おさえておきたい基礎知識

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〖試験担当者のひとり言〗~ お役立ちな独白23 お弁当を守る香りの力 -わさびの抗菌効果をさらに深堀りしてみました-

2026/07/20

わさび特有のにおいの正体は? そしてその効果は??

 前回「お役立ちな独白22」では、お弁当づくりに役立つ「抗菌作用が期待される食材」や「便利グッズ」をご紹介しました。なかでも、わさびの抗菌効果については耳にしたことがある読者諸氏も多いのではないでしょうか。

 試験担当者であるわたくしとしては、「抗菌効果」が大変気になっておりまして、前回での予告通り、クローズアップしてわさびを取り上げてみたいと思います。

 ところで、わさびの鼻に“ツン”と抜けるものの正体をご存じでしょうか。あの“ツン”は、わさび特有の辛味成分であるアリルイソチオシアネートで、まさにこの成分に抗菌作用があります。食品に直接触れた場合だけでなく、揮発した成分によって周囲の細菌の発育を抑える効果があると言われています。そこで今回は、「直接接触による抗菌効果」「揮発成分による細菌の発育抑制効果」の2パターンでわさび効果を検証してみました。

「直接」と「揮発」、両方の効果を検証!

 はじめに、市販されている【粉わさび】について、直接接触による効果と揮発成分による効果を確認するため、以下の2つの試験を行いました。

◆検証1 直接接触による抗菌効果の確認

1.菌液を入れたシャーレに寒天培地を注ぎ、固化させる。

2.粉わさびを寒天培地中央に設置し、37℃で2日間培養する。

→わさびの周りにハロー(菌が生えない透明な部分)ができるかを確認し、ハローがある場合は抗菌効果ありと判断しました。

◆検証2 揮発成分による細菌の発育抑制効果の確認

1.菌液を入れたシャーレに寒天培地を注ぎ、固化させる。

2.粉わさびをシャーレのフタの中央に設置する。

3.蓋を下にした状態で37℃で2日間培養する。

→対照(わさびなし)と比較して菌の発育具合を比較しました。

測定結果・・・1と2いずれも効果が確認できました

 測定結果と実際の写真は以下の通りです。

試 料 対照(わさびなし) 粉わさび あり
検証1

全面に菌が育成

わさびなしの検証結果。全面に菌が育成している様子

粉わさびの周囲にハローあり

粉わさびの周囲にハローが確認された検証結果 またたいへんよくできました
検証2

同上

わさびなしの検証結果

中央部分に菌の発育の抑制を確認

中央部分で菌の発育が抑制された検証結果 よくできました

◆検証1の結果について

 わさびの周囲にハローが確認され、直接接触することによる抗菌効果があることが分かりました。寒天培地中へアリルイソチオシアネートが拡散し、その結果、大きなハローが形成されたものと考えられます。

◆検証2の結果について

 粉わさびを置いた真上の中央部分で菌の発育の抑制を確認しました。ただし直接接触させる場合と比べ、揮発による効果は局所的でした。

 なお、粉わさびは製造工程や保存中に揮発成分が減少していることが考えられるため、揮発の効果が局所的であったことが考えられます。

さらに検証!種類で効果は変わるのか?

 次に、別のタイプのわさびで、検証2の「揮発」を実施した場合にどうなるのかを検証してみました。

 街のスーパーで普通に手に入れられる【小袋入りわさび】【チューブ型わさび】を使用してみます。

 さてさて、結果はいかに?

試料 対照(わさび なし) 小袋入りわさび あり チューブ型わさび あり
検証2

全面に菌が発育

対照 わさびなし

全面に菌の発育の抑制を確認

たいへんよくできました 小袋入りわさびあり

全面に菌の発育の抑制を確認

たいへんよくできました チューブ型わさびあり

 前述の粉わさびでは効果が局所的でしたが、【小袋入りわさび】と【チューブ型わさび】では、全面に菌の発育の抑制が確認できました。要因としては、これらの製品はペースト状で水分を含むため、アリルイソチオシアネートが揮発しやすく、その成分がシャーレ内全体に広がった可能性があります。

 以上の検証によって、同じわさびでも、製品の種類によって抗菌効果の現れ方が異なることが分かりました。普段は味や使いやすさで選ぶことが多いわさびですが、製品ごとにこのような違いが見られたことは、試験担当者としても非常に興味深い結果となり、大満足でもあります。

わさびの魅力 - 食の安全を支えるという一面も

 さて、今回の結果から、わさびをお弁当に添えることで、わさびが接触している部分だけでなく、揮発した成分によってお弁当全体の衛生維持にも役立つ可能性のあることが示されました。実際に、アリルイソチオシアネートの抗菌作用を利用した「抗菌バラン」や「抗菌お弁当シート」などの製品も市販されています。100円ショップの定番商品ですね。

 もちろん、わさびだけで食品の安全性が100%確保されるわけではありません。安全・安心にお弁当を楽しむためには、十分な加熱、清潔な調理器具の使用、適切な温度管理など、基本的な衛生管理が重要です。そのうえで、わさびのような香辛料や香味野菜には、料理の味や香りを引き立てるだけでなく、食品をより良い状態に保つ働きも備わっているということをお伝えしたいと思います。

 普段は薬味として何気なく使っているわさびですが、日本の食文化の中で、おいしさとともに食卓の安全を支えてきた食材の一つなのです。

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 バイオケミカルグループでは、さまざまな製品の抗菌・抗ウイルス試験や、消臭・防臭試験などを行っています。「該当する試験規格がなく、評価の進め方が分からない」「どう評価すればいいか分からない」など、評価方法のご相談から対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

コラム執筆担当
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 バイオケミカルグループ

本コラム「試験担当者のひとり言」は、毎月2回(5日・20日)更新しています。

次回もお楽しみに!

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