思いつきラボ

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No. 73 「道路の白線ラインが夜になったら光る…」

2016/09/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2016年9月30日時点の内容です。

今回の思いつきラボは、9月16日に行われた「蓄光誘導ライン試験施工」の作業レポートになります。
道路の白線が蓄光性能をもっていたら災害時の避難誘導に役立つという考えで、実際に闇夜で効果があるかどうかの実証実験を行ってきました。
場所は大阪府道 802号八尾河内長野自転車道線・・・正式名で書くと長ったらしいですが、南河内サイクリングロードと呼ばれている道の金剛大橋の近くでの作業となりました。大阪も 9月はほとんど晴れ間がなく、早朝も雨が降ってできるかどうか心配しましたが、作業時間には雨も上がって実施することができました。

光る道路

まずこのような実証実験に至った背景を説明しますと、2014年 9月22日に制定となった“ JIS Z 9097 津波避難誘導標識システム”や今年の 3月22日に発行された“ JIS Z 9098 災害種別避難誘導標識システム”のように、屋外での避難誘導システムが規格化されるようになり、その中に蓄光性能を有した標識が有効であると記載されて、その基準も 12時間後も継続して光っているものが規定されています。最悪な状況を想定して夕方 18時に災害がおきて全ての通電が停止しても、翌朝の 6時でも光って見えるものということで、基準が設けられています。しかも太陽光の昼間の明かりだけでという条件になっています。

これらの規格ができるまでは屋内避難誘導システムにしか蓄光材の規定はなく、基準となる時間も 60分後で室内環境の蛍光灯での照射が条件になっていました。1時間後に光っていれば性能を評価されたものが、いきなり 12時間後まで光っていなければ性能は認められないということになったのです。そんな無茶な・・・という規格に聞こえますが、日本の蓄光原料や蓄光に関する加工技術は世界に誇れるほどのものがあり、基準を満たすものが次々とできあがってきました。
そうなれば標識に留まらず道路の白線を光らせれば誘導システムとしては有効なものになるのでは・・・という発想になります。災害種別に避難を考えてみると、津波避難は高台となる山の方への避難となり、土砂崩れなどの危険からの避難であれば山から離れる方向が避難経路になります。いずれにせよどんな災害でも道路を利用して避難することになります。

災害がなんであれ、避難場所に繋がる道が蓄光機能で光っていれば、避難しているときでも安心感は高まります。屋外の避難誘導システムの規格ができたことと蓄光材料や加工技術の向上があったので、今回の実証実験につながったともいえるのです。
さらに今回の施工では、リサイクルガラスを粉砕したものを混入して滑り止め効果や蓄光塗料の粘性調整に利用できないか、ということも検証することにしました。実証実験を行うといっても勝手にはできませんが、今回は大阪府富田林土木事務所の立会で許可をいただき実施することができました。
ここ数年想定できないほどの災害が起きていることや大きな地震に備えて各自治体も危機感をもっているので、災害時に役立つものを求めているのです。

ということで、今回の作業を簡単に紹介しておきますと

1 施工前の現状確認
危険なものはないかとか大きな亀裂がないかの確認

2 施工部分の草刈り清掃
この時期雑草が道路白線を覆うほど生え茂っているので草刈りと砂利等を取り除く

3 塗料混合作業
下塗り塗料や蓄光塗料の材料の混ぜ合わせ

4 下塗り作業
蓄光効果を高めるために隠蔽層(いんぺいそう)として作業

5 本塗り作業
下塗りが乾燥してから蓄光塗料の本塗となります。

5 本塗り作業
下塗りが乾燥してから蓄光塗料の本塗となります。

7 蓄光ライン施工完了
コート剤が乾燥すれば完了

といった手順で作業をしてきました。
実はこのあとずっと雨の日が続いて作業ができたのをラッキーと喜んでいたのですが、数日後に川が増水して作業したところが水に浸かってしまいました。連絡をもらって確認に行ったのですが、泥水による汚れはあったものの塗料が剥がれ落ちることもありませんでした。大雨が降るたびに塗料が落ちるということはないのですが、今回はまだ完全乾燥の前に水に浸ってしまったので心配をしたということです。

多くの蓄光施工をサポートしています

ニッセンケンになぜこんな施工試験のお手伝いの話があるのかといいますと、防災・安全評価グループでは安全素材である蓄光商品の性能測定を行っており、関係業者さんからの相談も多いのです。
筆者は蓄光関係の研究会に所属してたこともあり、また蓄光石を使った蓄光樹脂舗装の担当をしていたので、蓄光加工の実験に関わることが多いのです。蓄光樹脂舗装としては神戸市 摩耶山のきらきら小径や北九州市 皿倉山のケーブル駅などの施工にも携わっています。
まあ景観舗装から始まった屋外の蓄光施工が防災安全の避難誘導システムに取り入れられるようになったことは、本当にうれしいことなのです。摩耶山の蓄光樹脂舗装が 2005年(平成17年)7月 7日の完成だったので10年という短い期間での技術向上なのです。

(左)神戸市 摩耶山のきらきら小径
(右)北九州市 皿倉山のケーブル駅

このような屋外の施工作業は真っ暗になる山の上や街灯のない地域が多いのですが、先ほど紹介した摩耶山も皿倉山も三大夜景に数えられている場所で、見事な夜景の眺めを楽しませてもらえることができるのです。作業に行っているのですが、仕事を終えて素晴らしい眺めに出くわすとなにか得した気分になります。
夜景だけではなくほかにも思わぬ恩恵にでくわすこともありました。
数年前の真夏の山の作業だったのですが、観光地でもあったので作業を終えて現場の近くを散策していると、なんと温泉の看板が目に入り、しかも露天で簡易的な荷物置き場まで用意されていて「ご自由にご利用ください」の文字が・・・これはありがたいと思い、真夏の炎天下の作業で泥と汗にまみれているのを洗い流せるとはと早速カバンからタオルを取り出し湯船につかると・・・“これは天国”という気分になんと恵まれているのだろうかと湯船が浅いのが気になるものの足も伸ばせて満足にひたっていると誰かが駆け寄ってくる音がして「お客さん困ります。ここは足湯ですよ!!」だと・・・。「どおりで湯船が浅かったのか・・・(ふつうに見たらわかるでしょう)」あらためてですが申し訳ありませんでした。

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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