2017/09/30
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思いつきラボ
2015/09/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2015年9月30日時点の内容です。
2015年4月8日に、厚生労働省から「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第2条第2項の物質を定める政令の一部を改正する政令(平成27 年 政令第175 号)」なるものが公布されました。なにか重々しい案内になっていますが、繊維生地を染める染料の一部から生成される“特定芳香族アミン”という物質が新たに規制対象に加えられたのです。2016年4月1日から施行となりますので、関連するアパレル業界や繊維業界はその対応をとるために準備をすすめているところです。
ニッセンケンには“エコテックス(OEKO-TEX)事業所”という部署がありまして、有害物質の検査についてはエコテックス規格という国際規格に従って 2000年(平成12年)から対応しています。
“エコテックス”の認証は1国1機関と定められており、日本国内では当センターがその認証機関となっています。エコテックス規格で定めている規制値や試験方法は、他の繊維製品に関する安全性基準にも対応出来るものになります。
ということで、今回のテーマは有害物質として規制される “特定芳香族アミン”について取りあげたいと思います。
色ってどうやって出来ているか知っていますか?
私たちの身体もそうなのですが、世の中に存在する多くのものが化学物質から構成されていて、洋服を染めている染料も化学物質で出来ています。染料にはいろいろなタイプのものがあるのですが、それぞれの特性に合わせて化学構造が決まっています。化学構造が違うことで染める布の素材や色が変わってくるのです。
洋服の色が変わってしまった!色が落ちてしまった!というトラブルは、染料の化学構造が着用時に汗や日光と化学反応を起こして“発色団”と呼ばれる色を出す構造を破壊してしまうことで起こってしまいます。
特定芳香族アミンとは?!
発色団に -N=N- で表わされるアゾ基という構造があるタイプの染料が化学反応を起こして破壊されて出来た化学物質の中で、発がん性リスクが認められた 24物質を“特定芳香族アミン”と呼んでいます。
直接染料・ナフトール染料・反応染料・酸性染料・分散染料。塩基性染料等さまざまなタイプの染料に入っています。このアゾ基が化学反応を起こしてアミンとなる24物質が“特定芳香族アミン”です。
法規制の内容やスケジュールは?
管轄は厚生労働省で下記の内容で法制化がすすめられています。
規制内容:24種特定芳香族アミンを検出しないこと(30mg/kg以下)
対象品:アゾ基を含有する染料を使用している繊維製品
スケジュール:
2015年4月8日 「有害物質を含有する家庭用品の法律改正」公布
2015年7月9日 試験対象や試験方法の詳細内容 開示
2016年4月1日 改正法 施行
具体的にどんなものが試験対象なのか?
規制対象製品となっているのは次の通りです。
おしめ・おしめカバー・下着・寝衣・手袋・くつした・中衣・外衣・帽子・寝具・床敷物・テーブル掛け・えり飾り・ハンカチーフ並びにタオル・バスマット及び関連製品
革製品(毛皮製品を含む)・下着・手袋・中衣・外衣・帽子・床敷物
というアナウンスになっているのですが、消費者が区別するのに判断が難しかったり、客先からも判断の対応を求められることがあるため、ニッセンケンとしては規制対象製品項目以外の商品も試験をするようにおすすめしています。
来年4月からの法規制にどうやって対応するのか?
24種類の特定芳香族アミンを使用していないと証明するには次の方法があります。
①析試験を行い基準値以下であることを証明する
②エコテックス認証書を提出する
③規制対象染料の不使用宣言書の提出する
ということが今回の法規制改正の概要なのですが、来年4月の施行まであと半年となりましたので関係する方々はしっかりと準備していきましょう。
エコテックス認証書の提出でアゾ染料不使用の証明になりますので この機会に“エコテックス規格100”の説明をしておきます。
エコテックス規格100とは?
「繊維製品とその付属品(ボタン・ファスナー等)」の安全性を保証する認証です。製品単位の認証で 使用する原材料 染料・薬剤・生産場所等の限定が必要になります。会社ごとの認証ではありませんので注意です。
エコテックス規格で実施する分析試験は、繊維製品を着用した時の汗や乳幼児が口に含んだ時の唾液で体に悪影響がある規制物質が溶け出すことを想定しています。その物質がエコテックス共同体の定める規制基準値と比較して多いか少ないかで合否判定をしています。エコテックスの試験方法は原則非公開ですが、 ISOやJIS規格や全世界の基準に準拠した試験方法になっています。
特に今回法規制になる特定芳香族アミンについては、エコテックス認証品であれば規制物質24種・規制値20mg/kgという一番厳しい基準をクリアしているので、日本の法規制はもちろん、全世界の基準にも追加試験なしで対応出来ます。
エコテックスの認証マークがついていれば“安心・安全”ということの証明なのです。
原稿担当:エコテックス 原田 千雅子
監修:竹中 直(チョク)
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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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