2020/01/15
No. 152 「1 円玉の年間製造量が50万枚くらいになっている …」
思いつきラボ
2017/07/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年7月15日時点の内容です。
7月 5日から 6日にかけて福岡と大分に特別警報が発令されるほどの大雨が降りました。
特別警報というのは「およそ 50年に一度の降水量となると予想されたとき」というのが指標になっているのですが、このところ毎年のように 50年に一度レベルの大雨が降っています。
今回の大雨特別警報で驚かされたのは
特別警報発令
福岡 7月 5日 17時 51分
大分 7月 5日 19時 55分
特別警報解除
福岡・大分 7月 6日 14時 10分
ということで、福岡では 20時間以上、大分でも 18時間以上大雨特別警報が継続していたことにあります。大雨特別警報が出されても解除されるまでがこれほど長いのも珍しいことなのです。それだけ今回の豪雨の凄さが伝わってきます。
福岡県朝倉市では 7月 5日 の降水量が 516mmで、1日だけで平年の 7月の降水量の 1.5倍を記録したと報道されていました。さらに 7日 12時までの 60時間で 606mmの降水量を記録したとあります。
今回の九州豪雨の原因となっているのが「線状降水帯(せんじょうこうすいたい)」だと繰り返し報道されていました。今までの大雨災害のときも使われていたのかもしれませんが、あまり聞きなれていない言葉のような気がしたので、ちょっと調べてみるとちゃんと気象庁の予報用語に記載されていました。
テレビの気象解説で使用しているのですから当然のことなのですが、あまり耳にすることもないので、やはり最近の言葉のように感じてしまいます。
予報用語に記載されているのは
線状降水帯(気象庁 予報用語)
「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞する ことで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km 程度の強い降水をともなう雨域。」
となっています。
さらに線状降水帯にも分類があるようで、今回はバックビルディング型と解説されていました。通常ひとつの積乱雲で 1 時間前後で 50mmほどの雨を降らして雨雲はなくなるのですが、その間にまた同じ場所に積乱雲が形成されてしまうという形態のものという説明になっていました。バックビルディング現象という言葉の方が以前より使われていたような気がします。
2013年 10月 16日に伊豆大島の元町(もとまち)で 6時間で 549.5mmの降水量を記録したときには、バックビルディング現象という表現が使われていました。
2014年 8月の広島土砂災害をもたらした大雨や 2015年 9月の鬼怒川堤防・渋井川堤防決壊の引き起こしで大洪水による大きな被害が出た関東・東北豪雨もバックビルディング現象による大雨と解説されていた記憶があります。
北九州では2012年にも「平成 24年 7月九州北部豪雨」と命名された大雨の被害がありました。災害で大きな被害があった事例にはあとから災害に命名をするのですが、これは後の時代に比較検証できるように行われていることなのです。
2012年の 7月 11日から 14日にかけて九州北部を中心に発生した豪雨で熊本・福岡・大分に大きな被害をもたらしました。大雨の原因となる積乱雲は発生しやすい条件が揃うところでは、大雨にみまわれる可能性が高いということになります。
昔から積乱雲の俗称である入道雲にも地域ごとに名前が付けられていて、関東では坂東太郎(ばんどうたろう)関西では但馬太郎(たじまたろう)や丹波太郎(たんばたろう)といって、入道雲が出たら雷と大雨がくるものと教え伝えられてきました。九州でも英彦太郎(ひこたろう)筑紫次郎(ちくしじろう)と北九州地域は積乱雲が発生しやすい地域であることが判ります。
その後の気象研究が進んで、バックビルディングだけでなく破線形や破面型などの分類がされるようになって総じて「線状降水帯」という表現になったようです。気象衛星のおかげで気象現象の研究も急速に進んでいるので、ニュースなどでは耳なじみのない言葉がときどき出てきます。50年に一度の災害が毎年いたる所で発生していることを考えれば、気象現象の解明は災害対策には欠かせないことですので、研究成果に期待をしたいと思います。
被災された地域や人々ができるだけ早くもとの生活に戻れることを願うしかありませんが、まだ雨の時期は続きますし台風も本格的なシーズンに入ります。間違いなく世界的にも自然災害、とくに大雨・洪水・干ばつ・寒波・猛暑などの異常気象が多くなっています。
地球温暖化が原因と考えられていますが、温暖化が急に停まることもありませんので、災害が起きることを想定して対応を常日頃から考えておく必要があるということです。災害はどこで起きても不思議なことではないのです。
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
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