思いつきラボ

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No. 145 「JIS T 8127 高視認性安全服規格からのその後の拡がり…」

2019/09/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2019年9月30時点の内容です。

10月を迎えるというのに連日の真夏日・・・しかも高湿度のおまけつき・・・ということで体調管理には気をつけなければ・・・さすがにへばってきました・・・という愚痴で始まりましたが、もうひとつ自由研究がうまくいかなかった報告をしておきます。

思いつきラボ2018年 8月30日号第119回「セミの羽の構造を持つ抗菌材料ができた・・・」というタイトルで原稿を書いているのですが、セミの羽自体に抗菌性があることを確かめようと原稿を締めくくっています。

それで今年度、夏にクマゼミの羽を10匹ほど集めて、バイオケミカル課に自由研究テーマとして抗菌性を調べてもらったのですが、羽を採集してから時間が経ち過ぎてたせいか抗菌効果は認められませんでした・・・たぶん準備が安易すぎたようです。トンボの羽や透明のセミの羽の抗菌性はすでに確認されていることなので、今回は筆者の見識の甘さでうまくいきませんでした。うまくいかないというのも実験の結果によって経験することなので、興味をもったことにはこれからも取り組んでいきたいと思っています。

原稿の書き出しが自由研究の報告で長くなってしまいましたが、今回のテーマは 2015年10月26日に制定された JIS T 8127 高視認性安全服の規格ができてから丸4年を終えようとしています。JIS規格は制定から5年のうちに内容を見直し、確認・改正・廃止のいずれかの判断をすることになっています。JIS T 8127 も2020年には見直しとなります。JIS T 8127 は 2013年に発行された国際規格のISO 20471 High visibility clothing の関連規格でISO 20471の規格はすでに一部改正がなされていますので、JIS T 8127  も国際規格に合わせることも含めて検討されています。

高視認性安全服規格制定後の拡がり

JIS T 8127 が制定されて“高視認性安全服”や“高視認性”なる単語も徐々に認知されてはいますが、まだまだ充分な市民権を得られてはいません。作業服業界やユニフォーム業界、高速道路作業会社や航空会社など普及も急激にとは言えませんが、それなりに進んでいます。高視認性安全服の規格はもともと作業事故を減らす目的で作られたものです。発行後交通事故削減や災害避難時にも効果が高いのではと、いくつかの団体規格もできました。また、規格にはなってないものの高視認性の有効性や再帰性反射材の効果などについても、紹介されることが増えてきています。ということで、JIS T 8127 高視認性安全服規格の制定後の拡がりについて整理しておきたいと思います。

まず JIS T 8127 発行後出てきた問題点や要望を列挙しておきます。

  • 色数が少ないため配色展開がしにくい
  • 再帰性反射材のテープ巾が 50mmでは太すぎてデザインしにくい
  • 再帰性反射材を胴部で一周というデザインが好まれない
  • 使用面積規定があるので女性用などの小さいサイズが対応できない
  • 夏場の暑熱対策にメッシュ素材は必要である
  • 子ども用の高視認性安全服の規格がほしい
  • EN 1150 (欧州 一般利用者向け高視認性安全衣服)をJIS化してほしい

などの声があがりました。作業事故削減だけでなく交通事故削減にも高視認性の機能を利用したいということで、まず(一財)日本交通安全教育普及協会が団体規格作成に動きました。

条件は
子どもサイズが必要
JIS T 8127は蛍光生地と再帰性反射材の面積規定があり子どもサイズには対応できない
色数が少ない
JIS T 8127は蛍光イエロー・蛍光オレンジレッド・蛍光レッドの3色しかなく、色数を増やしてほしい
メッシュ素材は必要
夏場にメッシュなどの暑さ対策ができる素材が必要
再帰性反射材は 360°の視認性が保てれば連続してなくてもかまわない

という内容での規格作成の相談があり、2016年12月には団体規格が制定されました。
さらに衣服以外の雑貨関連でも推奨規格を作成しています。また(公社)日本保安用品協会が EN 1150 の ISO規格化の動きがないことを懸念して、一般利用者向け高視認性安全服の規格を軽作業者や一般歩行者を対象とした団体規格を作成しました。JIS T 8127 制定後にできた関連規格を紹介しておきます。

認証規格
(一財)日本交通安全教育普及協会
・JATRAS-001 児童向け高視認性安全服 (2016年12月15日発行)
・JATRAS-002 自転車通学者向け高視認性安全服(2016年12月15日発行)
・JATRAS-003 未就学児向け高視認性安全服(2019年9月25日発行)

(公社)日本保安用品協会
・ JSAA-2001  一般利用者向け高視認性安全服(2017年11月1日発行)

認証規格
(一財)日本交通安全教育普及協会
・ JATRAS-301 児童向け高視認性安全服の関連製品 推奨規格(2017年8月25日発行)
・JATRAS-311 児童及び自転車通学者向け高視認性安全服の関連製品
  -かばん類-推奨規格(2018年1月15日発行)
・JATRAS-312 児童及び自転車通学者向け高視認性安全服の関連製品
 -帽子類-推奨規格(2018年8月5日発行)
・JATRAS-511 高視認性安全服の関連製品-かばん類-推奨規格(2018年9月20日発行)
・JATRAS-512 高視認性安全服の関連製品-帽子類-推奨規格(2018年9月20日発行)

衣服だけでなく、ランドセルカバーやかばん帽子など、通学時に身につける雑貨にも高視認性の機能を持たせることで、子ども達を交通事故から守ろうという考えに基づいています。

災害時にも高視認性安全服を

このように、作業事故削減だけでなく、交通事故削減にも高視認性の機能が有効と考えられて規格がつくられています。さらに新たな利用として、災害避難の時にも使えるのではということも考えられるようになってきました。昨年2018年7月の西日本豪雨の折に 一時150名を超す行方不明者がでたのですが、救助隊や捜索隊が見つけられるのは“目立つ服”ということで、災害時の避難する人も避難を誘導する人も救助に向かう人も捜索隊も目立つ服を着るようにというアナウンスがされるようになりました。見つけやすい・見逃しにくい・振り返ったときに救助のひとや捜索隊の人が確認しやすいということなのです。非常時の迷子や不明者を見つけることは、一刻を争う状態なので、災害時には目立つ服ということも大切なことになっています。目立つ服ということで必ずしも高視認性の衣服でないとダメということではありませんが、目立つ服なら高視認性安全服が効果が高いといことで、災害時の防災袋に視認性の高いベストなども加えておいたほうがいいですよという考えかたになっています。

作業事故削減、交通事故削減、災害避難にと高視認性安全服の機能性が有効と認知されて、拡がりをみせています。規格にこだわることもなく再帰性反射材のアクセサリーをかばんなどに取り付けておくことや夜間の外出時の服装や万が一の災害時の避難用の目立つ服などを用意しておくことも大切です。残念なことに、異常気象による災害や子どもたちや高齢者たちの交通事故は頻繁に起こってしまっています。高視認性安全服もさらに普及することを望んでおります。

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お問い合わせ
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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