2015/11/30
No. 53 「噴火も被害がなければ単に自然現象ということに…」
思いつきラボ
2013/11/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2013年11月30日時点の内容です。
「E/C 50/50 T/C 50/50 とは違うものなのでしょうか?」という質問を受けました。
繊維業界では素材をアルファベットの略字で表わすことが慣例となっています。慣例と書いたのは、ちゃんとした基準があるようでないのです。
衣料品については家庭用品品質表示法という法律があるので。組成表示についての規定はもちろんあります。綿・麻・ポリエステル・ナイロン・アクリル・・・という表記についてはきまりがあります。
所属している会社や団体ではそれぞれの取り決めをしていることもあるのですが、相互間でのルールがあるわけではなく、長い繊維業界の歴史の中でほぼ統一されてきたということなのです。その中でポリエステルという素材はまとまりが悪く、PE・P・E ・ES・T・・・と出てくるのです。PE はポリとエステルの頭文字、Pはポリエステル、EとESはエステル、Tはテトロンからの略字となっているのです。
PE | ポリ エステル(頭文字) |
P | ポリエステル(略字) |
E ES | エステル(略字) |
T | テトロン(略字) |
TはテトロンのTなのですが、テトロンというのは実は商標なのです。しかも東レさんとテイジンさんしか使ってないのです。東レテトロン、テイジンテトロンが正式名です。したがってT/Cと使っていいのは東レさんとテイジンさんということになります。それ以外の会社が使うと商標権の侵害ということに・・・そこまで厳密に市場に出回っている商品を管理していることはないのですが、大事なことなのです。
筆者も紡績時代、合繊部隊だったので、自社の商品をT/Cと呼ばれるとあまり気分のいいものではありませんでした。それだけ東レ・テイジンの商品が市場性が高かったということだったので、T/Cという言葉が浸透していったのだと思います。以前は合繊8社という大手合繊メーカーがしのぎを削っていて「テトロン」という商標の使い方にはもっと気をつかっていたような記憶があります。
合繊8社とは、東レ・クラレ・三菱レーヨン・旭化成・テイジン・東洋紡・ユニチカ・カネボウで、前述5社が合繊、後述3社が紡績を母体にした会社として構成されていました。今は海外品が台頭しているので力関係も変わってきましたが、T/Cというのはその頃から受け継がれてきたものなのです。
ついでに市場で流通しているポリエステル糸を紹介しておきます。ポリエステルにも種類があるのです。
ⅰ PET ポリエチレンテレフタレート
市場に出回っているほとんどのポリエステルがこのタイプのものです。
飲料容器に使われているペットボトルのペットはこの略号のPETの意味なのです。
ⅱ PBT ポリブチレンテレフタレート
生産量は多くはありませんが、伸縮性に優れたタイプです。ポリエステル100%で伸縮性を持ったストレッチ織物がこの糸を使うことで可能となりました。
ⅲ PTT ポリトリメチレンテレフタレート
こちらも流通量はわずかですが、伸縮性・回復性に優れていることと柔らかい素材であることが特徴になっています。天然繊維との混紡で使われることが多いです。
コラム冒頭の質問の答えは、E/Cはポリエステルと綿の混合品で、T/Cは東レ・テイジンのポリエステルと綿の混合品ということになります。家庭用品品質表示法ではポリエステルが正式素材名となりますので、T/Cはあくまでプライベート表記と認識しておいてください。ついでに、家庭用品品質表示法は内閣府の外局の消費者庁の管理になっています。消費者庁ができる前は経済産業省の管轄下にありました。
今回は Q&Aコラム となりました。
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
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