思いつきラボ

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No. 157 「自分たちでマスクをつくってみよう…」

2020/03/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2020年3月30日時点の内容です。

新型ウィルスでマスクが不足した状態が続いて そのうち店頭に以前のように並ぶだろう・・・と思っていたら世界規模でマスク不足となってしまいました。ならば 思いつきラボ 自由研究で「手作りマスク」をテーマにしようと声を掛けたら すぐに参加希望者が・・・いつものことながら積極的な反応に感謝しています。しかも概略だけ話したら あとはメンバーたちで企画 実行まで。当初はワークショップとも考えたのですが 移動させられるミシンがないので まずは比較サンプルづくりからとなりました。今回の思いつきラボはマスクの作成工程を含めた自由研究協力者たちのレポートになります。

手作りマスク研究レポート

コロナウイルス感染症の影響により、マスクの品薄状態が続いています。そこで今、話題となっているのが手作りマスクです。今回は実際にマスクをつくってみました。

まずマスクを作るにあたって、形やデザイン・素材を決めていきます。

◆形について
市販されているマスクは、色々な形状のものを見かけますがその中でも、ウイルス予防や飛散防止として有効なのは立体マスクと言われています。人間の顔の形に合わせてデザインされており、隙間なくピッタリと顔にフィットさせることができるからです。
そこで今回は立体マスクの作り方を紹介します。

◆生地について
今回は4種類の生地で作成し、着け心地や通気性など、比較・検証していきます!!
生地の種類は、次の4つです。

(1) 不織布(ポリエステル55% レーヨン45%)
(2) ガーゼ生地(綿100%)
(3) トリコットニット生地(ポリエステル81% ポリウレタン19%)
(4) 織物生地(綿100%)

◆作り方
①型紙に合わせて生地をカットする。

②表地同士・裏地同士を中表で縫い合わせて、カーブ部分の縫い代に切れ目を入れる。

③アイロンをかけて、縫い代を割る。

④表地と裏地を中表で縫い合わせる。

⑤表に返して、アイロンで形を整える。

⑥ゴム通し口を作る。

⑦ひもを通して、完成!!

⓼紫外線照射を行い、簡易的に除菌します。

⑨最後にひとつひとつ袋詰めして、完成です!!!

他の素材も同じ工程で作成していきます。
今回は、裏地はすべてダブルガーゼを使用しています。

◆比較・検証
・通気性について

通気性試験・・・生地の組織の隙間から空気が通る量を計測するもの
数値が高いほど通気性が良い

通気性試験結果

  市販のマスク ⑴不織布 ⑵ガーゼ生地 ⑶ニット生地 ⑷織物生地
結果(㎤/㎠・sec) 25.2 89.0 122.7 83.7 61.2

☆通気性の良いランキング

1位 ⑵ガーゼ生地

2位 ⑴不織布

3位 ⑶ニット生地

4位 ⑷織物生地

5位 市販のマスク

この結果から、手作りマスクは市販のマスクに比べ、通気性が大変良いことが分かりました。

そのため、花粉やウイルス除去効果は弱まってしまうようです。

ちなみに・・・

  ⑵ガーゼ生地 ⑶ニット生地 ⑷織物生地
結果(㎤/㎠・sec) 122.7 83.7 61.2
ガーゼをもう一枚プラスすると・・・ ↓ ↓ ↓  
結果(㎤/㎠・sec)        89.2          67.0          51.8

ダブルガーゼを数枚重ねることで通気性を抑えることができました。

市販のマスクの数値までは到達しませんが、花粉やウイルス除去力を少しでも高めたい場合にはガーゼを重ねてつくることをおすすめします!!

             

・着け心地について
今回は、裏地をすべてガーゼ生地にしたので、どのマスクもとても優しい肌触りでした。
実際の息のしやすさも通気性の試験結果に伴ったものでした。

            

・耐洗濯性について

耐洗濯性試験・・・水洗いやドライクリーニング処理により生じる

製品の外観や寸法の変化を評価するもの

C4H法 吊り干し(中性洗剤使用)を行った際の、1回後・3回後を比べてみました。

※C4H法・・・C形(パルセータ式)洗濯機を用いた手洗いコース洗濯

耐洗濯性試験結果

☆寸法変化率の良いランキング

1位 ⑷織物生地

2位 ⑴不織布

3位 ⑵ガーゼ生地

4位 ⑶ニット生地

組成などを統一していないため参考程度の数値になりますが、今回使用した生地については以上の結果となりました。ガーゼ生地については、1回処理後からしわが発生し、外観変化がみられました。ガーゼ生地は洗うと縮んでしまうので、縫う前に一度水洗いをしてからアイロンをかけ、裁断することでしわを防ぐことができます。

一部で外観変化は見られましたが、ボロボロになってしまう訳ではないので手作りマスクは繰り返し洗って使用することが可能です。

           

・作りやすさについて

☆作りやすさランキング

1位 ⑷織物生地

2位 ⑴不織布

3位 ⑵ガーゼ生地

4位 ⑶ニット生地

織物生地や不織布はあまり伸縮性がないため、比較的縫いやすく感じました。また特に今回使用した織物生地は、アイロンで形を整えやすく、ランキング1位となりました。

                   

以上の検証をもとに手作りマスクと市販のマスクの

それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

               

手作りマスク 

〇洗えば何度でも使える

〇通気性に優れる

〇肌触りがよく、肌の弱い人でも使える

×市販のマスクより花粉やウイルスの除去力が劣る

                 

市販のマスク(不織布+ウイルス防止フィルター)

〇手作りマスクより花粉やウイルスの除去力がある

×使い捨て

×通気性があまりない

             

それぞれにメリット・デメリットはありますが、市販のマスクが入手しにくい今

手作りマスクは大変有効だと考えます。

1つ当たり 制作時間は約20分 価格は「全種類」約120円です。

柄や素材など、様々なバリエーションが選べるので

一人一人の好みに合ったマスクを作ることができますね。

皆さんも自分の好きな柄や色のマスクを作って

気分やファッションに合わせて、使ってみてください!!

ということで 4種類のマスクを作成して しかも通気性試験や耐洗濯性試験まで実施して数値比較までしてくれてます。通気性試験についてちょっと触れておきますと 通気性試験は「JIS L 1096織物及び編物の生地試験方法」に規定されています。生地の組織の隙間から空気が通る量を計測するもので数値が高いほど通気性が良いことになります。傾向としては、防寒衣類の生地に対する試験(=空気の通しにくさを評価する目的)の依頼が多いようです。
今回の「手作りマスク」を参考にしてオリジナルマスクを作成してみてください。と言いながら家にミシンのある人も少なくなっているので残っている生地を使って事業所人数分くらいは用意しようと思っております。早くマスクを着けずに街に繰り出して通常の生活に戻りたいですが・・・。世の中 深刻な状況になっていますが 楽しい自由研究になりました。

原稿担当:大阪事業所 石﨑 加奈
自由研究協力者:大阪事業所 岡山 智咲 尾川 澪 中山 明日香
監修:竹中 直(チョク)

お問い合わせ
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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