思いつきラボ

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No. 162 「気象庁計測の10分間降雨量で国内最高記録が…」

2020/06/15

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2020年6月15日時点の内容です。

                 

2020年6月6日に気象データの国内最高数値が記録されました。10分間の降雨量が50mmで埼玉県 熊谷市で計測されました。2011年7月26日に 新潟県 室谷(むろや)で観測した記録に並ぶもので 国内歴代1位の記録になります。この数字のなにがスゴイかといいますと 1時間雨量の国内記録が153mm/h(千葉県 香取 1999.10.27と長崎県 長浦岳 1982.7.23の2回記録)なので 10分間で50㎜のペースで1時間降り続けるとしたら 300mm/hという数字になってしまい倍ほどの雨量になってしまうということなのです。ちょっと話を逸らせますが 2011年に10分間50㎜を記録したことで国内の気象研究機関が1時間に300㎜の降雨が体験できる大型降雨実験施設を造っているのです。茨城県つくば市にある「国立研究開発法人 防災科学技術研究所」にあり すでに10分間50㎜の実験も行ってデータも集めているのです。災害対策も日本は進んでいます。

                   

もうひとつ話を逸らせておきますが 1時間の降雨量の公式記録は153mmですが気象庁が認めている非公式の最高値は 187mm/h(長崎県長与町 1982.7.23)という記録があります。気象庁の公式の記録は指定された観測所での数値になりますが 非公式の数字は長与町の役場に設置してあるもので気象庁の観測所と同じ計器を使っているので非公式ながら気象庁も認めている数字になります。187㎜でも300㎜には遠くおよびません。気象庁がニュースなどで表現する文言を紹介しておきますと

                   

  1時間雨量(㎜)   予報用語    人の受けるイメージ

  10以上~20未満   やや強い雨    ザーザーと降る

  20以上~30未満   強い雨      どしゃ降り

  30以上~50未満   激しい雨     バケツをひっくり返したように降る

  50以上~80未満   非常に激しい雨  滝のように降る

                     (ゴーゴーと降り続く)

  80以上       猛烈な雨     息苦しくなる圧迫感がある

                      恐怖を感ずる

                   

と表現することになっています。“バケツをひっくり返したように降る”というフレーズは世間で使う慣用句だと思ってましたが気象庁でも使っている言葉とはちょっと驚きです。“どしゃ降り”と“バケツをひっくり返したように降る”“滝のように降る”との比較イメージが分かりにくいですがこのような表現になっています。“バケツをひっくり返したように降る”の語源は英語の慣用句に「It’s raining buckets. (バケツの水をひっくり返したような大雨だ)」というのがあり その訳がそのまま日本語の慣用句になったという説が有力だそうです・・・面白話で納得です。

“記録的短時間大雨情報”にご注意・・・ 

実は今年に入ってから“記録的短時間大雨情報”の発令が多いことが気になっています。新型ウィルスの情報で時間を取られているので取扱いが少ないのは致し方ないのですが 2020年1月に10件 2月0件 3月2件 4月2件も発生しているのです。ここ数年をみると2019年は5月が最初で2018年は6月から 2017年は1月に1件あったものの2件目は6月 2016年は6月が最初でした。データを見ると今年の雨が心配になります。しかも10分50㎜を記録した熊谷市のゲリラ豪雨は20分ほどで弱まったので記録的短時間大雨情報は発令されていません。ますます心配ですが 埼玉県 熊谷市は2018年7月23日に国内最高気温 41.1℃を記録しているので 気象庁のデータで10分間降雨量と最高気温の記録保持となってます。気温が高いと雨も風も強くなるので注意が必要な地区になってます。

                 

さらに6月12日~15日にかけてほぼ全国で大雨警報が出されています。1時間で50㎜を超える降雨量で「非常に激しい雨」や80㎜を超えると「猛烈な雨」という表現になります。雨水の排水能力は地域によって異なりますが 目安として1時間に50㎜の降雨量に対応できるように整備されています。1時間に50㎜降雨量の警報がでたときには 内水氾濫(雨水の処理が追いつかずに道路やくぼ地が冠水してしまう状態)の危険が生じる可能性が高まるということは意識しておく必要があります。川やため池が決壊して起こる洪水(外水氾濫)や内水氾濫のときには高台への避難と同時に垂直避難(家やマンションの上の階に避難すること)を考えることも必要です。

                      

“ゲリラ豪雨”という言葉を今では頻繁に耳にするようになりましたが実は“ゲリラ豪雨”は気象用語ではなく予報用語として使われるのは“局地的大雨”か“集中豪雨”になります。確かに以前は“にわか雨”や“夕立”という風情のある呼び方でしたが 熱帯雨林気候のスコールに近い降り方が目立つようになったことで“ゲリラ豪雨”の方がイメージしやすくなったのかも知れません。いつから“ゲリラ豪雨”という表現になったかが気になったので調べてみました。驚いたことにいきなり2008年度の流行語大賞でトップ10に入っているという記述を見つけました。だいたい流行り言葉なんてものは おそらくの情報しか得られないものと思っていたのでいつからと特定できたことにビックリしてしまいました。

                    

しかも受賞対象者が「株式会社 ウェザーニューズ」とそこまで限定できるとは・・・ともあれ 2008年に広く使われ始めた言葉ということが分かりました。2008年にはこの年の7月~9月の初めにかけて局地的な豪雨にみまわれた件数が多く残されていました。特に8月26日~31日に東海・関東地方を中心に発生した豪雨に対して 気象庁が「平成20年末豪雨」と命名しています。注意しろといわれても瞬間的な100mmの降雨量に対応できる排水能力を備えている地域はすくないので 地震や津波などの災害と同様に逃げる場所の想定と地域周辺の地形を把握しておくことがだいじになります。

          

6月12日に環境庁が“単なる「気象変動」ではなく「気象危機」だ”と宣言しました。国際メディアの表現に合わせたものですが地球の気候は危機的な状態ということです。これから本格的な台風シーズンに入りますので大雨が来るという覚悟と大雨には注意という意識は常に持っておきましょう。

原稿担当:竹中 直(チョク)

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
竹中 直(チョク)

E-mail: pr-contact@nissenken.or.jp

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