2016/11/30
No. 77 「日本が初めて命名した元素 「ニホニウム(Nh)」 …」
思いつきラボ
2017/05/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年5月15日時点の内容です。
「2016年 4月の二酸化炭素濃度が観測開始以来の最高値を記録 」という報道が国土交通省気象庁からありました。昨年(2016年)11月4日に地球温暖化対策「パリ協定」が発効されたところですが、大気中の二酸化炭素(Co₂)の量は増え続けているのです。
タイトルだけ見ると今年が特に異常な印象を受けますが、毎年「観測開始以来の最高値」なのです。二酸化炭素濃度の測定をどのようにしているかといいますと、気象庁では定点観測地を3ヶ所(岩手県綾里 東京都南鳥島 沖縄県与那国島)設けて濃度測定を行っています。
一番早くから観測を始めたのが岩手県綾里で1987年 1月からで、次に東京都南鳥島が 1993年で沖縄県与那国島が 1997年からの観測となっています。最初の1987年 綾里の一年間平均測定値が 351.4 ppmで 2015年の年間平均測定値は 403.1 ppm となっています。ppmは「parts par million」の略号で百万分率での数字ですが、 28年間で 51.7 ppm も増えているのです。やはり数字を見れば、異常気象災害が増えているのも地球温暖化の影響が大きいという推測が成り立つのも納得できます。
綾里の5年単位の気象庁発表の数字を記載しておきますと
となっています。
地球温暖化の問題が注目されて1997年に京都議定書が公表されてからも、二酸化炭素濃度の上昇率は下がっていないのです。意識は高まっているのですが、実状が伴っていないという結果になっています。
そもそも京都議定書にしろパリ協定にしろ、二酸化炭素の排出量の削減規制を申し合わせているだけで、二酸化炭素濃度の上昇速度をゆっくりにしようとするものなので、大気中の二酸化炭素濃度が下がるものにはなっていないのです。
地球温暖化は現状ではやむを得ないものですが、せめて急速な 地球温暖化は避けようというものなのです。パリ協定の成果が分かるのは2020年以降になりますが、いい方向に進むことを願うしかありません。
世界的にも、イギリスの産業革命(1760年代 ~ 1830年代)以前の二酸化炭素濃度は 280 ppm と 計測されていて、現在の地球全体の平均濃度は 日本と同様 2015年にはほぼ 400 ppm になっていて、ずっと二酸化炭素濃度は高くなっています。問題は濃度数値の増え方が大きくなっているということなのです。
産業革命の 1830年から 120 ppmの濃度数値が 185年間で増えたとしても、0.64 ppm/年の上昇ということになりますが、気象庁の発表ではこの 10年の間では 2.05 ppm/年となっています。この上昇率の高さが世界的に問題となっているのです。2.05 ppm は 0.000205 % のことです。数字は小さいですが問題は大きいのです。
タイトルの二酸化炭素濃度が高くなるのは春です。地球全体で酸素生成の手段としては、やはり植物の光合成に頼るしかないのですが、日本は北半球に属していますので、春から夏にかけては光合成が活発になりますが、秋から春の間は光合成が不活発になるので、二酸化炭素放出量と光合成放出量が同じくらいになる3月~4月が最も二酸化炭素濃度が高くなるということです。
となっていて、前月度より濃度がさがるのは 5月から 8月の 4ヶ月だけということが判ります。
こうしてみると、やはり赤道に近い熱帯地域の森林保護が酸素生成には不可欠であることが分かります。もちろん産業を含めた人間活動による二酸化炭素排出量を減らすことが前提ですが、地球環境全体として森林地域を増やさないことには地球温暖化の歯止めはかからないということです。
太陽光発電や風力発電などの新しい電気エネルギーの供給は望ましいことではありますが、ただちに二酸化炭素削減ひいては地球温暖化防止の即効薬になるとは考えにくいのです。
わずかな緑でも光合成は行われていますので、家の中ベランダ 家庭菜園などで植物を楽しむことや道端や空き地の雑草も不快でなければそのままに、不快であれば観賞用の花や木を育てることも大事なことのように思えます。まずは緑を楽しむことから始めましょう。ささやかな温暖化防止策となります。
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
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