2015/04/15
No. 38 「染料プリントと顔料プリントの見分け方は…」
思いつきラボ
2019/10/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2019年10月15時点の内容です。
また想像をはるかに超える災害が起きてしまいました。大型で非常に強い台風が12日から13日にかけて関東地方・東北地方を襲いました。河川の氾濫が主だったところだけでも37河川52箇所の報道で、死者行方不明者が11都県に及びこの原稿を書いている14日夕方現在で断水14都県・停電13都県と報道されています。9月8日から9日に関東地方を直撃した台風15号も“これまでに経験したことのない重大な危険”と報道され、いまだに復旧の目途が立たない地域も残されています・・・というさなかにまた、命の危険が迫ってるという「警戒レベル 5」が発令されしかも同時に1都6県に出されました。これほど広範囲な大雨も確かに経験することはありませんでした
筆者は防災・安全評価グループに所属しているので、“これまでに経験したことのない「災害」”についてのお話しを聞くこともあるのですが、今回の結果となった規模の災害の話を事前にされたとしても、おそらくは“そこまでひどくはならないだろう・・・”と判断していたと思います。これまで経験したことのない・・・は想像できないくらいのことが起こるということを認識させられました。報道で地域によっては年間降水量の3割から4割の雨量を1日~2日で記録したとありました。日本の年間降水量は平均で 1,750mm前後で、もちろん地域による差はあり、900mm/年間から3,600mm/年間とバラツキも大きいですが平均値としての数字となります。
1日~2日で525mm~700mmの降雨量があったということです。これを証明するかのように、来年春に完成予定である群馬県長野原町に位置する利根川上流の吾妻川(あがつまがわ)の八ッ場(やんば)ダムが12日~13日にかけてダムがほぼ満水になったとのことでした。10月1日から試験貯水が始まり3~4ヶ月かけて満水位まで水を貯める計画が、わずか一昼夜で達成したということです。水位は 54mあがったという内容でした。
驚きのニュースでしたが、この試験貯水がなければもっと多くの水量が下流に流れたということになります。堤防の決壊がなければ、調節池や調整池と呼ばれる洪水時に文字通り水量調節ができる設備も準備はされているところもあるのですが、今回は想定できない降雨量が広範囲に同時に起きたことで、河川の決壊があちらこちらで起こってしまったということになります。
ダム放流のニュースも流れてきましたが説明が不十分なのか、この大雨でさらにダムから大量の水を流すのかという問合せがあったようですが、ダム放流は大雨の予報に合わせて、ダムの水位を事前に下げておくものの、それでも貯水しきれない状況になったときにダムへの入水量と同じ量を放水するというものなのです。放水をしなければもっと上流から洪水が発生することになります。事前の準備も追いつかない大雨になったということです。経験値によって準備はされているのですが、これも“これまでに経験したことのない大雨”ということなのです。
もうひとつ“これまでに経験したことがない大雨”の紹介をしておきますと、10月12日に神奈川県箱根町の観測所で、1日の降水量 922.5mm/日という数字を記録しました。これは観測史上最高値で、いままでは 2011年7月19日に高知県魚梁瀬(うおやなせ)観測所で記録したものを71㎜も更新したことになります。気象庁のデータはあくまで気象庁管轄の観測所の数字になりますので、この付近ではもっと降ったところがあるかもしれません。まだデータ整理が追い付いてない所や観測所が被災したものもあるかもしれませんが、先ほど記載したように、国内では一年に1,000mm/年間も降らないところと比較すれば年間降水量を1日で記録したことになります。
ニュースで使われている水害関係の用語の説明をしておきます。
内水氾濫
主に下水の処理能力を上回る降雨によって発生する提内地の浸水災害。
外水氾濫
河川の氾濫による浸水災害。一般的に洪水。
高潮
低気圧の接近に伴う気圧低下によって生じる海水の吸い上げ効果と強風による吹寄せ効果によって、海面が異常に上昇する災害 。
津波
地震の発生によって海水の変化が周りに波として広がっていく災害。
内水氾濫や外水氾濫とはわかりにくいので、報道では水に浸ったら“洪水”と表現されています。屋外の排水溝は1時間に50mmの雨が降っても処理できるように設計されています。最近の降雨量で1時間に50㎜を超えることも多くなりましたので、この時は内水氾濫の危険性があると判断してください。排水溝にレジ袋が張り付いていて氾濫を起こした報告もありますので、大雨予報の時は排水溝の掃除も心掛ける必要があります。
ついでに、台風15号で鉄塔や電信柱が風で倒壊しましたが、電信柱の風圧基準は40m/secとなっていて、条件にもよりますが、これ以上の風速を記録すると倒木や電柱の倒壊が起こる可能性が高くなるということです。
思いつきラボでは大きな災害になったときは取り上げるようにしている、幾度となく書かせてもらっているのですが今年は災害ネタが多すぎます。これからも大きな災害や異常な気象現象が起きた時には掲載していくつもりですが、災害ネタが減ることを望んでおります。今回の被災者・被災地の方々が早くもとの生活に戻れることを願っております。
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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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