2014/12/30
No. 31 「ISO 20471 高視認性衣服の試験が全て可能に…」
思いつきラボ
2017/01/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2017年1月30日時点の内容です。
1月の終わりを迎える時期に東京で 4月中旬の気候になってしまい、一週間前には連日日本海側や北日本で記録的な積雪のニュースが流れていたはずなのに・・・と思いつつ、今年の気象変化の波も大きなものになりそうです。
繊維の業界は寒い時には寒く、暖かい時には暖かくないと商品の動きが悪くなってしまいますので、異常気象はありがたくないものになっています。季節感が薄れるとおしゃれも四季に合わせた楽しみが減ってしまいますが、 1月末に出た気象庁の 1ヶ月予報によれば、平年より暖かくなるというアナウンスになっていますので、ちょっと 早めの春物を用意しておいた方がよいかもしれません。
今回のテーマは、縫製に使うミシンの種類と縫いステッチについてのお話になります。製品検品の不良の原因に縫い外れや縫い糸切れという表現をすることがありますが、ミシン縫製のときに縫うべきところから外れてしまったり、ミシン糸が切れてしまって不良品になってしまうことがあります。ミシンの種類も多くあるのですが、一度ミシンの種類とステッチについてまとめておこうということになりました。
しかも上糸(うわいと)と下糸(したいと)の色を変えてそれぞれの縫い糸の動きが目に見えるように作ることになりました。
しかし実際にはそんな面倒な作業を引き受けてくれるところはなかなかないのですが、筆者のお付き合いのある企画会社がサンプル縫製用に十数台のミシンを持っていて、なんと一人の担当者が全てのミシンを扱えるということを聞いたので、今回の話を持ち込みました。
当センターの職員研修用資料ということを理解していただき、ありがたいことに引き受けてくれました。さらに別の縫製工場にも数点お願いをし、全部で16種類のミシンで23点のステッチサンプルを作ることができました。
ミシン名と縫いサンプルの画像を紹介しておきます。
出来上がってみれば「こんなサンプル帳見たことないぞ」というくらい素晴らしいものに仕上がりました。 縫い糸の色を全て替えてみると、思っていた縫い糸の動きと違っていたり、縫い糸だけでデザイン的な要素を含んでいたり、新しい発見もありました。“フラットシーマ”のミシンなどは 6本の糸を使っているので色も6色となり、綺麗な仕上がりになっていました。いままでも縫いのサンプルは数多く見ていますが、すべて同色で縫っているので、ミシン糸の動きまでは理解しにくいものになっていました。
筆者の大好きな “すくい縫いミシン” は表にまったく糸が出ていないのが判ります。また、裏目にでたステッチの方が面白い出方をしているものもあるので、貴重な資料になりました。
ともあれ、ミシンの名前と縫い方が結びつけば縫製知識もかなり高まりますので、少しづつでも覚えていきましょう。
職員研修のときには、最後にジーンズを使ってそれぞれの縫製部位にどのミシンを使っているかの簡単なテストをやってみました。縫いの形や動きでミシン名を推測するのですが、思った以上に楽しい実習となりました。持っている服の縫い方を見て試しに考えてみてください。
サンプル帳には用途や特徴などの記述を入れてあります。サンプル帳は業務本部・東京事業所・大阪事業所・(東京)立石ラボに置いてありますので、詳細を知りたい方は見てください。また興味のありそうなお客様へのプレゼンにも利用してください。
自由研究協力者:大阪事業所 長谷川 孝雄
立石ラボ 住山 久明
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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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