現するには、生地の表面や裏面にポリウレタンフィルム膜を加工したり、アクリル系樹脂を塗布することが多い。レインウエアなどの防水では、縫い目からの水の浸入を防ぐため、縫い目部分にシームシーリング加工と呼ばれるフィルムを接着する場合がある
    防虫加工羊毛などのたん白質繊維に対して防虫性を付与する加工。害虫にはヒメマルカツオブシムシ、イガなどがあり、加工剤には、ピレスロイド系樹脂などが用いられる
    紫外線遮蔽加工
    UVカット加工
    太陽光の中の人体に有害な紫外線をカットして皮膚を保護する加工のこと。夏季には紫外線も強く、春夏衣料の白、淡色品で、この機能は重要とされる
    透湿防水加工織物や編物に水蒸気の透過性と耐水性を同時に付与する加工のこと。一般的には、直径が汗水蒸気よりも大きく、雨の水滴よりも小さい微多孔を有するポリウレタン膜を生地の裏面や表面に塗布して、水蒸気を膜内に拡散させる方法がある。代表的なものにゴアテックス®、エントラント®などがある
    抗菌防臭加工繊維上で黄色ぶどう球菌の増殖を抑え、汗や汚れから発生する悪臭を軽減する加工。(一社)繊維評価技術協議会による抗菌性や防臭効果の性能と耐久性、安全性の規格としてSEKマーク制度がある。インナー全般、スポーツ・ユニフォーム用途などに使用されている。
    消臭加工繊維が臭気成分に触れることによって不快感を減少させる加工である。アパレル製品では、特に汗に対する効果が求められる。汗そのものに臭気はないが、黄色ブドウ球菌など、人間の皮膚のある菌が汗や皮脂を摂取し、排泄した分解物が悪臭の原因となる。ソックスや下着、寝具、スポーツウエア用素材で多く加工される。
    制菌加工病院衣料、シーツに適用。肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌、MRSAの増殖が抑制される加工である。消臭加工と同様にSEKマークで認証制度がある。
    しわ加工生地に積極的にしわを与え、独自の感性を発現する加工のこと。合繊では、板締め、袋詰め、箱詰め状態で、熱水、スチーム、乾熱処理でしわがセットされる。綿素材では、アルカリ浴中で自然なしわがセットされるが、耐久性を与えるため、樹脂加工が併用されることがある。製品洗いでは、独自なウォッシュアウト感を表現する
    ボンディング加工生地と生地を接着する加工
    ラミネート加工生地の裏面または表面に、ポリウレタンフィルムなどを貼り合わせる加工
    エンボス加工所定の柄を刻印した金属ロールと加熱したローラに生地を通して、表面に 凹凸の柄を与える加工
    難燃、防炎加工防炎ラベルの一例生地に難燃、防炎性を付与する加工。学校、病院、ホテル、劇場、高層ビルなどのカーテンなどの設備は、消防法により防炎性が必須である。防炎性は着火後の燃焼の程度で評価される 。防炎ラベルの認証は公益財団法人日本防炎協会が実施している。資料は防炎ラベルの一例である
    起毛加工針布の一例生地表面に、針布などを用いて毛羽立たせる加工のこと
    起毛後、シャリング(刈り取り加工)加工される。生地のボリューム感、肌当たり感、保温性、風合いに影響を与える。写真は、針布の一例である
    シャリング加工起毛された繊維を刈り取り、毛足を揃えること。フリースなどに使用される
    縮絨加工
    縮充加工
    羊毛などの動物繊維の織編物を緻密化させる加工。羊毛織物などを酸、アルカリ、石鹸などの縮絨剤を用いて機械的に揉んだりすることによって収縮して緻密な構造になる。この現象はフェルト収縮であり、加工工程としては縮絨加工と呼ばれる
    スポンジング毛織物にスチームを与えて収縮させ安定化させること。スポンジングは専用のスポンジング工場で実施されることが多い
    ナッピング加工ナップ仕上げともいわれる。ナップとは生地表面の毛羽のこと。もともとは毛織物の仕上げ方法の一つである。起毛と剪毛後に、ナッピングマシンで小さい玉状の毛羽を無数に生じさせる加工。ウールコートやフリースなどに用いられる
    幅出し織物の両耳を保持して所定の幅に揃える加工。機械はテンターと呼ばれる。規格幅以上に幅出しをし過ぎると幅方向に縮みやすい生地になる

     

    1. 仕上げ加工は、人間でいうと「化粧」に相当する。素材や製品の付加価値を向上させるための有効な手段である。
    2. 機能性を謳う場合は、合理的データは必須である。
  5.  

  6. 染料、薬剤
    用語意味
    分散染料ポリエステルなど疎水性繊維を染色するための染料。水中分散浴で染色される
    反応染料繊維と化学的に結合し、共有結合で染着する染料。セルロース系繊維に使用される
    酸性染料酸性浴で、ウール、絹、ナイロンなどに染着性をもつ染料。セルロース系繊維には染着性はない
    カチオン染料塩基性染料の一つ。アクリル繊維に用いると高い染色堅ろう性を示す。ポリエステルでは、カチオン可染ポリエステル繊維に使用される
    塩基性染料水溶性染料のうち、塩基性(カチオン性)をしめすもの。アクリル繊維などに使用され、各種染色堅ろう性にも優れている
    染色促進剤染色速度や染着量を増加させるための薬剤。例えば、ポリエステルの分散染料染めのキャリア剤は、ポリエステル繊維を膨潤させ、常温でも染着性を向上させるものである
    均染剤染色工程で、均一な染着を促進させる薬剤。反間や反内の色のばらつきを改善する効果がある
    金属封鎖剤染工場の立地によっては硬水を使わざるを得ない場合、金属封鎖剤を使用し、用水中の金属イオンを封鎖する。キレート剤とも言われる
    染色堅ろう度向上剤セルロース繊維では、染色堅ろう度を向上させるために、フィックス剤と呼ばれる染料と結合することによって不溶化するために、湿潤堅ろう度が向上する。また、耐光堅ろう度を向上させるために、紫外線吸収剤を助剤として使用することがある
    蛍光増白剤近紫外(波長300~380nm)の光を吸収し、可視部の短波長側(400~450nm)に青紫色の蛍光を発する化合物で、素材を白く見せるために用いられる。セルロース系繊維では、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体などが使われる。
    紫外線吸収剤紫外線を吸収する効果のある有機系の薬剤。生地に含浸して使用される。薬剤にはヒドロキシベンゾフェノン系などがある
    フィックス剤主に湿潤堅牢度を向上させる薬剤である

     

    1. これらの染料、助剤を直接目にする機会は少ないが、どのような加工をしているかは、適時メーカーや加工場に問い合わせればよい。
  7.  

  8. 染色堅ろう度
    用語意味
    染色堅ろう度衣料品では、変退色、汚染、色泣きなどの事故が生じる。この外的要因に対する耐性を染色堅ろう度と呼ぶ。染色堅ろう度試験方法は、JIS(日本産業規格)で決められる。外的要因には、紫外線、洗濯、湿潤、汗、摩擦、貯蔵中保管、ガス、塩素、漂白剤、ドライクリーニングなどがあり、それぞれの試験法が設定されている
    グレースケール染色堅ろう度試験において、変退色または汚染の程度を判定するための標準スケールのこと。 汚染用と変退色用がある
    多繊交織布添付白布の一種で、多種類の異なる繊維を交織したもの
    添付白布汚染判定のために試験片に添付する白布
    ブルースケール耐光堅ろう度試験において、等級判定に用いる青色標準スケールのこと
    海外規格海外では、ISO規格、AATCC規格、ASTM規格、GB規格、FZ規格、KS規格などがあり、海外内販を行う場合は、これらの海外規格にも留意する必要がある

     

    1. 染色堅ろう度の試験結果は、その生地が適正に染色加工されたかの貴重なデータとなる。また、改善の方法も示唆される。
    2. 繊維素材によって、染色堅ろう度が技術限界的な項目がある。
      例) セルロース系繊維 (湿摩擦・塩素処理水堅ろう度)
            ポリエステル繊維 (昇華堅ろう度)
            蛍光染料使い生地 (耐光堅ろう度) など

     

  9.  

<次回のコラムについて>

次回も「繊維・アパレル製品の用語 その3」として、縫製用語をご紹介します。

コラム : アパレル散歩道24
~繊維製品の品質苦情はなぜなくならないのか~
テーマ :  繊維・アパレル製品の用語 その3

                               

             

発行元
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 事業推進室 マーケティンググループ
E-mail: pr-contact@nissenken.or.jp URL:https://nissenken.or.jp

※当コラムの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。


Profile : 清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)

清嶋 展弘 (きよしま のぶひろ)

43年間株式会社デサントに勤務し、各種スポーツウェアの企画開発、機能性評価、品質基準作成、品質管理などを担当。退職後は、技術士(繊維)事務所を開業。趣味は27年間続けているマラソンで、これまで296回の大会に参加。 社外経歴 (一財)日本繊維製品消費科学会 元副会長 日本繊維技術士センター理事 技術士(繊維) 文部科学省大学間連携共同教育事業評価委員 日本衣料管理協会理事 TES会西日本支部代表幹事

               

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