思いつきラボ

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No. 13 「Gパン から ジーンズ そして デニムへと…」

2014/03/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2014年3月30日時点の内容です。

短期間に同じような話を聞くことはよくありますが、ここ1週間の間にGパンの会話が重なってしまいました。そんな理由(わけ)で、今回のテーマはGパンを取り上げたいと思います。
1週間ほど前に「Gパンという言い方、あまりしないよね」という会話を耳にしてしまい、Gパン必需品の筆者としては否定はしないものの、作業服としてのGパンについてひと語り、そして数日前に社内研修資料でデニムが綾織の代表として画像が掲載されていて、デニムの語源についてひと講釈、さらに翌日FMラジオから なぜアメリカでは“Jeans ジーンズ”と呼ばれるようになったかという解説が流れてきて、この期間はGパンウィークとなりました。

筆者は1964年頃からのGパン愛好者なのですが、最初はもちろん小学生だったので親が用意したものを穿(は)いていただけですが、それから50年ほとんどの時間をGパンで過ごしています。当時はlevi’s(リーバイス) と CANTON(キャントン)というブランドしか知らず、とくにCANTONを愛用していました。だいぶ後に知ったのですが、このCANTONブランドは日本製Gパンの創成期の商品だったとのことで、生地はアメリカからの輸入で、ファスナーとリベットも取り寄せていたとのことです。

間違いなくこの頃は作業着として売られていて、“ジェームス・ディーン”が映画で着用して人気になったと言われています。もちろんホテルやゴルフ場には入れない時代でした。今でも格式のあるゴルフ場やレストランでは、ドレスコードに引っ掛かる服装ではあります。“Gパン”と呼ばれるようになったのは諸説ありますが、ジーニングパンツがGパンになったという説を支持しています。ホワイトシャツがYシャツとよばれるようになったのと似ています。

“Gパン” から “ジーンズ” そして “デニム” へ

“Gパン”から“ジーンズ”になったという話は、元々アメリカでは“Gパン”などという呼称はないので、“Jeans ジーンズ”が本来の呼び方になります。ではなぜ国内で“Gパン”が“ジーンズ”となったかというと、きっかけはデザイナーの“カステル・バジャック”氏がファッションにデニム生地を使って話題になったことにあります。作業服のイメージがつよいGパン素材ではファッション用語としては新鮮味に欠けるので、ジーンズとそのまま訳したのが広まったと考えられています。Gパンは作業着でジーンズはカジュアルパンツと区別されたのです。1970年 後半の時期のことです。

今では“デニム”と呼ばれることが多くなっていますが、デニムも新しい言葉でなく、本来は生地の名称なのです。生地の名称としてはサージという綾織ですが、アメリカに渡っていたのはフランスのニーム地方で織られていたもので「Serge de Nimes」フランス語で セルジュ・ドゥ・ニーム と呼ばれていた生地のドゥ・ ニームが、アメリカ読みに転じてデニムとなったというのが定説になっています。フランス ニーム産のサージだから略してデニムということです。

そしてFMラジオから流れてきた“Jeans ジーンズ”と呼ばれるようになった由来ですが、先程のデニムの生地を船に積む港がジェノバ(現在はイタリア)だったそうでジェノバのフランス語読みが“ Gênes ジェーヌ ”で英語読みにすると「ジーンズ」となりスペルも“Jeans”に綴りも変わったという解説でした。デニム生地の別称がジーンズと2つのネーミングがあったのか、デニムで作ったパンツをジーンズと呼んだかの詳細の説明がなかったので、ちょっとしたモヤモヤ感は残っていますが、“JEANS ジーンズ”と呼ばれる根拠はここにあったということです。この話は知らなかったので新鮮な驚きになりました。

長く愛され続ける “Gパン” 

他説もありますので真偽のほどは判りませんが、納得のいく解説でした。今のデニムパンツは14oz(オンス)が主流で、もっと薄い 12oz くらいのものもあり、さらにスパンデックス入りのストレッチデニムも人気があるようですが、作業着としての“Gパン”初期物は 16ozか 16.5oz が普通でとても厚みのあるものでした。新品はゴワゴワしていて、まず洗ってからでないと足に馴染まないものでした。1オンスは28.4g/平方ヤードですので、16oz となるとかなり重たいものですが、サボテンや虫から身を守るには適応した実用性のあるものになっていました。

当時はテレビドラマでもアメリカ西部劇時代のものが多く、「ララミー牧場」か「ローハイド」か記憶が定かではありませんが、新しいGパンを買った時は新品を穿いたままバスタブに入り、軽石で表面をこすって柔らかくするシーンが映しだされていて、少年であった筆者にはすごくカッコいいものに感じてしまいました。
マネをして自宅の風呂でカウボーイ気取りで穿いたまま湯船に浸かって軽石でこすって自分好みの風合いにしたのですが、当時の風呂は木製だったので風呂桶がブルーに染まってしまいました。その時の親の怒りは・・・想像してみてください。我が家の風呂はネイビーブルー・・・。

Gパンの歴史は長いのでいろいろなエピソードもありますが、いつの時代でも愛用者が多いのは実用性に優れているからなのです。最後にデニム生地の説明をしておきます。

基本的に織組織は3/1のツイル(たて糸3目よこ糸1目の割合で表に出る組織)で、たて糸がインディゴブルーの糸染めでよこ糸が生成の白糸で織られています。たて糸が表に多く出ているのでインディゴブルーに見えていて、白く点々で見えるのがよこ糸の白ということになります。インディゴブルーと言いながら、ヨーロッパでは1900年代前半から合成染料がつかわれていたので、本物の藍染のものはさらに古い物になります。

今回は”思いいれコラム”

思いつきコラムというように思いついたことを書いていたら、まとまりの悪い原稿になってしまいました。
Gパンからジーンズそしてデニムと呼び方の変遷はありますが、これからも原型のGパンスタイルが変わることがありませんので、永続的な商品であることは間違いありません。Gパンが大好きな筆者ですので、思い入れがつよい原稿になってしまいました。今回は思いいれコラムということでご容赦願います。

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